コードレビューが厳しいと感じるとき|基準を見る

コードレビューが厳しいと感じる背景には、指摘の基準が示されているか、指摘がどこまで具体的か、伝え方が本人ではなくコードの記述に向いているかという3つの違いがあります。厳しさの強さだけでなく中身を分けて見ると、学べる指摘と、ただ消耗するだけの指摘との差が見えてきます。
レビューの厳しさを見分ける軸は、基準の明示・指摘の粒度・伝え方の3つです。厳しさの強さそのものではなく、何を指摘しているかという中身の違いに注目します。
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この記事のポイント
- コードレビューの厳しさは、基準の明示・指摘の粒度・伝え方の3つに分けて捉えられます
- 転職入職率は9.7%です*1。厳しさへの向き合い方は、いまの職場に限らず共通の関心事です
- 学べる厳しさと消耗する厳しさの違いは、指摘を受けるたびに確かめられます
1. コードレビューの厳しさは、基準・粒度・伝え方の3つで変わります
コードレビューを厳しいと感じる理由は、基準が示されているか、指摘がどこまで具体的か、伝え方が本人ではなくコードに向いているかの3点に分けられます。転職入職率は9.7%です*1。中身を分けて見ることが、学べる厳しさかどうかの判断材料になります。
「厳しい」という感想は、レビューを受けた側の主観だけでなく、レビューの運用がどう設計されているかによっても変わります。基準が共有されているか、指摘がコードの記述に対してだけ向けられているかによって、同じ強さの指摘でも受け取り方は変わります。
基準が示されているレビューでは、指摘の理由をコーディング規約やチームの取り決めに沿って説明できます。基準が共有されていないレビューでは、指摘の理由が担当者の感覚に依存しやすくなり、同じ変更でも担当者によって評価が変わることがあります。
指摘の粒度は、具体的な代案まで示されているか、修正すべき箇所だけを指すのかで分かれます。粒度が細かい指摘は、対応の手間が増えたとしても、次に活かせる情報を含んでいることが多くあります。
伝え方は、指摘がコードの記述に向けられているか、書いた本人の能力や姿勢に向けられているかで分かれます。同じ指摘の内容でも、向けられる先が違うだけで受け止め方は大きく変わります。
厳しさの感じ方は、これまで経験してきた開発体制によっても変わります。基準が明文化されている環境を経験したことがない場合、指摘の粒度や伝え方を見比べる材料自体を持ちにくいという事情もあります。
2. 基準が示されているかどうかで、レビューの受け止め方が分かれます
レビューが厳しいと感じる場面を分けて見ると、基準が示されているかどうかで最初に分かれます。
基準が明文化され、レビュー担当者どうしでも共有されている職場では、指摘の理由をその場で確認できます。規約に沿った指摘であれば、担当者が変わっても評価の基準は大きく変わりません。
基準が担当者の経験や感覚に依存している場合、指摘の理由を尋ねても明確な答えが返ってこないことがあります。同じ書き方でも、レビューする人によって指摘されたりされなかったりすることが起こります。
基準そのものが途中で変わる場合もあります。プロジェクトの方針が変わった、あるいは新しいメンバーの意見で運用が見直された、といった背景があれば、以前は通っていた書き方が急に指摘の対象になることもあります。
基準の有無を見分けるには、指摘を受けた際に、その基準がどこに書かれているかを尋ねてみる方法があります。規約や設計方針への参照が返ってくるか、担当者個人の考えとして説明されるかで、性質の違いが見えてきます。
3. 学べる厳しさと消耗する厳しさは、指摘の粒度に表れます
学べる厳しさと消耗する厳しさの違いは、指摘の粒度に表れやすくなります。粒度が細かい指摘は、どの行のどの処理が対象で、なぜ修正が必要かという理由まで含んでいることが多く、次の実装に活かせる情報になります。
消耗する厳しさでは、指摘の対象が曖昧なまま「読みにくい」「良くない」といった評価だけが伝えられることがあります。具体的にどこをどう直せば良いかが分からないまま、修正の往復だけが増えていきます。
指摘の粒度が細かいことと、指摘の件数が多いことは別の話です。件数が多くても、1件ごとに理由と対応方法が示されていれば、作業量は増えても学べる情報は多くなります。反対に件数が少なくても、理由が示されないまま修正だけを求められると、次に活かせる情報は残りません。
指摘の粒度を確かめるには、過去のレビュー履歴を見比べる方法があります。修正前後のやり取りに、理由や代案が残っているかどうかで、そのレビューの運用がどちらに近いかが見えてきます。
逆に、指摘の口調が穏やかでも、理由や代案が示されないまま「もう少し工夫してください」とだけ伝えられる場合もあります。口調の強さと、指摘に含まれる情報量は、必ずしも一致しません。
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4. 厳しいと感じる場面ごとに、確かめられる中身をまとめます
場面ごとに、何を確かめれば厳しさの中身が見えてくるかを整理します。
厳しいと感じる場面と確かめられる中身
| 厳しいと感じる場面 | 中身 | 確かめられること |
|---|---|---|
| 指摘の件数が多い場面 | 件数の多さと、理由が示されているかは別の観点です | 1件ごとに理由と対応方法が添えられているかを確かめられます |
| 同じ内容でも人によって評価が変わる場面 | 基準が明文化されているかどうかが分かれ目です | 指摘の根拠が規約や設計方針に基づいているかを確かめられます |
| 修正の往復が続く場面 | 指摘の粒度が粗いままだと、往復のたびに新しい指摘が出やすくなります | 最初の指摘に、具体的な修正の方向性が含まれていたかを確かめられます |
| 言い方が強く感じる場面 | 伝え方が、コードに向いているか、書いた本人に向いているかで変わります | 指摘の対象がコードの記述に限定されているかを確かめられます |
表に挙げた4つの場面は、いずれも「厳しい」という感想だけでは中身が見えてこない場面です。件数・基準・往復・言い方のどれに当てはまるかを分けて考えると、確かめる先も変わってきます。
件数が多い場面では、1件ごとの理由を確かめることで、学べる指摘かどうかが見えてきます。理由が添えられていない指摘が多い場合は、レビューの運用そのものに粒度の粗さがある可能性があります。
基準が人によって変わる場面では、指摘の根拠を尋ねてみることが確認の手段になります。規約への参照が返ってくれば基準は明文化されており、担当者個人の考えとして説明される場合は、基準がまだ整っていない可能性があります。
言い方が強く感じる場面では、指摘の対象がコードなのか、本人なのかを見分けることが手がかりになります。コードの記述に限定された指摘であれば、厳しさの強さにかかわらず、学べる情報として受け止めやすくなります。
入社してからの期間が浅いうちは、指摘の基準や粒度がまだ見えていないことも多くあります。試用期間のような早い段階で表にある場面に近い出来事があれば、そのつど確かめておくと、後から振り返る材料になります。
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5. いまの場でできることを、3点に絞ります
厳しさの中身を分けて見たうえで、いまの職場でできることを3点に整理します。
いまの場でできる3点
- 基準を尋ねる:指摘の根拠がどこに書かれているかを確認します
- 代案を求める:修正の方向性を具体的に尋ねて次に活かします
- 対象を確かめる:指摘がコードに向いているかを見極めます
基準を尋ねる際は、規約や設計方針への参照があるかどうかを確認します。参照先が示されれば、指摘は個人の感覚ではなく、共有された基準に基づいていると分かります。
代案を求める際は、修正すべき箇所だけでなく、どういう書き方であれば通るのかまで尋ねます。方向性が示されれば、次の実装でも同じ指摘を避けやすくなります。
対象を確かめる際は、指摘の文面がコードの記述を指しているか、書いた本人の能力や姿勢に触れているかを見比べます。コードの記述に限定された指摘であれば、強い言い方であっても、学べる情報として受け止めやすくなります。
3点はいずれも、その場で確認できる内容です。レビューの運用そのものを変えることは難しくても、指摘を受けるたびにこの3点を確かめる習慣は、いまの職場でも始められます。
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6. 基準の確認から続けるかどうかの判断まで、3段で整理します
厳しさの中身を、確認する順番として3段に整理します。
3段は、下から積み上がる関係にあります。基準が確認できて初めて、指摘の分類に意味が出てきます。基準が定まらないまま指摘だけを分類しようとしても、判断の軸がぶれやすくなります。
指摘の分類は、コードの記述に向けられた指摘か、書いた本人に向けられた指摘かを見分ける段階です。基準の確認を経たうえでこの分類を行うと、同じ厳しさでも受け止め方に差が出てきます。
続けるかどうかの判断は、基準の確認と指摘の分類を経た結果として位置づけられます。学べる指摘が積み重なっているかどうかを、この段階でまとめて振り返ります。
3段を順番に確かめると、厳しいと感じた場面を後から振り返るときの手がかりになります。どの段階でつまずいたかが分かれば、次に同じような場面に出会ったときの見分け方も変わってきます。
この3段の見方は、特定のチームや開発体制に限らず、レビューを受ける場面であれば共通して使えます。異動や転職で環境が変わった際にも、同じ3段で確かめ直すことができます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. コードレビューが厳しいのは、担当者によって違いますか。
A. 同じ職場でも、指摘の基準が明文化されているかどうかによって、担当者ごとの厳しさの感じ方は変わることがあります。基準が共有されていれば、担当者が変わっても評価の軸は大きく変わりにくくなります。
Q2. 指摘の件数が多いことは、厳しいレビューと言えますか。
A. 件数の多さだけでは判断できません。1件ごとに理由と修正の方向性が示されていれば、件数が多くても学べる情報として受け止めやすくなります。
Q3. 厳しい指摘を受けたとき、何を確かめればよいですか。
A. 指摘の根拠がどこに書かれているか、修正の方向性が具体的に示されているか、指摘の対象がコードの記述に限定されているかの3点を確かめる方法があります。
Q4. レビューの厳しさが合わないと感じたら、どう考えればよいですか。
A. 基準の明示・指摘の粒度・伝え方の3点を確かめたうえで、学べる指摘が積み重なっているかどうかを振り返る方法があります。3点のいずれも整っていない場合は、判断の材料の一つとして残しておく考え方もあります。
8. まとめ:レビューの厳しさは、基準・粒度・伝え方で見分けます
この記事の要点
- コードレビューの厳しさは、基準の明示・指摘の粒度・伝え方の3つに分けて捉えられます
- 基準が明文化されているかどうかで、同じ指摘でも受け止め方が変わります
- 指摘の粒度が細かいほど、学べる情報として次の実装に活かしやすくなります
- 伝え方がコードに向いているか、本人に向いているかも見分けの手がかりになります
- 3点を確かめる習慣は、いまの職場でも始められます
コードレビューを厳しいと感じたときは、強さそのものより、基準・指摘の粒度・伝え方の中身を分けて見ることが手がかりになります。学べる指摘かどうかを確かめる視点は、いまの職場でも、次に働く職場でも役立ちます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省 雇用動向調査
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