固定残業代45時間は上限いっぱい|超過分の支払い

月給に「固定残業代45時間分」とあるとき、その45時間は1か月の残業の上限と同じ数字です*1。固定残業代とは、決めた時間分の残業代を、実際の残業時間にかかわらず毎月同じ額で払うものです。45時間分なら、月45時間までの残業代が月給に入っています。
そのため、45時間分という書き方からは、それだけの残業を見込んだ賃金だと読めます。ただし、45時間を超えた分は、固定残業代とは別に割増賃金(上乗せして払う分)として支払われます*3。見るのは、超えた分が別に出るかと、実際の残業が上限に収まるかの2つです。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 求人票の「固定残業代45時間分」は、原則の上限と同じ1か月45時間を指しています*1*2。会社がその時間までの残業を見込んで組んだ月給だ、という読み方です。
- 45時間を超えた月は、超えた分が別に支払われます*3。いくら加わるかは求人票から読めないので、応募先へ聞いておきます。
- 原則の上限は1か月45時間で、1年では360時間です*1。月ごとの線と年の線は別に数えるため、超えた月の回数と年の合計の2つを書き出します*1。
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1. 固定残業代45時間分は原則の上限と同じ数字
求人票の「固定残業代45時間分」にある45時間は、36協定で決められる1か月の残業の上限と同じ数字です*1*2。36協定とは、1日と1か月と1年について働かせることができる時間数を定める協定で、労働基準法36条に規定されていることからこう呼ばれます*2。そこで決める時間は、原則として1か月45時間・1年360時間までです*2。45時間分と書いてあること自体が、決まりから外れるという話ではありません。
ここで見るのは、45時間という数字の大きさではありません。実際に働いた残業がその中に収まっているか、収まらなかった月に超えた分が別に払われたかの2つです。求人票の記載から読めるのは、会社が想定している残業の量までです。入社後に何時間だったかは、働き始めてからの記録で出ます。応募する側は、その想定と入社後の残業時間を並べます。
まず数えるのは、月給へ何時間分が入っているかです。45時間分と書いてあれば、その時間までの残業代は毎月の給与に含まれています。46時間目からの残業は、固定分に上乗せして払われます*3。含まれる時間数と、超えたときの扱いは分けて読みます。
2. 45時間分を数えてから実際の残業と比べる
実際、月給の総額だけでは、何時間分の残業が入っているかは分かりません。求人票の固定残業代の欄には、金額と時間数の両方が書かれています。まず時間数を読み、その時間を自分の残業時間と並べます。
ただし、数える対象は求人票の数字だけではありません。45時間分という記載は1か月あたりの想定なので、比べる相手も1か月の残業時間です。入社後に残業が何時間出たかは、勤怠の記録から分かります。
そのため、超えた分の扱いまでは求人票から読めません。求人票に載るのは、月給に含まれる残業の時間数までです。超えた月にいくら払われたかは、入社後に受け取る給与明細で分かります。入社前なら、その扱いを応募先へ質問します。
一方、1か月の区切りは、勤め先の給与の締め日で決まっています。月の初めから末までとは限りません。45時間に収まっているかは、その区切りに合わせて数えます。区切りがずれると、超えた月を見落とします。
3. 45時間を超えた分は固定残業代とは別に支払われる
労働基準法37条は、時間外に働かせた場合に割増賃金を支払うと定めています*3。固定残業代に含まれるのは、あらかじめ決めた時間分までです。その時間を超えて働いた分は、この固定分には入りません。
たとえば、45時間分の固定残業代がある月に50時間働いたなら、5時間分は別に計算されます。40時間しか働かなかった月でも、45時間分の額は変わりません。少なかった月に返すこともありません。多い月と少ない月で、額の動き方が違います。
一方、超えた分にいくら上乗せされるかは、求人票の記載からは読めません。上乗せの率は労働基準法37条で決まっています*3。入社前なら応募先の採用担当へ、入社後なら勤め先か労働基準監督署へ聞きます。数字で答えが返れば、月ごとの残業代を自分で計算できます。
なお、月給の総額には、基本の賃金と固定残業代の両方が入っています。45時間分が組み込まれているぶん、総額だけを見ても基本の部分は分かりません。同じ総額でも、組み込まれた時間数が短い求人とは中身が違います。比べるときは、分けたあとの額で並べます。
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4. 1か月と1年の上限は3段で決まっている
残業の上限は3段に分かれています。土台は原則の限度時間で、会社が残業をさせられる上限として1か月45時間と1年360時間が決まっています*1。特別条項とは、臨時的な特別の事情があるときに、この45時間を上回って働かせることができる定めです*1。それでも越えられない線が、いちばん上にあります。
ただし、特別条項があっても回数に限りがあります。1か月45時間を上回れるのは、1年のうち6か月までです*1*2。7か月目からは原則の線の中に戻り、年間の上限は720時間です*1*2。
実際、求人票の45時間分は、この土台の線と同じ位置にあります。原則の中でいちばん多い時間数を、そのまま月給へ組み込んでいます。ここから先へ進むには、会社に特別条項が必要です*1。45時間分は、原則の端にある数字です。
そのため、自分の残業が原則の中に収まるかは、月ごとに数えれば分かります。45時間を超えた月が1年に何回あったかを数え、その年の合計を360時間と比べます*1。回数と合計時間の2つが、原則の中にあるかどうかの線です。
なお、特別条項の年720時間は、原則の年360時間の2倍です*1*2。それでも、45時間を上回れる月は1年に6か月までと決まっています*1*2。残りの月は、原則の線の中に収まります。年の合計は、この2つを足した数字です。
5. 原則と特別条項で数字が変わる1か月と1年の上限
実際に数えるときは、時間外労働(残業)と休日労働(休みの日に働いた分)を分けて書き出します。1か月100時間未満と、2〜6か月の平均80時間以内の2つは、休日労働を足した合計で見ます*1*2。どちらを数えているかで、合計は別の数字です。
なお、45時間は1か月あたりの上限として決まっている数字です*1。毎月45時間の残業を12か月続けると540時間で、年360時間を超えます*1。
区分ごとの1か月と1年の上限
| 区分 | 1か月の上限 | 1年の上限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 原則 | 45時間 | 360時間 | 労働基準法36条*2 |
| 特別条項があるとき | 100時間未満 | 720時間 | 厚生労働省*1 |
| 2〜6か月の平均 | 80時間以内 | — | 厚生労働省*1 |
| 45時間を上回れる月数 | — | 6か月以内 | 厚生労働省*1 |
ただし、表の数字は上限であって、その時間まで働くという意味ではありません。求人票の45時間分は月給に入っている時間で、36協定の45時間は働かせてよい上限です。同じ45という数字でも、指しているものが違います。数え方を分けておくと、面接で聞く内容がはっきりします。
なお、2〜6か月の平均という線は、1か月だけを見ても分かりません。直近の2か月・3か月・4か月・5か月・6か月のそれぞれで平均を出し、80時間以内に収まっているかを見ます*1*2。休みの日に働いた時間も足して数えるため、その分も書き出す対象です。
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6. 固定残業代について応募先へ聞く3つ
実際、月給の額だけでは、入社後に受け取る金額は決まりません。同じ月給でも、固定残業代の時間数と超えた分の扱いで、手元に残る額は変わります。数字がそろえば、入社前に月給の中身が見えます。
面接で聞く3つ
- 月給に入っている時間数:固定残業代が何時間分か。45時間分なら、原則の上限と同じところまで含まれています*1*2
- 超えた月の支払い:45時間を超えた分が別に支払われるか。求人票に書かれていないときは、面接で聞きます
- 直近の残業時間:募集している部署で、先月の残業が1か月あたり何時間だったか。数字が返れば、45時間分との差が先に分かります
そのため、3つの答えを並べると、入社後の月給と残業時間を自分で計算できます。固定残業代が45時間分で、実際の残業が月30時間なら、月給はそのままです。残業が50時間の月には、5時間分が別に加わります*3。数字が返らない項目は、聞いた日と相手を控えておきます。
一方、45時間を上回った月が年に何回あったかは、入社前には分かりません。聞いて分かるのは、募集している部署のこれまでの残業時間までです。入社後は、給与明細と勤怠の記録を月ごとに残しておきます。書き出すのは残業時間と支払われた額の2つです。1年分そろえば、360時間の線と比べられます*1。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 固定残業代45時間分と書かれた求人票は残業が多いということですか
A. 45時間分という記載から分かるのは、毎月の給与に入っている残業の時間数です。実際の残業時間は月によって動くため、直近の1か月あたりの数字を応募先へ聞きます。45時間は原則の上限と同じ数字なので*1、そこまで見込んだうえで組まれた月給です。数字が返ってきたら、その時間と45時間を並べて見ます。
Q2. 45時間を超えて働いた月の残業代はどうなりますか
A. 45時間分に収まっている月の残業代は月給に入っていますが、46時間目からは別に計算されます*3。求人票から読めるのは、月給へ組み込んだ時間数までです。実際にいくら加わったかは、入社後の給与明細に出ます。
Q3. 45時間分の固定残業代は残業をしなかった月でも支払われますか
A. 支払われます。45時間分の額は、その月の残業が30時間でも10時間でも変わりません。逆に50時間働いた月には、超えた5時間分が加わります*3。月ごとの額は、45時間を境に上へだけ動きます。
Q4. 入社前に残業時間を知るには何を聞けばよいですか
A. いま何時間の残業が出ているかと、その数字がいつの時点のものかの2つです。半年前の数字と先月の数字では、入社後の働き方に近いのは先月のほうです。1か月45時間より多かった月があったかまで聞ければ、原則の中かどうかも分かります*1。答えが返らないときは、内定の連絡を受けたあとに書面で聞きます。
Q5. 特別条項がある職場では45時間を超える月が続くのですか
A. 超えてよい月の数が決まっています。1年のうち45時間を上回ってよいのは6か月までで、年間の合計は720時間以下です*1*2。1か月では、休日労働を足して100時間未満という線もあります*1*2。
8. まとめ:超えた分の支払いと実際の残業時間を聞く
45時間分の求人票で見るところ
- 「固定残業代45時間分」の45時間は、36協定の原則の上限と同じ数字*1*2
- 上限を超えた分の残業代は、固定分とは別に出る*3
- 原則では1か月45時間まで 1年では360時間まで*1
- 実際の残業が上限の中にあるかは、月ごとの残業時間を1年分並べて数える
45時間という数字そのものより、超えた分の支払いと実際の残業時間の2つが先です。両方に数字で答えが返れば、入社後の月給は応募の段階で計算できます。返らない項目は、書面で出してもらえるかを頼みます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」(2026年確認)
*2 厚生労働省 スタートアップ労働条件「時間外労働の上限について」(2026年確認)
*3 e-Gov法令検索「労働基準法」第36条・第37条(2026年確認)
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