データアナリストの転職|分析の実績をどう示すか

データアナリストの職務経歴書には、使用したツールや分析の件数が並びがちです。しかし採用側が確かめたいのは、その分析がどの場面で、誰の意思決定に使われたかです。ツールを扱えることと、実績として伝わることは、同じではありません。
中心になるのは、実績は使ったツールではなく、誰の意思決定に使われたかで決まるという考え方です。分析の手順や年収の水準からは離れて整理します。
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この記事のポイント
- データアナリストの実績は、使ったツールの一覧ではなく、その分析が誰の意思決定に使われたかで伝わります
- 一般労働者の月額賃金は25〜29歳で279.4千円、45〜49歳で377.9千円です*1。データアナリスト固有の水準ではなく、年齢による一般的な差を示す参考値です
- 実績の説明は、依頼の背景・設計・示し方・その後の判断という4つの段に分けて書くと、伝わる範囲が広がります
1. 分析の実績は、使ったツールではなく使われ方で決まります
データアナリストの実績は、使用したツールの種類や処理したデータの量だけでは伝わりません。採用側が知りたいのは、その分析がどの場面で、誰の意思決定に使われたかです。使われ方を書けるかどうかで、同じ分析の重みが変わります。
職務経歴書でツールの名称を並べても、読み手はその作業の位置づけまでは分かりません。特定のツールを使ったという事実だけでは、業務のどの段階を担当していたのかまでは判断できないためです。
同じ集計作業でも、依頼の背景を把握したうえで設計したものと、指示された範囲だけを処理したものとでは、意思決定に与える影響が変わります。実績として書くべきは、この違いです。
使われ方を示すためには、依頼を受けた背景、分析の設計、示し方、その後の判断という段階のうち、どこを担当したかを整理しておく必要があります。
扱えるツールの種類を数多く並べるほど評価が上がるとは限りません。使われ方の説明が伴わないまま並ぶと、読み手はどの経験が実務でどう活きたのかを判別できなくなります。
職務経歴書に並ぶ「実務経験あり」という一文と、実績として評価される記述の間には距離があります。前者は担当した作業を示すにとどまり、後者は分析が何につながったかまでを示します。
2. 実績になる分析は、4つの段をたどっています
4つの段は、担当した範囲によって関わり方が変わります。設計から示し方までを担当することもあれば、示し方だけを任されることもあります。
職務経歴書に書きやすいのは、設計と示し方の2段です。使った手法や作成した資料は、成果物として残るためです。
一方で、依頼の背景とその後の判断は、成果物として残りにくい段階です。誰の依頼で、判断にどう使われたかは、担当者自身が言葉にしない限り伝わりません。
4つのうち1つの段だけを担当した場合でも、実績として書けなくなるわけではありません。担当した段が、全体の流れのどこに位置していたかを添えれば、範囲が狭くても読み手には伝わります。
4つの段をすべて長く説明する必要はありません。担当した段について、依頼した相手や、結果がその後どこに渡ったかを一文添えるだけでも、担当範囲は具体的になります。
3. 同じ分析でも、書き方で伝わる範囲が変わります
同じ分析の経験でも、職務経歴書にどう書くかによって、読み手が受け取る情報の範囲は変わります。
職務経歴書の書き方と、読み手が受け取る情報の対応
| 職務経歴書の書き方 | 読み手が受け取る情報 | 足すと伝わること |
|---|---|---|
| 使用ツールを列挙する書き方 | 扱えるツールの種類 | 分析がどの意思決定に使われたか |
| 処理件数や作業量を書く書き方 | 処理の規模感 | 誰の判断のための分析だったか |
| 分析の目的と結果の使われ方を書く書き方 | 分析がどの判断に関わったか | 当時の制約や、判断への影響の大きさ |
表の1行目や2行目のような書き方は、事実として誤りではありません。ただし、読み手が受け取れる情報は、ツールの種類や作業量にとどまります。
3行目のように、分析の目的とその結果がどう使われたかまで書くと、読み手は担当者がどの判断に関わったかを推測できるようになります。
3つの書き方は、同じ分析経験に対して選べる選択肢であり、担当した作業の大きさを誇張するものではありません。書き方を変えるだけで、伝わる範囲が変わるという点が要点です。
分析の影響範囲を実際より大きく書くと、面談で詳しく聞かれたときに説明が崩れます。担当した範囲に沿って書くことが前提になります。
読み手が採用担当者だけとは限りません。配属予定のチームの担当者が書類を見る場合、ツールの名称よりも、分析の目的とその結果がどう扱われたかの記述の方が、実務のイメージを持ちやすくなります。
分析の目的や結果の使われ方を書くにあたって、依頼元の名称や具体的な数値まで明かす必要はありません。判断の種類(価格の見直し・在庫の調整など一般的な区分)を示すだけでも、読み手には十分伝わります。
4. 依頼の背景を書けるかどうかが分かれ目です
依頼の背景とは、誰が、何を判断するために、その分析を必要としたかという情報です。分析そのものの手法よりも、判断の主体が明確かどうかが問われます。
背景を書くためには、依頼を受けた時点でのやり取りを振り返る必要があります。誰から依頼され、その担当者が何を決めようとしていたかを、職務経歴書に落とし込みます。
背景が書けない分析は、担当した作業の記録にとどまります。背景が書ける分析は、判断に関わった経験として伝わります。同じ作業時間でも、この違いは職務経歴書の重みに表れます。
依頼の背景を思い出せない場合は、当時のやり取りの記録や、分析結果を提出した相手の役職を手がかりに整理できます。相手の役職が分かれば、判断の重さもある程度は推測できます。
面談で依頼の背景を聞かれた際は、判断の主体を答えるだけで終わらせず、その判断がその後どう実行に移されたかまで話せると、分析結果が実務にどう役立ったかが伝わりやすくなります。
当時の依頼者に、面談の前に一言確認を取れる場合は、判断にどう使われたかの認識にずれがないかを合わせて確かめておくと、話す内容の精度が上がります。
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5. 実績の説明は、3段で組み立てます
3段は、下から積み上げる関係にあります。データの整備ができていなければ、その上の分析の設計も、意思決定への接続も成り立ちません。
職務経歴書では、土台と中段だけを書いて説明を終えるケースが多く見られます。整備したデータの量や、選んだ手法までは書けても、その先の頂点までは書き切れていない状態です。
頂点の意思決定への接続を書いて初めて、下の2段が単なる作業ではなく、判断を支えた実績として読み手に伝わります。3段のうちどこまで書けているかを、職務経歴書を見直す際の基準にできます。
反対に、頂点だけを厚く書き、土台や中段の具体性が伴わない場合は、意思決定への接続が誇張として受け取られることがあります。3段のどこか一段だけを厚くするのではなく、全体の釣り合いを意識します。
3段の途中から関わった場合でも、参加した時点でどの段が既に整っていたかを添えれば、担当範囲の説明は成り立ちます。最初から関わったかどうかより、どこを担当したかが問われます。
6. 面談までに整理できる3つのこと
職務経歴書に書ききれなかった内容は、面談までに整理しておくと、聞かれたときに答えられます。
面談までに整理できる3つのこと
- 依頼の背景:誰の依頼で、何を判断するための分析だったかを言葉にしておきます
- 担当した段:データの整備・分析の設計・意思決定への接続のどこを担当したかを整理します
- 提示条件の水準感:内定時の年収を、年齢による一般的な賃金の差*1と比べ、判断の参考にとどめます
3点目の参考値は、一般労働者を対象にした年齢別の月額賃金です。25〜29歳で279.4千円、45〜49歳で377.9千円という差があります*1。これは職種別の水準を示すものではなく、データアナリストの賃金を表す数字でもありません。
内定通知の年収が、年齢による一般的な差と比べてどのあたりに位置するかを見る材料として使う分には、判断の目安になります。分析の職種だからこの水準になる、という読み方はできません。
提示された条件を一人で判断しにくいときは、複数の情報源で年齢による一般的な水準を確認しておくと、判断材料が増えます。
3つの整理は、面談の直前にまとめて済ませるよりも、応募先ごとに少しずつ書き足していく方が、聞かれた場面で言葉に詰まりにくくなります。
整理した内容は、面談ごとに同じ言葉で使い回すのではなく、聞かれた質問の意図に応じて言い方を調整すると、答えと質問のずれが小さくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 分析の実績は、使用したツールの種類だけでは伝わりませんか。
A. ツールの種類だけでは、担当した作業の範囲は伝わっても、その分析がどの判断に使われたかまでは伝わりません。依頼の背景や、分析結果がどう使われたかを合わせて書くと、実績として伝わる範囲が広がります。ツールの一覧を削る必要はなく、使われ方の説明を加えることが要点です。
Q2. 依頼の背景を覚えていない場合は、どう整理すればよいですか。
A. 当時のやり取りの記録や、分析結果を提出した相手の役職を手がかりに整理できます。相手の役職が分かれば、その分析がどの程度の判断に関わっていたかも推測しやすくなります。記録が残っていない場合は、当時のプロジェクトの目的から逆算して整理する方法もあります。
Q3. データの整備・分析の設計・意思決定への接続は、すべて担当していないと実績になりませんか。
A. すべてを担当していなくても、担当した段を明確に書けば実績として伝わります。データの整備だけを担当した場合でも、その整備がどの分析を支えたかを書けば、範囲が伝わります。担当した段が少なくても、その段の位置づけを具体的に書けば範囲は伝わります。
Q4. 提示された年収を判断する際、年齢別の賃金の数字はそのまま使えますか。
A. そのままは使えません。示されている数字は一般労働者全体の年齢別平均であり、データアナリストなど職種別の水準を表すものではありません。年齢による一般的な差を確認する参考として使う範囲にとどまり、提示された条件そのものの是非を、この数字だけで判断することはできません。
8. まとめ:分析は、使われ方まで書くと実績になります
この記事の要点
- 分析の実績は、使ったツールの種類ではなく、その分析が誰の意思決定に使われたかで伝わります
- 実績になる分析は、依頼の背景・設計・示し方・その後の判断という4つの段をたどっています
- 職務経歴書の書き方によって、読み手が受け取る情報の範囲は変わります
- 実績の説明は、データの整備・分析の設計・意思決定への接続という3段で組み立てられます
- 内定条件を判断する参考値として、年齢による一般的な賃金の差*1を使う場合は、職種別の水準ではない点をふまえます
使ったツールを並べるのではなく、その分析が誰の意思決定に使われたかを書くと、同じ経験でも伝わり方が変わります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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