退職証明書の書き方|厚生労働省のモデル様式と退職の事由

転職先や国民健康保険の窓口から退職証明書を出すように言われ、どんな書類で、何が書かれていればよいのかを調べる人がいます。この書類は、退職者の請求を受けて会社が作り、本人に渡すものです。
退職証明書の書き方は、労働基準法第22条で決まっています。書けるのは使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金、退職の事由の5つで、会社は労働者が請求した事項だけを書き、請求していない事項は書いてはなりません*1。厚生労働省は退職の事由について、7つの事由から当てはまる番号に○を付けるモデル様式を示しています*2。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 退職証明書に書けるのは、使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金、退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)の5つです*1。
- 会社は請求された事項を遅滞なく証明しなければならず、労働者が請求していない事項は書いてはなりません*1。
- 厚生労働省のモデル様式は、退職の事由を自己都合・勧奨・定年・契約期間の満了・移籍出向・その他・解雇の7つから選ぶ形です*2。
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1. 退職証明書は請求した事項を会社が書く
退職証明書は、退職した人が請求した事項を、会社が書いて交付します。何を書いてもらうかは請求する人が選び、会社は遅滞なく交付しなければなりません*1。
対象になる事項は、労働基準法第22条第1項に並ぶ5つで、中身は次の節の表のとおりです*1。労働者から請求があった事項は、必ず書かなければなりません*1。書くのは会社で、退職する人が自分で書く書類ではありません。
大事なのは、5つすべてを書く決まりではないことです。会社は、労働者が請求していない事項を書いてはならないとされています*1。転職先に退職の事由だけを出したいなら、退職の事由だけを請求すれば、賃金などは書かれません。
用紙については、厚生労働省が退職の事由を書くためのモデル様式を示し、参考にするよう案内しています*1*2。あくまで参考として示された様式なので、会社が自社の書式で作った証明書を渡されることもあります。
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2. 退職証明書に書ける5つの事項
労働基準法第22条で証明を求められる事項は、次の5つです*1。どれを書いてもらうかは、提出先から何を求められているかで選びます。
退職証明書に書ける事項(労働基準法第22条第1項)
| 事項 | 書かれる中身 |
|---|---|
| 使用期間 | その会社に雇われていた期間(入社日から退職日まで) |
| 業務の種類 | 担当していた仕事の内容 |
| その事業での地位 | 役職や職位 |
| 賃金 | 賃金の額 |
| 退職の事由 | 自己都合・解雇など、退職に至った事由。解雇の場合はその理由も含む*1 |
提出先が求める事項は場面ごとに違います。転職先は在籍していた期間と仕事の内容を知りたいことがあり、国民健康保険の手続きでは退職日が分かる書類を求められることがあります。何が必要かを提出先に聞いてから会社に請求する事項を決めれば、書き直しを頼む手間はかかりません。
ITエンジニアが転職するときは、業務の種類にシステムの開発や運用など担当した仕事を書いてもらうと、職務経歴書に書いた経験を会社の書面で裏づけられます。地位の欄には、リーダーや主任などの役職が入ります。どこまで詳しく書くかは会社の判断なので、書いてほしい中身があれば、請求のときに具体的に伝えておくのが確実です。
請求するときは、交付をお願いする一文に続けて、「記載事項は使用期間と退職の事由」のように事項を名前で挙げます。メールや書面で頼めば、いつ何を請求したかが手元に残ります。
たとえば、転職先から在籍の期間と退職の理由が分かる書類を求められたなら、使用期間と退職の事由の2つを請求します。賃金を知られたくなければ、賃金は請求しなければ書かれません*1。請求の回数に制限はないので*1、提出先ごとに事項を変えて、別々に頼むこともできます。
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3. 厚生労働省のモデル様式の書き方
厚生労働省の「退職事由に係るモデル退職証明書」は、1枚目が本文、2枚目が解雇の理由を書く別紙の2枚でできています*2。1枚目の上には労働者名を書く宛名の欄があり、「以下の事由により、あなたは当社を 年 月 日に退職したことを証明します」という文に退職日を入れます*2。その下には、証明した日付、事業主氏名または名称、使用者職氏名を書く欄が並んでいます*2。
退職日と、証明した日付は別の欄です*2。証明した日付は会社が証明書を作った日なので、退職してしばらくたってから請求すれば、退職日より後の日付が入ります。提出先が見るのは退職日の欄のほうなので、2つの日付が違っていても問題はありません。
退職の事由の欄には、7つの事由が並んでいます*2。①あなたの自己都合による退職(②を除く)、②当社の勧奨による退職、③定年による退職、④契約期間の満了による退職です*2。続いて⑤移籍出向による退職、⑥その他(具体的な事由を書く)による退職、⑦解雇(別紙の理由による)があり、会社が該当する番号に○を付けます*2。
このモデル様式は、5つの事項のうち退職の事由を証明するためのものです。使用期間や賃金も請求した場合は、会社がそれぞれの事項を書き足すことになります。受け取ったら、退職日と○の付いた番号が自分の認識と合っているかを読んでください。
モデル様式の宛名の欄には労働者名が入り、証明する文の主語は「あなた」です*2。転職先に出すときも、宛名は自分の名前のままで構いません。宛名が転職先になっていなくても、書かれている内容が変わるわけではないからです。
4. 解雇の場合は別紙に理由を書く
解雇された人が解雇の理由を請求しない場合は、⑦の「(別紙の理由による。)」を二重線で消し、別紙は交付しないとされています*2。転職先に解雇の理由まで出したくないなら、解雇の理由を請求しない形で頼むことができます。
反対に、解雇の理由に納得がいかないときは、理由を書いた別紙も請求しておきます。どの理由に○が付いているかで、会社が何を解雇の理由としているかが書面で分かります。
別紙のア〜カには、それぞれ「具体的には、あなたが したこと。」のように、事実を書き込むかっこがあります*2。○だけが付いていてかっこが空いているときは、具体的な理由を書いてもらうよう、会社にもう一度頼むことができます。請求の回数に制限はないので*1、書き直しの依頼もためらわなくてかまいません。
5. 退職の事由で会社と意見が違うとき
労働基準法第22条の「退職の事由」は、自己都合退職、勧奨退職、解雇、定年退職など、労働者が身分を失った事由を指します*1。解雇の場合は、解雇の理由も退職の事由に含まれます*1。
退職の事由について、労働者と会社の見解が違うことがあります。会社が自分の見解を証明書に書いて遅滞なく交付すれば、労働基準法違反にはなりません*1。ただし、書いた内容が事実と違っていれば、交付の義務を果たしたことにはならないと解されています*1。自分では会社に勧められて辞めたと考えているのに、①の自己都合に○が付いていたときは、どういう経緯でそう判断したのかを会社に聞いてください。会社の説明を聞いても事実と違うと考えるなら、勧められたときのメールや面談の日付を書き留めておき、労働条件の相談窓口に持っていけるようにしておきます。
証明書を何に使うかは、労働者に委ねられています*1。提出先を会社に伝える必要はなく、使い道を理由に交付を断られることもありません*1。また、会社が第三者と示し合わせて、再就職を妨げる目的で証明書に秘密の印を書くことは、法律で禁じられています*1。
6. 離職票では代わりにならず請求は退職から2年まで
退職するときに会社から渡される書類には離職票もありますが、離職票はハローワークに出す書類なので、退職証明書の代わりにはなりません*1。離職票を受け取っていても、それとは別に退職証明書を請求できます*1。
証明書を求める回数に制限はありません*1。請求は退職と同時でなくてもよく、請求権の時効は労働基準法第115条により退職のときから2年です*1。2年を過ぎてから請求すると、交付を受けられないこともあります*1。たとえば3月31日に退職した人なら、2年後の3月31日ごろまでに請求を済ませておくと安心です。転職先が決まってから必要になることも多いので、退職の前後でまとめて請求しておくと手間が減ります。
受け取った証明書は、請求した事項がすべて書かれているか、請求していない事項が書かれていないかを読んでください。会社は頼まれていない事項を記載できないので*1、頼んでいない賃金の額などが書かれていたら、書き直しを頼めます。
請求したのに交付されない場合は、労働基準監督署に相談します*1。いつ、誰に、どの事項を請求したかを書いたメールや書面があれば、相談のときにそのまま見せられます。
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7. よくある質問
Q1. 退職証明書は自分で書くのですか?
A. 書くのは会社です*1。退職した人は、どの事項を書いてほしいかを会社に伝えて請求します。厚生労働省のモデル様式を使う場合も、○を付けたり事由を書き込んだりするのは会社の担当者です*2。
Q2. 厚生労働省の様式を使わないといけませんか?
A. 厚生労働省のモデル様式は、参考として示されたものです*1。会社の書式で作られた証明書でも、請求した事項が書かれているかを読めば足ります。
Q3. 退職の事由だけを書いてもらうことはできますか?
A. できます。希望しない事項は請求せず、希望する事項だけを書いた証明書を受け取れます*1。
Q4. 退職してからだいぶたっても請求できますか?
A. 請求権の時効は退職のときから2年です*1。2年以内なら、退職と同時でなくても請求できます*1。
Q5. 会社が退職証明書を出してくれないときはどうすればいいですか?
A. 労働基準監督署に相談してください*1。請求した日と事項が分かるメールなどを持っていくと話が早く進みます。
Q6. 退職証明書と離職票のどちらを出せばいいですか?
A. 提出先が指定した書類を出します。2つは別の書類で、退職証明書の請求は離職票の有無と関係なくできます*1。
8. まとめ:退職証明書の書き方は請求する事項で決まる
この記事のまとめ
- 退職証明書は会社が書く。書けるのは使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由の5つ*1
- 労働者が請求していない事項は書いてはならない*1
- 厚生労働省のモデル様式は退職の事由を7つから選ぶ形。解雇は別紙に理由を書く*2
- 解雇の理由を請求しなければ、別紙は交付されない*2
- 離職票では代わりにならない。請求に回数の制限はなく、時効は退職から2年*1
退職証明書が必要になったら、提出先に必要な事項を聞いてから、その事項を名前で挙げてメールで会社に請求してください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 自己都合の退職の際、退職勤務証明書を請求できますか?方法は?(確かめよう労働条件・厚生労働省)
*2 退職事由に係るモデル退職証明書(厚生労働省)
転職ノウハウ その他の記事
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