やりたいことが言葉にならないとき|避けたい方から

エンジニアとして転職を考えるとき、「結局、自分は何がしたいのか」という問いの前で言葉が止まることがあります。やりたいことを直接探そうとすると考えが行き来しやすく、先に避けたいことを挙げていくほうが、条件として言葉にしやすくなります。
やりたいことが言葉にならないときは、避けたいことを先に挙げ、条件として言い換えることが手がかりになります。
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この記事のポイント
- 「何がしたいか分からない」のは珍しいことではなく、避けたいことから考えると条件として言葉にしやすくなります
- 言い換えた条件は、求人票のどの記載で確かめられるかまで対応させておくと、面接でも話しやすくなります
- 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体では22.5%です*1。求人を見るときの前提として押さえておきます
1. 「何がしたいか分からない」は、条件がまだ言葉になっていない状態です
「何がしたいか分からない」という感覚は、やりたいことが存在しないからではなく、条件としてまだ言葉になっていないために起こります。避けたいことから考え、条件に言い換えていくと、やりたいことも言葉にしやすくなります。
やりたいことを直接思い出そうとすると、範囲が広すぎて、どこから考えればよいか分からなくなることがあります。避けたいことは、直前の仕事や場面と結びついているため、先に思いつきやすいという違いがあります。
避けたいことを先に挙げるのは、消去法で選ぶという意味ではありません。避けたいことを条件の言葉に直していく作業を通じて、やりたいことの輪郭を条件として組み立てていく方法です。
この考え方は、転職の初期段階だけでなく、応募先を選ぶ場面や、複数の内定を比べる場面でも同じように使えます。避けたいことから条件に言い換える作業は、場面が変わっても手順は変わりません。
避けたいことから始める考え方は、面接で聞かれたときにも役立ちます。「何がしたいですか」と聞かれて答えに詰まる場合でも、避けたいことから条件に言い換えた内容であれば、順を追って説明できます。
ここから先では、避けたいことを条件に言い換える4段の手順、条件を求人票の記載に対応させる表、言い換えの3つの型、進み具合を確認する2軸の順に見ていきます。
条件として言葉にする作業は、一度で終わるものではありません。求人票を見比べる中で、それまで思い出せなかった避けたいことに気づくこともあり、そのたびに条件を追加していく形で進みます。
2. 避けたいことから条件に言い換える手順を4段でたどります
4段の手順は、気持ちを整理する作業ではなく、言葉を置き換える作業です。避けたいことを書き出す段階では、正確さよりも数を優先し、思いついた順に並べます。
書き出す段階では、件数を絞る必要はありません。多く書き出しておくほど、次の言い換える段階で条件として言葉にできる候補が増えます。件数を絞るのは、優先づける段階で十分です。
言い換える段階では、避けたいことを1つずつ条件の言葉に直します。「残業が多いのは避けたい」であれば、「稼働時間の上限が決まっている」という条件に直る、といった具合です。
優先づける段階では、言い換えた条件のうち、同時には満たせない条件同士を比べ、どちらを先に置くかを決めます。ここで初めて順位という判断が入ります。
最後の照らす段階が、順位をつけた条件を求人票の記載と結びつける作業になります。条件と記載の対応のさせ方は、次の項目で見ていきます。
3. やりたいことは、条件の集まりとして書き出せます
「やりたいことがない」と感じるときも、実際には条件がいくつも重なって、うまく一語にまとまらないだけ、という場合があります。裁量の大きさ、扱う技術の範囲、働き方の形などを一つずつ並べてみると、やりたいことの輪郭が条件の組み合わせとして見えてくることがあります。
条件をまとめて一語で言おうとすると、抽象的な言葉しか出てこないことがあります。「成長できる仕事」「裁量のある仕事」という言葉は、複数の条件を一つに圧縮した結果であり、圧縮する前の個別の条件は言葉の外に残っています。
圧縮する前の条件まで戻れば、やりたいことは一つの正解を探す作業ではなく、条件を集めて並べる作業として扱えます。並べる条件の数が増えるほど、輪郭もはっきりしてきます。
大企業の環境で物足りなさを感じている場合、その物足りなさも条件の一つとして並べられます。物足りなさをどう分解するかは、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 大企業の仕事に物足りなさを感じるとき|分解して見る
4. 避けたいことは、求人票で確かめられる条件に対応します
避けたいことをそのまま言葉にしても、求人票のどこを見ればよいかは分かりません。条件に言い換え、確かめる場所まで対応させておく必要があります。
避けたいこと・言い換えた条件・求人票で見るところ
| 避けたいこと | 言い換えた条件 | 求人票で見るところ |
|---|---|---|
| 毎日同じ作業の繰り返しは避けたい | 担当する技術の範囲が変わる頻度 | 募集要項の業務内容欄 |
| 決定権のない仕事は避けたい | 裁量が本人に置かれているか | 裁量・決裁に関する記載 |
| 出社が前提の働き方は避けたい | 勤務形態を選べる範囲 | 勤務地・リモート可否の欄 |
| 評価の基準が見えない仕事は避けたい | 評価の対象になる項目 | 評価制度・等級の説明 |
表の4行は、避けたいことを条件に言い換え、その条件を求人票のどこで確かめられるかまで対応させたものです。避けたいことをそのまま面接で伝えても、相手には作業の好き嫌いにしか聞こえないことがあります。
条件まで言い換えておくと、求人票の記載と照らし合わせる作業がしやすくなります。募集要項に条件の手がかりがない場合は、面接で直接確認する方法もあります。
求人票に条件の記載がない場合でも、募集要項の別の欄や企業の紹介ページに手がかりが残っていることがあります。手がかりが見つからない条件は、面接で質問する対象として控えておきます。
確認した内容は、内定前後の段階で改めて言葉にしておくと、入社後の期待値の食い違いを避けやすくなります。期待値を言葉にする進め方は、別の記事で扱っています。
表の4行を埋め終えたら、求人票を実際に開き、言い換えた条件がどこに書かれているかを1つずつ確かめてみると、表だけでは気づかなかった記載の場所が見つかることもあります。
あわせて読みたい | 任される範囲の期待値|内定前後で言葉にする
5. 言い換えの型は3つに分かれます
言い換えの型を知っておくと、避けたいことをどの条件に直せばよいか判断しやすくなります。
言い換えの3つの型
- 頻度で言い換える:「繰り返しが多い」を、担当範囲が変わる頻度という条件に言い換えます
- 裁量で言い換える:「決定権がない」を、誰が最終的に決めるかという条件に言い換えます
- 形で言い換える:「出社が前提」を、勤務形態を選べる範囲という条件に言い換えます
3つの型は、避けたいことの性質によって使い分けます。頻度に関する避けたいことは頻度の条件に、裁量に関する避けたいことは裁量の条件に、というように、避けたいことと同じ種類の条件に言い換えると対応がずれません。
型を混ぜて言い換えると、避けたいことと条件の対応が崩れます。「出社が前提なのは避けたい」を裁量の条件に言い換えてしまうと、求人票のどこを見ればよいか分からなくなります。
1つの避けたいことが、複数の型にまたがることもあります。「出社が前提で決定権もない」という避けたいことは、形の条件と裁量の条件の両方にまたがります。その場合は型を1つに絞らず、当てはまる型をすべて条件として書き出しておくと、見落としが減ります。
言い換えた条件を、専門職として進む方向性の話まで広げる場合は、その方向性が制度として用意されているかを見る観点が別に必要になります。制度として存在するかの確かめ方は、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 専門職として進む道|制度としてあるかを見る
6. 2軸で見ると、言い換えの進み具合が見えてきます
言い換えが進んでいるかどうかは、2つの軸で確認できます。
縦軸は求人票で確かめられるかどうか、横軸は条件として書けているかどうかを表します。言い換えた条件がどの位置にあるかを確認すると、次に何をすればよいかが見えてきます。
右上に近い条件は、条件として書けており、求人票でも確かめられる状態です。この位置にある条件から、面接で聞く項目や求人票で確認する項目を決めていけます。
左下に近い条件は、まだ条件として書けておらず、確かめる手がかりも少ない状態です。この位置にある避けたいことは、前の項目で見た3つの型を使って言い換え直すことができます。
位置を判断しにくい条件は、一人で決めきる必要はありません。上長や転職エージェントに、求人票の記載についての見え方を聞いてみると、判断の手がかりが増えることもあります。
2軸で確認する作業は、一度で終わらせる必要はありません。新しく避けたいことに気づくたびに条件に言い換え、位置を確認し直すと、言葉にできる条件を少しずつ増やしていけます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. やりたいことが言葉にならないのは、珍しいことですか。
A. 珍しいことではありません。やりたいことを直接言葉にしようとすると考えが行き来しやすいため、避けたいことから条件に言い換えていく方法があります。避けたいことのほうが直前の経験と結びついているため、先に思いつきやすいという違いがあります。
Q2. 避けたいことが複数あるとき、どれを優先すればよいですか。
A. 優先順位は、条件に言い換えたあとに決めます。言い換える前の「避けたいこと」の段階で優先順位をつけると、条件どうしの重なりに気づきにくくなります。言い換えたあとであれば、同時に満たせない条件を比べて順位をつけられます。
Q3. 条件に言い換えても、求人票で確かめられない場合はどうすればよいですか。
A. 求人票に記載がない条件は、面接で直接確認する方法があります。確認しにくい場合は、人事担当者や転職エージェントの窓口に相談する方法もあります。窓口に相談する際は、言い換えた条件をそのまま伝えると、確認してほしい内容が伝わりやすくなります。
Q4. 言い換えた条件が多すぎて絞れない場合はどうすればよいですか。
A. 条件が多い場合は、2軸で整理し直すと絞り込みやすくなります。一人で絞り込みが難しいときは、社内の人事や公的な相談窓口に相談する方法もあります。相談する際は、条件を書き出したメモを見せながら話すと、状況を共有しやすくなります。
8. まとめ:やりたいことは条件に言い換えられます
この記事の要点
- 「何がしたいか分からない」は、条件がまだ言葉になっていない状態です
- 避けたいことから考えると、条件として言葉にしやすくなります
- 言い換えた条件は、求人票のどこで確かめられるかまで対応させておきます
- 言い換えの型は、頻度・裁量・形の3つに分かれます
- 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体では22.5%です*1。求人を見るときの前提として押さえておきます
やりたいことが言葉にならないときは、避けたいことから条件に言い換えていく方法があります。言い換えた条件は求人票と照らし合わせながら、専任エージェントに相談して整理することもできます。避けたいことを書き出す作業からで構わないので、思いつくところから始められます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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