役員面接で見られるのは何か|一次・二次との違い

「次は役員面接です」と言われると、これまでの面接と何が変わるのか分かりにくいものです。一次・二次で技術力や実務の適性を確かめたあと、役員面接では見られる観点そのものが変わります。何を確かめられる場なのかを先に知っておくと、当日の受け答えの組み立て方が変わります。
この記事の中心にあるのは、役員面接で変わるのは、見られる観点そのものだという点です。逆質問の例やSTAR回答など、面接全般の技術は扱いません。
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この記事のポイント
- 一次・二次では実務の力が確かめられます。役員面接で見られるのは、事業の方向性を一緒に進められるかという点です
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業は1.26倍です*1。候補者にも選べる幅がある分、役員面接では入社の意思そのものも確かめられます
- 技術の説明と事業の理解、2つの軸で立ち位置を整理すると、役員面接で何を伝えればよいかが見えてきます
1. 役員面接で変わるのは、見られる観点です
役員面接で見られるのは、実務の力ではなく、事業の方向性を一緒に進められるかという点です。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍で、全職業の1.26倍を上回ります*1。選べる余地がある分、役員は合否だけでなく入社の意思そのものを確かめます。
一次面接や二次面接では、経歴の正確さや実務でどう動くかが中心に確かめられます。役員面接になると、確かめる内容が実務の話から事業の話に移ります。同じ「面接」という言葉でも、段階によって見られている中身が違います。
役員は、現場の実務を細かく見る立場ではありません。見ているのは、事業の方向性を理解したうえで、自分の考えを言葉にできるかという点です。技術の深さそのものよりも、技術と事業をどう結び付けて語るかが問われます。役員面接という段階が置かれているのは、役員が入社後の配属や事業の方向づけに関わる立場だからです。実務の詳細を見る前に、その関わり方について本人と直接会っておく必要があります。
この違いを知らずに一次・二次と同じ答え方で臨むと、役員面接では的が外れて伝わります。何が見られているかを先に知っておくことが、当日の準備の起点になります。誰が出てくるか、選考が何段階あるかは、求人票だけでは分からないことがあります。応募の前に選考の流れを面談で聞いておくと、役員面接がどの段階に当たるかが事前に分かります。
2. 一次・二次・役員で、見る人と観点の違いが出ます
面接は段階が進むごとに、出てくる人も確かめられることも変わります。段階ごとの違いを先に並べておきます。同じ質問に見えても、聞いている側の立場によって、求めている答えの中身は違います。
面接の段階と、見る人・確かめられること
| 面接の段階 | 主に出てくる人 | 確かめられること | 答え方の軸 |
|---|---|---|---|
| 一次 | 人事担当・現場の社員 | 経歴の正確さと実務スキルの有無 | 事実を具体的に説明する |
| 二次 | 配属先の責任者 | 実務でどう成果を出すか | 再現性のある行動で語る |
| 役員 | 役員・経営層 | 事業の方向性への理解と関わり方 | 自分の考えを事業の言葉で語る |
段階が進むほど、聞かれる内容は実務から事業へと移ります。一次・二次で確かめられた実務の力を土台として、役員面接ではその力をどう事業に活かすかが問われます。
答え方の軸も段階ごとに変わります。一次・二次では事実を具体的に語ることが評価につながりますが、役員面接では自分の考えを事業の言葉に置き換えて語ることが求められます。
見る人が変わるという点も、答え方に影響します。現場の社員は具体的な作業の進め方を聞き、配属先の責任者はチームでの立ち回りを聞きます。役員は現場の作業ではなく、事業全体の中でその判断がどう位置づけられるかを聞きます。同じ経験を語るときも、誰に向けて話しているかで言葉の選び方を変える必要があります。
段階別の準備の進め方やSTARフレームを使った回答の作り方は、こちらの記事で扱っています。
あわせて読みたい | 【転職面接対策】一次面接〜最終面接までを段階別に準備する方法とSTARフレームを使った回答例
3. 技術の説明と事業の理解、2つの軸で立ち位置が決まります
役員面接での伝わり方は、技術の説明の深さと事業の理解の深さという2つの軸で整理できます。自分の説明がどちらの軸で足りていないかが分かれば、当日までにやることも変わります。
技術の説明が深くても、事業の理解が浅ければ、役員には技術者としての説明にしか聞こえません。逆に事業の理解が深くても、技術の裏付けがなければ説得力を欠きます。
役員が評価しやすいのは、技術の説明と事業の理解の両方が深い位置です。技術的な判断が事業のどこに効いてくるかを、自分の言葉で語れると話がかみ合います。
今の自分がどの位置にいるかは、これまでの説明を振り返ると見えてきます。事業の話を避けて技術だけで語っていないか、逆に技術の裏付けなく事業だけを語っていないかを確かめます。
この整理は、良し悪しを決めるためのものではありません。今どの位置で話しているかに気づくための道具です。技術偏重型に自分が当てはまると分かれば、次に足すべきは技術の知識ではなく、その技術を事業の言葉に翻訳する練習だと分かります。位置が分かれば、次にやることも決まります。
位置は、面接を重ねるうちに動くこともあります。一次・二次で技術の説明を磨いたまま役員面接に臨むと、右下の技術偏重型に留まりやすくなります。事業の理解を意識して言葉を足していくと、右上の両輪型に近づきます。
4. 役員面接は、候補者が確かめる場でもあります
役員面接は、役員が候補者を確かめる場であると同時に、候補者が役員を確かめる場でもあります。見られる側であると同時に、見る側でもあります。
候補者側が確かめておきたいのは、事業の方向性に自分が納得できるかという点です。役員がどんな優先順位で意思決定をしているかを聞いておくと、入社したあとに判断の食い違いに気づくリスクを減らせます。
意思決定の優先順位は、二次面接までではなかなか見えてきません。役員面接は、事業の方向性そのものを決める立場の人に直接聞ける、数少ない機会です。ここで聞いた内容は、内定を受けるかどうかを決める材料になります。
その役員のもとで働き続けられるかどうかも、候補者側が確かめておく価値があります。答え方や考え方の筋道に共感できるかは、実務のスキルとは別の軸として見ておきます。
面接全般の準備方法や定番の質問については、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 転職面接の完全ガイド|定番5問の意図・通過率データ・Web面接の作法
5. 面接の前・当日・その後で、やることを分けます
役員面接に向けてやることは、面接の前・当日・その後で変わります。
面接の前にできる準備は、事業についての理解を深めることです。経営方針や統合報告書など、会社が公開している情報から、事業の方向性を自分の言葉に置き換えておきます。
面接当日は、技術的な話題が出ても、それが事業のどこに効いてくるかまで話を広げます。技術の説明だけで終わらせないことが、役員面接での受け答えの軸になります。
面接が終わったあとは、どの質問に事業の言葉でうまく答えられたか、逆に技術の話に寄りすぎた場面はどこかを振り返ります。振り返りは、次の選考にも活かせます。
3つの段階を分けて考える理由は、当日にまとめて準備しようとすると、事業の理解も振り返りも中途半端になるからです。面接の前に済ませておくことと、当日その場で対応することを切り分けておくと、当日に慌てずに済みます。
6. 役員面接の前に用意できる3つのこと
役員面接に向けて、事前に用意できることは主に3つあります。当日にゼロから考えるより、準備した言葉を持って臨むほうが、事業の話にも踏み込みやすくなります。
面接前に用意できる3つのこと
- 経営方針の理解:会社が公開している中期計画や統合報告書を読み、事業の方向性を自分の言葉で説明できるようにします
- 意思決定の軸:これまでの仕事で判断に迷った場面を振り返り、何を優先したかを話せるようにしておきます
- 逆質問の準備:技術ではなく事業の方向性に関わる質問を1つ用意しておきます
3つとも、面接までに1人で準備できることです。当日になって考えるのではなく、事前に言葉にしておくと、役員面接特有の観点にも答えやすくなります。
3つのうち、逆質問の準備だけは当日の反応を見ながら言葉を調整する必要があります。残りの2つは、面接の前に文章として書き出しておけます。書き出しておくと、当日は言葉にする練習に時間を使えます。
経営方針の理解や意思決定の軸は、一次・二次の準備で使った自己PRとは重ならない内容です。技術力や実務の経験を語る材料とは別に、事業について語れる材料をもう一つ用意しておくイメージです。
逆質問の例やNG質問については、こちらの記事で扱っています。
あわせて読みたい | 面接の逆質問で差がつく!|実際に使える質問例やNG質問について
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 役員面接では、技術力はもう見られないのですか。
A. 技術力そのものは一次・二次で確認済みという前提で進みます。役員面接で見られるのは、その技術力を事業の方向性に結び付けて説明できるかという点です。確認済みの内容を繰り返す必要はなく、その力を使ってどう判断してきたかまで踏み込んで話します。
Q2. 役員面接の逆質問は、一次・二次と同じ内容でよいですか。
A. 内容を事業寄りに変えると噛み合いやすくなります。役員は現場の運用よりも事業の方向性や意思決定に関わる立場のため、逆質問も事業の話に寄せます。現場の運用に関する質問は、二次面接までに聞いておくと重複しません。
Q3. 役員面接は、必ず最終選考にあたるのですか。
A. 会社によって位置づけが違います。役員面接を最終選考とする会社もあれば、役員面接のあとにもう一段階を置く会社もあります。応募先の選考の流れは、求人票や面談で事前に確認しておけます。
Q4. 役員面接で手応えがなかった場合、何を振り返ればよいですか。
A. 技術力そのものではなく、事業の理解や意思決定の考え方が伝わったかどうかを振り返る余地があります。原因を一つに決めつけず、答え方を事業寄りに変えて次の面接に臨めます。一度の手応えだけで合否を判断せず、次に向けた材料として扱えます。
8. まとめ:役員面接は、観点の違いを知れば準備できます
この記事の要点
- 一次・二次では実務の力が、役員面接では事業の方向性を一緒に進められるかが確かめられます
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率1.65倍は、全職業の1.26倍を上回ります*1。求人を選べる候補者だからこそ、役員面接では入社の意思そのものが確かめられます
- 技術の説明と事業の理解、2つの軸で立ち位置を整理すると、伝え方の課題が見えてきます
- 面接の前・当日・その後で、やることを分けておくと当日に慌てません
- 経営方針の理解・意思決定の軸・逆質問の3つは、面接前に1人で用意できます
役員面接は、一次・二次の延長ではなく、見られる観点そのものが変わる場です。観点の違いを先に知っておけば、当日の受け答えは事業の言葉で組み立てられます。技術力の証明で終わらせず、その先の事業の話まで自分の言葉で届ける準備を、面接の前に済ませておきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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