レビューの観点がばらつくとき|置き場所

レビューで指摘される観点が、担当者によって違って見える場面があります。ここでは観点そのものの選び方ではなく、選んだ観点をどこに書き残すかに絞って見ていきます。中身の合わせ方は、指摘の内容によって答えが変わるため別の記事で扱っており、ここでは書き残す場所を口頭・依頼文・チェックリスト・規約の4つに分けて比べます。
観点がばらつくときに効くのは、観点の中身を増やすことではなく、同じ観点をどこに書き残しておくかという置き場所の選び方です。
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この記事のポイント
- レビューの観点がばらつくときに効くのは、観点の中身ではなく、書き残す場所の選び方です
- 口頭・依頼文・チェックリスト・規約という4つの置き場所は、揃いやすさと書く手間のバランスが異なります
- 置き場所は、指摘が出た頻度・届かせたい範囲・更新のしやすさという3つの視点で選べます
1. レビューの観点がばらつく理由は置き場所に出ます
レビューの観点がばらつくのは、多くの場合、観点の中身が揃っていないからではなく、観点をどこに書き残しているかが揃っていないからです。口頭で伝えるだけの職場と、依頼文やチェックリスト、規約に書き残す職場とでは、同じ観点でも揃い方が変わります。
レビューで指摘される観点が担当者によって違って見えるとき、観点そのものの中身に差があると考えたくなります。ですが実際に確かめられるのは、その観点がどこに書き残されているかということです。書かれていない観点は担当者の記憶に頼ることになり、揃い方がそのつど変わります。
同じ観点でも、口頭で伝えるだけであれば、伝えた側の記憶と受け取った側の記憶がずれた時点で揃わなくなります。依頼文に書けば、その依頼の間だけは参照できます。チェックリストにすれば、依頼をまたいで参照できます。規約に載せれば、担当者が変わっても参照できます。
置き場所が変わると、参照できる範囲と参照できる期間が変わります。観点の中身を増やすより、いまある観点をどこに書き残すかを決めるほうが、揃い方への効き方が大きい場面があります。
ここから先は、置き場所を決めるまでの流れ、4つの置き場所の比較、揃い方が変わる理由、置き場所が移っていく段階、選ぶときの視点の順に見ていきます。
2. 置き場所を決めるまでの流れをたどります
レビューで指摘された観点をどこに書き残すかは、思いつきで決めるものではなく、いくつかの手前の工程を経て決まります。4段の流れで見ていきます。
最初の工程は、ばらついた指摘を集めることです。担当者によって違う言い方で指摘されていても、内容が同じであれば1つの観点として数えます。
次の工程は、集めた指摘の中から毎回出るものを選ぶことです。1度だけ出た指摘まで書き残そうとすると、置き場所がすぐに膨らみ、結局は読まれなくなります。
3つ目の工程は、選んだ観点をどこに書くかを決めることです。口頭・依頼文・チェックリスト・規約という4つの置き場所は、次の章で比べます。
最後の工程は、書いた場所を担当者に共有することです。書いた場所が共有されていなければ、書いたこと自体が観点をばらつかせたままにします。
決める工程を担うのは、レビュアー1人に限りません。チームで話し合って決める職場もあれば、規約を管理する担当者がまとめて決める職場もあります。誰が決める工程を担っているかも、置き場所を確かめるときの手がかりになります。
3. 観点の置き場所を4つに整理します
4つの置き場所を、揃いやすさと書く手間の2つの軸で比べます。どれか1つが常に正しいという整理ではありません。
置き場所・揃いやすさ・書く手間の対応
| 置き場所 | 揃いやすさ | 書く手間 |
|---|---|---|
| 口頭で伝える | その場に居た担当者どまりです | 手間はほとんどかかりません |
| 依頼文に書く | その依頼を見る担当者まで届きます | 依頼のたびに書く手間があります |
| チェックリストにする | 依頼をまたいで担当者に届きます | 作る手間と見直す手間があります |
| 規約に載せる | 担当者が変わっても届きます | 載せる手間と合意を取る手間があります |
口頭で伝える置き場所は、書く手間がほとんどかからない一方、その場に居た担当者にしか届きません。次に別の担当者が同じ観点を持つとは限らず、揃い方は担当者の記憶に依存します。
依頼文に書く置き場所は、依頼文を作るたびに書く手間が発生しますが、その依頼を見る担当者全員に届きます。1件ごとに書き直す手間は、揃えたい観点が毎回変わる場合には向いています。
チェックリストにする置き場所は、1度作れば依頼をまたいで参照できます。作る手間と、内容が古くなっていないか見直す手間の両方がかかります。
規約に載せる置き場所は、担当者が入れ替わっても届きます。載せるまでの手間と、載せる内容についての合意を取る手間がかかるため、決めるまでに時間がかかりやすくなります。
表の4行は、どれか1つを選べば済むという整理ではありません。毎回出る観点は規約やチェックリストに、そのときだけの観点は依頼文に書くといった使い分けがあります。
1つの依頼の中でも、観点によって置き場所が分かれることがあります。その依頼だけに関わる指摘は依頼文に書き、繰り返し使う指摘だけをチェックリストに移すという分け方であれば、同じ観点を2か所に書く重複にはなりません。
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4. 書く場所によって揃い方が変わります
同じレビューの観点であっても、書く場所が変わると揃い方が変わります。これは観点の内容が優れているかどうかとは別の話です。書いた場所に、次に必要になった人が実際に行き着けるかどうかで、揃い方は決まります。
口頭で伝えた観点は、伝えた側と受け取った側の記憶に残る形でしか残りません。時間が経つほど、どちらの記憶も少しずつ違う形に変わっていきます。書き残していない観点が担当者ごとに違って見えるのは、記憶がそれぞれ別に変化していくためです。
依頼文やチェックリスト、規約に書き残した観点は、記憶に頼らずに確認できます。確認できる形にしておけば、担当者が入れ替わっても、同じ文章を読み直すことができます。
書き残す場所を増やすほど揃うとは限りません。同じ観点を口頭でも依頼文でも規約でも書いていると、どれが最新かが分からなくなり、結局は担当者ごとに違う版を参照することになります。
揃い方を安定させるには、観点ごとに書き残す場所を1つに決め、そこを更新する運用にしておくことが目安になります。
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5. 置き場所は4段で移っていきます
レビューで指摘された観点の置き場所は、一度決めたら固定されるものではなく、指摘が積み重なるにつれて移っていく傾向があります。移り方を4段で見ていきます。
最初の段階は、指摘をその場で口頭で伝える段階です。指摘の件数が少ないうちは、口頭で伝えるだけでも足ります。
指摘が依頼のたびに繰り返されるようになると、依頼文に書く段階に移ります。依頼文に書けば、その依頼を見る担当者には届きますが、次の依頼では改めて書くことになります。
同じ指摘が依頼をまたいで繰り返されるようになると、チェックリストにまとめる段階に移ります。1度まとめておけば、次の依頼で書き直す手間が減ります。
チェックリストの内容が、特定のチームだけでなく組織全体で共通していると分かった段階で、規約に載せる段階に移ります。この移り方に、決まった速さや順番はありません。途中の段階を飛ばして規約から始める職場もあります。
どの段階にいるかは、指摘の件数や、届かせたい範囲によって変わります。段階が進んでいることが、そのまま良い状態を意味するわけではありません。
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6. 置き場所を選ぶときの3つの目安を確かめます
置き場所を選ぶときは、観点の中身ではなく、次の3つの視点で決めると迷いにくくなります。
選ぶときの3つの視点
- 頻度:同じ指摘が何度出ているかを見ます
- 届く範囲:誰に届けば足りるかを見ます
- 更新のしやすさ:書いた場所を直しやすいかを見ます
頻度は、同じ指摘が何度出ているかという視点です。1度しか出ていない指摘は依頼文にとどめ、繰り返し出る指摘はチェックリストや規約に移すという判断がしやすくなります。
届く範囲は、その観点を誰に届ければ足りるかという視点です。いま担当している依頼だけに届けば足りるのか、チーム全体や組織全体に届く必要があるのかによって、置き場所は変わります。
届く範囲を考えるうえでは、年代による賃金の水準も背景として触れておきます。一般労働者の賃金は40〜44歳で364.3千円、50〜54歳で388.8千円です*1。見る側に回る年代ほど、観点を書き残す意味が大きくなるという背景にとどめます。この数字は年代ごとの賃金の水準を示すもので、観点の置き場所を決めるものではありません。
更新のしやすさは、書いた場所を直しやすいかという視点です。口頭は直す手間がかからない一方で記録が残らず、規約は記録が残る一方で直すまでに合意を取る手間がかかります。
3つの視点は、どれか1つだけで決める必要はありません。頻度が高く、届く範囲が広く、更新の頻度が低い観点ほど、規約やチェックリストのような書き残る場所に向きます。
選んだ置き場所は、一度決めたら固定するものではありません。頻度や届く範囲が変わったときは、依頼文からチェックリストへ、チェックリストから規約へと、置き場所をあとから移し直すこともできます。
7. よくある質問|置き場所について答えます
Q1. 観点を書き残す場所は、どこに決めても同じですか。
A. 同じではありません。口頭・依頼文・チェックリスト・規約という4つの置き場所は、届く範囲と書く手間が異なります。1度しか出ない指摘と、何度も出る指摘とでは、向いている置き場所も変わります。
Q2. チェックリストと規約は、どちらか一方だけで十分ですか。
A. 一方だけで十分とは限りません。チェックリストは日々の確認に向き、規約はチーム全体や組織全体に届かせる場面に向くため、両方を使い分ける進め方もあります。
Q3. 規約に載せると、内容が古くなっても直しにくくなりませんか。
A. 直しにくくなる場合があります。規約は担当者が変わっても届く一方、内容を直すには合意を取る手間がかかります。合意を取る手順をあらかじめ決めておくと、直しにくさは小さくなります。
Q4. どこに書き残しているかは、面接で確かめられますか。
A. 確かめられる場合があります。観点をどこに書き残しているか、書いた場所をどう共有しているかは、面接で運用を聞く、求人票の記載を確かめるという進め方があります。
8. まとめ:レビューの観点は置き場所で揃えます
この記事の要点
- レビューの観点がばらつくときに効くのは、観点の中身ではなく、書き残す場所の選び方です
- 口頭・依頼文・チェックリスト・規約という4つの置き場所は、揃いやすさと書く手間が異なります
- 置き場所は、指摘を集める→毎回出るものを選ぶ→どこに書くか決める→書いた場所を共有するという流れで決まります
- 置き場所は固定されるものではなく、指摘の積み重ねにつれて口頭から規約へ移っていく傾向があります
- 置き場所を選ぶときは、頻度・届く範囲・更新のしやすさという3つの視点で決められます
レビューの観点がばらつくかどうかは、観点の中身だけでは決まりません。同じ観点でも、口頭で伝えるか、依頼文に書くか、チェックリストにするか、規約に載せるかによって、揃い方は変わります。置き場所は一度決めたら終わりではなく、指摘の頻度や届かせたい範囲に応じて見直していく対象です。書き残す場所について気になる点は、面接で運用を聞くという進め方もあります。
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