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通勤手当と最低賃金|通勤手当を除いて時給に直す計算

通勤手当と最低賃金|通勤手当を除いて時給に直す計算のイメージ写真

求人票や給与明細を見て、自分の給料が最低賃金を下回っていないかを知りたいとき、通勤手当を含めて計算してよいのか迷う人がいます。毎月決まって振り込まれる手当なので、給料の一部だと考えるのは自然です。

通勤手当は、最低賃金の計算には含めません。最低賃金の対象は毎月支払われる基本的な賃金です*3。通勤手当のほか、家族手当、精皆勤手当、残業代などの割増賃金、賞与、臨時に支払われる賃金も除いて計算します*3。月給制なら、除いたあとの月給を1か月平均の所定労働時間で割り、最低賃金の時間額と比べます*2。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

最低賃金は通勤手当を除いた賃金を時給に直して比べる この記事の要約 最低賃金の計算 1 手当を除く 通勤手当や残業代 2 時給に直す 月給÷月の所定時間 3 比べる 都道府県の最低賃金 令和8年度の全国加重平均は1,177円*4 通勤手当を含めて計算すると最低賃金を上回って見えることがある *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 最低賃金の対象は毎月支払われる基本的な賃金で、通勤手当や賞与は含まれません*3。
  • 月給制では、通勤手当などを除いた月給を1か月平均の所定労働時間で割って時給に直し、最低賃金の時間額と比べます*2。
  • 令和8年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,177円で、東京都は1,280円です*4。

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1. 通勤手当は最低賃金の計算に含めない

通勤手当は、最低賃金の計算に入れずに除きます。この手当やボーナスは、最低賃金の対象となる賃金に含まれないとされています*3。

最低賃金制度は、最低賃金法に基づいて国が賃金の最低限度を決め、使用者はその額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です*1。比べる相手になるのは、除く手当を外した残りの賃金です*3。

交通費として毎月決まって振り込まれていても、除いて計算する賃金の1つに挙げられています*3。月給の総額が多く見えても、それを除くと最低賃金を下回ることがあります。

最低賃金より低い賃金を労働者と会社が合意して決めても、その部分は法律で無効とされ、最低賃金と同じ額を定めたものとみなされます*1。最低賃金の額で働く約束をしたのと同じ扱いになるので、約束した額が低いことを理由に最低賃金未満で払い続けることはできません*1。

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2. 最低賃金の計算から除く手当と含める手当

給与明細に並ぶ手当のうち、どれを外すかは決まっています*3。除くのは次の表の8つで、それ以外の毎月の基本的な賃金は計算に入れます。

最低賃金の計算から除く賃金(厚生労働省の最低賃金特設サイトによる)

区分具体的な賃金
臨時に支払われる賃金結婚手当など*3
賞与ボーナス*3
割増賃金時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金*3
通勤や家族に関する手当通勤手当、家族手当*3
出勤の状況による手当精皆勤手当*3

反対に、職務手当のように毎月決まって支払われる手当は、計算に残します。厚生労働省の計算例でも、基本給と職務手当は含め、通勤手当と時間外手当を除いています*2。

給与明細では、手当の名前が会社ごとに違います。「交通費」「通勤費」と書かれていても中身が通勤の費用なら通勤手当と同じ扱いになり、残業代は「時間外手当」「超過勤務手当」などと書かれます。名前ではなく、何に対して払われているかで仕分けてください。

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3. 給与明細の手当ごとに計算に入れるかを仕分ける

給与明細を手元に置いて、手当を1つずつ仕分けます。迷ったときは、毎月決まって支払われる基本的な賃金かどうかで判断します*3。

その手当は最低賃金の計算に入るか 給与明細に並ぶ手当 基本給や職務手当 計算に入れる 通勤手当や家族手当 計算から除く*3 残業代や賞与 計算から除く*3 毎月払われる基本的な賃金だけを残して時給に直す*3

仕分けが終わったら、計算に入れる賃金だけを合計します。基本給と職務手当などが残り、通勤手当、扶養に応じた手当、精皆勤手当、残業代、賞与が外れるのが基本の形です*3。

固定残業代のように、残業の有無にかかわらず毎月払われる手当も、時間外の割増賃金に当たる部分は最低賃金の計算から除きます。固定残業代が含まれる求人は、基本給だけを時給に直すと最低賃金を下回る場合があるので、求人票の内訳を読んでおきます。

家族手当や精皆勤手当は、扶養する人数や出勤の状況で額が変わることのある手当です。毎月払われていても、最低賃金の計算では除くことになっています*3。仕分けに迷う手当があれば、就業規則の賃金規程で、その手当が何の条件で払われるかを読んでから判断してください。

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4. 給料の形ごとに時給に直す計算と東京都の例

給料の形ごとに、最低賃金と比べる式が決まっています*2。時間給なら時間給をそのまま比べ、日給なら日給を1日の所定労働時間で割ります*2。月給制の場合の式は「月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」です*2。

1か月平均の所定労働時間は、年間の所定労働日数に1日の所定労働時間を掛け、12で割って出します。厚生労働省の計算例では、月給22万円から通勤手当5,000円と時間外手当3万5,000円を除き、18万円を残しています*2。この18万円に12を掛け、年間250日と1日8時間を掛けた時間で割る計算です*2。答えは1,080円で、例の県の最低賃金1,000円を上回っていました*2。

基本給が日給で手当が月給のように形が混ざっている場合は、それぞれを時給に直してから合計します*2。厚生労働省の別の例では、日給6,000円を8時間で割ると750円です*2。職務手当2万5,000円を時給に直すと150円で、足すと900円になりました*2。例の県の最低賃金950円を下回っていて、手当を1つずつ分けて計算しないと気づけない差です。

歩合給がある場合も、歩合の総額を働いた時間の合計で割って時給に直します*2。どの形でも、先に除く手当を外してから割る順番は変わりません。

年間の所定労働日数が分からないときは、365日から年間休日を引いて出せます。年間休日が120日なら245日で、1日8時間なら年1,960時間、1か月平均では約163時間です。

東京都で働く人を例に計算してみます。基本給が月20万円、通勤手当が月1万5,000円で、年間の所定労働日数が245日、1日の所定労働時間が8時間とします。この数字は説明のための仮のものです。

基本給の20万円で計算すると、20万円×12か月÷(245日×8時間)で、時給は約1,224円になります。令和8年度の東京都の最低賃金は1,280円なので*4、この給与は最低賃金を下回っています。

交通費の分まで足した21万5,000円で計算すると、時給は約1,316円になり、1,280円を上回って見えます。この手当を入れるかどうかで結論が逆になるので、計算するときは必ず外してください。

5. 求人票の月給から最低賃金を計算する

転職先を探すときも、同じ計算で求人票の給与を読めます。求人票に月給と年間休日、1日の所定労働時間が書かれていれば、365日から年間休日を引いた日数を年間の所定労働日数として使えます。月給に固定残業代や交通費の手当が含まれているなら、その分を引いてから時給に直すのが正しい手順です。

たとえば、月給の内訳に「基本給」「職務手当」「固定残業代」「通勤手当」が並んでいる求人なら、計算に使うのは基本給と職務手当です。働く都道府県の最低賃金と比べて差が小さい場合は、翌年度の改定で下回ることもあるので、昇給の時期と幅を面接で聞いておくと安心です。

求人票の給与欄が「月給25万円〜35万円」のように幅で書かれているときは、下限の額で計算します。入社時にどの額になるかは選考で決まるので、下限で最低賃金を上回っているかを見ておけば、少なくとも法律の下限は守られている求人だと分かります。

リモートワークの求人では、通勤手当の代わりに在宅勤務手当が支払われることがあります。在宅勤務手当が最低賃金の計算に入るかどうかは、今回あたった資料には書かれていないので、気になるときは会社か労働局に聞いてください。

6. 最低賃金を下回っていたときの扱い

最低賃金を下回る賃金しか支払っていない場合、会社は最低賃金との差額を支払わなければなりません*1。地域別最低賃金を下回った場合は最低賃金法に50万円以下の罰金が、特定(産業別)最低賃金を下回った場合は労働基準法に30万円以下の罰金が定められています*1。

地域別最低賃金は都道府県ごとに決まり、毎年改定されます。令和8年度は全国加重平均が1,177円で、前年度の1,121円から56円上がりました*4。発効日は都道府県によって違い、東京都は令和8年10月1日、京都府は11月16日、熊本県は12月1日です*4。

最低賃金が上がった月から、それまで足りていた給与が下回ることもあります。自分の都道府県の発効日の前後で、給与明細の基本給と所定労働時間から時給を計算し直してみてください。下回っているときは、まず会社の給与の担当者に計算の根拠を聞きます。

会社に聞いても計算の食い違いが解けないときは、給与明細と雇用契約書、年間の勤務カレンダーをそろえておきます。月給、除いた手当、所定労働時間の3つが書面で分かれば、どこで計算が分かれたのかを誰に相談しても説明できます。

7. よくある質問

Q1. 通勤手当は最低賃金に含めてもいいですか?

A. 含めません。時間外割増賃金や賞与と並んで、除外して計算する賃金に挙げられています*3。

Q2. 職務手当は最低賃金の計算に入りますか?

A. 入ります。厚生労働省の計算例でも、職務手当は除外せずに計算しています*2。

Q3. 月給を時給に直すときの時間は何を使いますか?

A. 1か月平均の所定労働時間を使います*2。年間の所定労働日数と1日の所定労働時間から出します。

Q4. 令和8年度の最低賃金はいくらですか?

A. 全国加重平均は1,177円です*4。東京都は1,280円、大阪府は1,231円で、都道府県ごとに額と発効日が違います*4。

Q5. 最低賃金を下回っていたらどうなりますか?

A. 会社は差額を支払わなければなりません*1。地域別最低賃金を下回ると、最低賃金法に50万円以下の罰金が定められています*1。

Q6. 時給で働く人も通勤手当を除きますか?

A. 除きます。時間給の場合は時間給そのものを最低賃金と比べ、交通費は時給に足さずに計算します*2*3。交通費が別に支払われていても、比べるのは時給の額だけです。

8. まとめ:通勤手当を除いて時給に直し最低賃金と比べる

この記事のまとめ

  • 通勤手当は最低賃金の計算に含めない。対象は毎月支払われる基本的な賃金*3
  • 家族手当・精皆勤手当・割増賃金・賞与・臨時の賃金も除く*3
  • 月給は、除いたあとの額を1か月平均の所定労働時間で割って時給に直す*2
  • 令和8年度の全国加重平均は1,177円、東京都は1,280円*4
  • 最低賃金を下回れば、会社は差額を支払わなければならない*1

給与明細を出して通勤手当と残業代を除いた額を書き出し、年間の所定労働時間から出した月の時間で割って、自分の都道府県の最低賃金と比べてください。発効日の前後に一度ずつ計算すると、改定の影響も分かります。

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※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。

出典・参考情報

*1 最低賃金制度とは(厚生労働省)
*2 最低賃金額以上かどうかを確認する方法(厚生労働省)
*3 よくあるご質問 その他の最低賃金についての質問(厚生労働省 最低賃金特設サイト)
*4 令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧(厚生労働省)

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