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内定承諾と退職交渉の順番|内定の承諾が先で退職の申出は後

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内定承諾と退職交渉は、内定を承諾してから退職を申し出る順番で進めます。採用内定(会社が採用を約束した状態)で次の会社との労働契約が成り立ち、内定は合理的な理由なしに取り消せないためです*2。承諾の前に、賃金や勤務地などの労働条件を書面で受け取ります*4。

内定の承諾が先で退職の申出は後にすれば、次の勤め先が決まってから辞められます。退職の申出(今の会社に辞めると伝えること)は、原則として辞める日の2週間前までです*1*5。就業規則(会社が決めた働き方のルールの文書)の退職の定めも読んでおきます*5。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 内定の承諾を先にし、今の会社への退職の申出は後にします。採用内定で次の会社との労働契約が成り立ち、会社が取り消せる場合は限られているためです*2。
  • 承諾の返事の前に、賃金や勤務地を書いた労働条件の書面を受け取ります*4。入社後に勤務地や仕事がどこまで変わりうるかも、その書面で分かります*4。
  • 退職の申出の期限は、原則として辞める日の2週間前までです*1*5。今の会社の就業規則にある退職の手続きも、あわせて読んでおきます*5。

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1. 内定を承諾してから今の会社に退職を申し出る

内定承諾と退職交渉は、承諾の返事を先にし、今の会社への申出を後にする順番です。採用内定の段階で労働契約が成り立ったと判断した例に、最高裁判所の昭和54年7月20日の判決(大日本印刷事件)があります*2。会社がこの内定を取り消せるのは、客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られています*2。承諾して契約が固まってから辞めることを伝えれば、次の勤め先が無いまま退職日を迎える事態を避けられます。

ただし、採用内定の労働契約には、会社が一定の場合に取り消す余地が残されています*2。判決の言葉では「始期付きで解約権を留保した労働契約」で、入社日から働き始める約束がついた契約という意味です*2。取り消せるかどうかは、取り消す余地を残した趣旨や目的に照らして判断され、会社の都合だけで自由に取り消せるわけではありません*2。

一方、承諾と退職の申出の順番そのものを定めた法律はありません。順番が決まるのは、次の会社との契約が先に成り立つこと、労働条件を書面で見てから承諾できること、辞める日が申出の日から数えられることの3つからです*1*2*4。3つ目の数え方は、承諾の返事で入社日が決まれば、そこから逆算して使えます。

承諾の返事をした時点で手元にそろうのは、内定先との労働契約と入社日の2つです。今の会社にはこの2つがそろってから伝えるので、上司に退職日を聞かれても入社日から逆算した日を答えられます。承諾の前に申し出ると、入社日も労働条件も決まらないうちに、退職日だけを先に決めなければなりません。

2. 退職を申し出てよいのは書面を受け取って承諾したあと

承諾の返事をする前に、内定先から労働条件を書いた書面(労働条件通知書など)を受け取ります。使用者は労働契約を結ぶときに賃金や労働時間などの労働条件を明示し、書面で交付すると労働基準法に定められています*4。採用内定で労働契約が成り立つ場合は、内定の時点でこの明示をしなければなりません*3。

退職を申し出てよいか 労働条件を書面で受け取り内定を承諾したか はい 今の会社に退職を申し出る いいえ 承諾するまで退職を伝えない 書面を受け取って承諾の返事をするまでは、今の会社に辞めると言わない

書面では、賃金、労働時間、就業の場所と従事する業務の欄を見てください*4。令和6年4月からは、入社後に勤務地や仕事がどこまで変わりうるかが、明示する事項に加わりました*4。リモートワークで働くつもりなら、就業の場所に自宅が入っているかがこの欄で分かります。

そのため、書面が届く前に承諾の返事は急ぎません。示された条件が事実と違っていたときに、労働者がすぐに労働契約を解除できることも同じ法律にあります*4。ただ、今の会社をすでに辞めていれば、解除したあとに戻る先がありません。

逆に、図の「いいえ」に当たる人は、承諾の返事も退職の申出もまだ出さずに待ちます。書面がまだ届いていないなら、内定先の採用担当者に送ってもらうよう頼んでください。待っている間に就業規則の退職の定めを読んでおけば、承諾したその日に申し出る日を決められます。

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3. 退職の申出は辞める日の2週間前までが原則

退職の申出について、民法は、雇用の期間を定めずに働いている人の雇用が、解約の申入れの日から2週間を経過すると終わると定めています*1。期間の定めのない労働契約の人は、原則として2週間前までに申し入れます*5。同じページで厚生労働省は、就業規則等で退職手続がどうなっているかも確認し、ルールを守った手続きをとることがトラブルの防止につながるとしています*5。

そのため、申し出る日を決める起点は、内定先と決めた入社日です。たとえば退職日を入社日の前日にするなら、申出はその退職日の2週間前までに済ませます*1。就業規則にこれより早い申出の定めがあるときは、その日付も並べて、早いほうに合わせます*5。

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4. 退職の申出を先にすると辞退したときに勤め先が無くなる

承諾を先にする場合と退職の申出を先にする場合を並べると、違いが出るのは内定先の条件が合わなかったときです。承諾を先にすれば、労働条件の書面を見て納得してから返事をするので、辞める時点では次の勤め先が決まっています*4。入社日も承諾のときに内定先と決めるので、そこから逆算して今の会社の退職日を置けます。

内定承諾と退職の申出のどちらを先にするか 承諾が先 次の勤め先が決まってから辞められる 入社日から逆算して退職日を決められる 退職の申出が先 労働条件が合わず辞退すると次の勤め先が無いまま辞める 退職の申出を先にすると、辞退したときに次の勤め先が無いまま退職日が来る

逆に、退職の申出を先にすると、あとから届いた書面の条件が合わずに辞退したときも、今の会社の退職日はそのまま来ます。雇用の期間を定めていない人の雇用が終わるのは、申入れから2週間を経過したときです*1。辞退してから別の求人を探し始めると、その間は収入の無い期間になりかねません。

つまり、承諾を先にした場合の2つ目の利点は、退職日を自分で逆算して上司に示せることです。就業規則の申出の期限も並べておけば、上司には退職日の候補を日付で出せます。上司と話す前に、入社日から数えた退職日と申出日の2つを紙に書き出しておきます。

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5. 内定先と今の会社に伝えることを時期で分ける

内定の連絡から入社までの間に伝えることは、内定先と今の会社で時期がずれます。内定の連絡を受けた時点では、今の会社にはまだ何も伝えません。退職を申し出るのは承諾して入社日を決めたあとで、申出は2週間前までが原則です*1*5。

内定から入社までに今の会社と内定先へ伝えること

時期内定先へ今の会社へ
内定の連絡を受けたら労働条件の書面を受け取る*3*4まだ伝えない
承諾したら入社日を決める退職を申し出る(2週間前まで)*1*5
退職日が決まったら入社日を伝え直す引き継ぎを進める

つまり、今の会社に何かを伝えるのは、内定先への承諾が済んでからです。退職日が決まったら、内定先には入社日をもう一度伝え、今の会社では担当している仕事の引き継ぎを進めます。引き継ぎにかかる日数は仕事によって違うので、退職日を決める前に上司と見積もっておくと、入社日を動かさずに済みます。

一方、今の会社との話し合いで退職日が動いたときは、決めた入社日をそのまま守れるかを内定先へ伝えます。入社日は内定先と決めた日なので、変えたいときは内定先の了承が要ります。入社日を伝え直すのは、この食い違いを入社前に片づけるためです。

6. 申し出る前に書面と就業規則と入社日をそろえる

今の会社に退職を申し出る前に、次の3つを手元に置いてください。3つとも、上司と退職日を話し合うときに手元で使うものです。

退職を申し出る前に手元にそろえるもの

  • 内定先の労働条件の書面:賃金、労働時間、就業の場所と業務、入社後に勤務地や仕事がどこまで変わりうるかが書かれています*4。承諾した条件と違う点が無いかを、申し出る前に読み返してください。
  • 今の会社の就業規則の退職の定め:いつまでに誰へ申し出るかといった退職の手続きが書かれた部分です*5。申し出る日と申し出る相手を、ここで決めます。
  • 内定先と決めた入社日:今の会社の退職日を逆算する起点の日付です。上司と退職日を話し合うときは、この日付を先に伝えてください。

3つがそろえば、申し出る日は次のように数えられます。まず入社日から退職日を決め、そこから2週間前の日と就業規則の期限のうち、早い日を申出の期限にします*1*5。その期限より前の日に、上司との面談の時間をお願いしてください。

7. よくある質問

Q1. 内定承諾の前に退職を伝えてしまったらどうなりますか?

A. すぐに内定先から労働条件の書面を受け取り、承諾するかどうかを決めます*4。採用内定で労働契約が成り立っていれば、会社が内定を取り消せる場合は判決で限られています*2。一方で、条件が合わないと分かって辞退したときは、次の勤め先を探し直しながら退職日を迎えます。

Q2. 就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」とあるときは?

A. 就業規則にある退職の手続きも確認し、そのルールを守って申し出ます*5。民法は、期間の定めのない雇用が申入れの日から2週間で終わると定めています*1。入社日から逆算して、就業規則の定めに沿った日に申し出られるかを先に数えておきます。

Q3. 承諾の返事はいつまでにすればよいですか?

A. 内定先が示した期限までに返事をしてください。労働契約が内定の段階で成り立つときは、会社はその時点で労働条件を明示しなければなりません*3。期限が近いのに書面が届いていないときは、返事の前に内定先へ書面を求めてください。

Q4. 書面に勤務地の変更について何も書かれていないときは?

A. 承諾の前に内定先へ聞いてください。令和6年4月からは、就業の場所と従事すべき業務が入社後にどう変わりうるかも、書面で示すことになっています*4。リモートワークを前提に応募したなら、出社に変わりうるかどうかを承諾の前に聞いておくと、入社後の食い違いを防げます。

Q5. 期間の定めのない雇用とはどんな働き方ですか?

A. 労働契約で、いつまで働くかの期間を決めていない雇用のことです。辞めると申し入れてから2週間がたてば、この雇用は終わります*1。民法のこの定めは期間を決めずに雇われた人のもので、期間を決めて雇われている人には当てはまりません*1。

8. まとめ:承諾の返事をしてから辞める日を伝える

この記事のまとめ

  • 内定承諾と退職交渉は、内定の承諾を先にし、退職の申出を後にします*2。
  • 会社が内定を取り消せる場合は、判決で狭く限られています*2。
  • 承諾の前に、賃金や勤務地、入社後にどこまで変わりうるかを書面で受け取ります*4。
  • 退職の申出は原則2週間前までで、就業規則の手続きもあわせて守ります*1*5。

承諾の返事をする前にやることは、内定先に労働条件の書面を頼むことと、今の会社の就業規則で退職の定めを探すことの2つです。書面を読んで承諾の返事をし、入社日が決まってから、上司に退職を申し出る日を決めます。

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出典・参考情報

*1 e-Gov法令検索 民法(第627条)
*2 厚生労働省 確かめよう労働条件「採用内定取消」(大日本印刷事件)
*3 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「採用内定取消し等に関するリーフレット」
*4 e-Gov法令検索 労働基準法(第15条)・労働基準法施行規則(第5条)
*5 厚生労働省 確かめよう労働条件「労働者の退職」

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