技術書を読む時間がないとき|働き方から見直す

技術書を読む時間がないと感じるとき、理由を意志の弱さに求めがちです。ですが実際には、勤務時間の使い方や移動、突発的な対応の重なりなど、働き方の条件が学ぶ時間を左右していることがあります。条件の側から見直すと、時間の作り方も変わってきます。
見直す対象は、学ぶ時間そのものではなく、それを奪っている勤務時間や突発対応の配分です。配分を確かめることが、時間を作る出発点になります。
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この記事のポイント
- 技術書を読む時間が取れないと感じるとき、原因は意志ではなく勤務時間や突発対応の配分にあることが少なくありません
- IT分野ではDX推進人材が不足と回答した企業が85.5%、うち『大幅に不足』が50.1%です*1。学習時間との因果関係を示す数字ではありません
- 時間を作る手順は、記録する→固定を外す→枠を決める→続ける、の4段階で考えられます
1. 技術書を読む時間は、意志ではなく配分で決まります
技術書を読む時間が取れないのは、多くの場合、意志の弱さではありません。勤務時間の使い方や移動、突発的な対応の重なりといった、働き方の条件による配分の問題です*1。まず配分を疑うことが、時間を作る出発点になります。
技術書を読む時間が取れないとき、多くの人がまず「続かない自分」に原因を求めます。ですが、忙しい時期ほど学習が止まるのだとすれば、それは意志の強さの問題というより、使える時間そのものが働き方によって奪われている可能性があります。
勤務時間の長さそのものよりも、始業から終業までの中でどれだけ予定外の対応が挟まるかが、学ぶための時間を左右します。予定していた時間が突発対応で埋まる回数が多いほど、まとまった時間は確保しにくくなります。
移動にかかる時間も、学ぶ時間の候補になり得る部分です。移動時間が長い働き方では、その時間を学習にあてられる場合と、疲労であてにくい場合があり、移動の手段や勤務地との距離によって差が出ます。
配分を確かめることが、読む時間を作るための具体的な手順につながります。勤務時間・移動・突発対応の3つを、働き方の条件としてどう見直せるかを、次から順に扱います。
配分の確認は、転職を決める前からでも始められます。今の勤務先での配分を先に確かめておくと、次に求人の条件を比べるときにも、何を基準に見ればよいかがはっきりします。
2. 時間を作る手順は、4段階で進めます
最初の「記録する」は、実際の学習時間を感覚ではなく記録として残す作業です。1週間分を記録すると、思っていたよりも時間が取れている日と、まったく取れていない日の差が見えてきます。
「固定を外す」の段階では、記録した予定のうち、動かせるものと動かせないものを分けます。動かせる予定を学習の枠からいったん外しておくと、学ぶための時間帯が空きやすくなります。
「枠を決める」では、空いた時間帯のうち、突発対応が入りにくい時間をあらかじめ学習の枠として決めておきます。枠を決めておくこと自体が、あとから別の予定を入れにくくする効果を持ちます。
最後の「続ける」は、決めた枠を崩さずに積み重ねる段階です。一度枠を明け渡すと、次からも明け渡しやすくなるため、最初の数回をどう守るかが、その後の続けやすさを左右します。
記録する期間は、繁忙期を避けた通常の1週間で足ります。忙しい週の記録は、普段の配分から離れてしまうため、判断の基準としては使いにくくなります。
4段階は、一度通して終わりではありません。転職や部署異動で働き方が変われば、記録した内容も枠の位置づけも変わるため、状況が変わるたびに記録し直しておくとよいでしょう。
3. 読めない理由は、原因の所在で分かれます
技術書を読む時間が取れない理由は、確かめてみると1つではないことが分かります。
時間が取れない理由と、変えられる部分
| 時間が取れない理由 | どこに原因があるか | 条件で変えられる部分 |
|---|---|---|
| まとまった時間が取れない | 勤務時間中に突発対応が挟まる回数が多い | 対応の少ない業務や体制の求人を選ぶ |
| 終業後に取り組む余力がない | 残業や移動の負担が大きい | 残業時間や勤務形態の条件を確かめる |
| 予定していた時間が削られる | 会議や連絡が学習の枠に重なる | 勤務時間に融通が利く求人を選ぶ |
| 休日にも予定が埋まる | 持ち帰りの対応や呼び出しがある | 休日対応の有無を確認する |
表の1行目にある「まとまった時間が取れない」は、勤務時間中に突発対応が挟まる回数が多いほど起こりやすくなります。対応の少ない業務や体制であれば、まとまった時間を確保しやすくなります。
2行目の「終業後に取り組む余力がない」は、残業や移動にかかる負担の大きさによって変わります。残業時間や勤務形態の条件を確かめておくと、終業後にどれだけ余力が残るかの見通しが立てやすくなります。
3行目の「予定していた時間が削られる」は、会議や連絡が学習のために確保した枠に重なることで起こります。勤務時間の使い方に融通が利く求人であれば、枠を守りやすくなります。
4行目の「休日にも予定が埋まる」は、持ち帰りの対応や呼び出しの有無によって左右されます。休日対応の条件は求人票に明記されていないこともあるため、選考の過程で確認しておくと安心です。
4つの理由は、それぞれ別の条件によって決まるため、削り方も別々に考える必要があります。1つの条件だけを見て判断すると、ほかの理由による負担を見落とすことがあります。
4つの理由は独立して現れることもあれば、重なって起こることもあります。突発対応が多い職場では休日にも対応が発生しやすく、まとまった時間と休日の両方が削られる場合があります。求人の条件を確かめるときは、この重なりも含めて見ておくと、見落としを減らせます。
原因を1つずつ切り分けて考える視点は、採用の選考で技術的な原因を説明する場面でも役立ちます。
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4. 突発対応の多さと学習時間には、慎重な見方が求められます
突発対応の回数が多い働き方ほど、学習に使える時間が短くなる感覚を持つ人は少なくありません。ただし、これは個人の感覚に基づく傾向であり、対応の回数と学習時間の関係を示す検証済みの数値があるわけではありません。
感覚と実態がずれる場合もあります。対応の回数自体は多くても、1件あたりにかかる時間が短ければ、まとまった時間への影響は限定的なこともあります。逆に、回数が少なくても1件が長引く働き方では、学習の枠が崩れやすくなります。
したがって、突発対応の多さだけで判断するのではなく、1件あたりの対応時間や、対応が発生しやすい時間帯まで含めて確かめておくと、実態に近い見立てができます。
求人票からは、突発対応の頻度や1件あたりの時間まで読み取れないことがほとんどです。実際にどの程度の対応が発生する職場かは、選考の過程で確認しておくと、入社後の見立てとのずれを防ぎやすくなります。
求人を比べる段階では、突発対応の有無だけでなく、対応が発生した場合の扱い方も確認材料になります。代休や振替の仕組みがあるかどうかによって、対応後に学習の枠を取り戻せるかどうかも変わってきます。
対応の頻度や時間を数値として確かめる視点は、実績を数字で示す場面でも共通しています。
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5. 学ぶ時間の土台は、勤務時間の把握から積み上がります
土台にあたるのは、勤務時間の把握です。残業や突発対応を含めた実際の勤務時間を確かめておかないと、削れる部分がどこにあるかも分かりません。
中段にあたるのは、移動と待機の削減です。移動にかかる時間や、対応の合間に生じる待機の時間のうち、学習に回せる部分がどれだけあるかを確かめます。
頂点にあたるのは、学ぶ枠の固定です。土台と中段を把握したうえで、学習に使う時間帯をあらかじめ決めておくと、その枠は突発的な予定に崩されにくくなります。
3段は、下から順に確かめる必要があります。土台を把握しないまま学ぶ枠だけを決めても、勤務時間の実態と食い違えば、その枠はすぐに崩れてしまいます。
土台を確かめる段階を省いて、頂点の学ぶ枠だけを先に決めてしまう進め方もあります。ただしその場合は勤務時間の実態と合わない枠になりやすく、早い段階で崩れてしまうことがあります。
6. 確認する範囲は、3点に整理できます
働き方の条件を求人で確かめるときは、次の3点に絞ると比べやすくなります。
働き方を確認する3点
- 残業の実態:突発対応がどの程度の頻度で発生するかどうかです
- 勤務の形態:出社と在宅の割合を選べるかどうかです
- 始業の融通:始業時刻を調整できるかどうかです
3点はいずれも、求人票や面談で確かめられる範囲です。書き出すときは、それぞれ一言で十分です。
残業の実態は、突発対応がどの程度の頻度で発生するかを示す手がかりになります。求人票に記載がない場合は、選考の過程で確認しておくとよいでしょう。
勤務の形態は、出社と在宅の割合を選べるかどうかにかかわります。在宅の時間が多い働き方では、移動にかかっていた時間を学習に回せる場合があります。
始業の融通は、始業時刻を調整できるかどうかです。始業を遅らせられる働き方では、朝の時間帯を学習にあてる選び方もできます。
3点を書き出したメモは、求人票を読むときの確認リストとしても使えます。条件を見るたびに自分の優先順位と照らし合わせておくと、比べる手間を減らせます。
出社と在宅の割合は、求人票の「リモート可」という表記だけでは分からないこともあります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 学ぶ時間が取れないのは、意志の問題ですか。
A. 意志の問題として片づけられがちですが、勤務時間や突発対応の配分による影響も大きく関わります。配分を確かめないまま意志だけを責めても、状況は変わりにくいと考えられます。
Q2. 移動の時間を、そのまま学習にあてられますか。
A. 移動の環境や疲労の度合いによって差があり、一律には言えません。座って読める移動手段かどうかや、移動時間の長さによっても、あてやすさは変わります。
Q3. 残業が多い職場では、学ぶ時間を作るのは難しいですか。
A. 残業の頻度や、1件あたりにかかる時間によって差があります。回数が多くても短時間で終わる働き方と、回数が少なくても長引く働き方とでは、学ぶ時間への影響が異なります。
Q4. 働き方を変えずに、学ぶ時間を作る方法はありますか。
A. 勤務時間の中の配分を見直すだけでも、変化が出る場合があります。ただし、突発対応が特に多い働き方では、配分の見直しだけでは限界があり、働き方自体の条件を見直す選択も出てきます。
8. まとめ:学ぶ時間は、働き方の配分から作ります
この記事の要点
- 技術書を読む時間が取れないのは、意志ではなく、勤務時間・移動・突発対応の配分の問題です
- IT分野ではDX推進人材が不足と回答した企業が85.5%、うち『大幅に不足』が50.1%です*1。学習時間との因果を示す数字ではありません
- 時間を作る手順は、記録する→固定を外す→枠を決める→続ける、の4段階で進められます
- 学ぶ枠を固定する前に、勤務時間の実態と、移動・待機で削れる部分を把握しておく必要があります
- 働き方を確認する範囲は、残業の実態・勤務の形態・始業の融通の3点に整理できます
学ぶ時間は、意志で増やすものではなく、働き方の配分から作るものです。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 IPA DX動向2026
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