異動した直後に何から覚えるか

異動が決まったあと、新しい持ち場に着いた直後は、覚える範囲の広さに気を取られ、何から手をつけるか迷いがちです。ただし覚える順番は、思いつきで決めるものではありません。担当の範囲を示す書面や、仕掛かりの一覧、聞く相手といった材料が、すでに職場のどこかに置かれている場合があります。異動直後にまず見ておきたいのは、その材料がどこにあるかという点です。
異動直後に大切なのは、覚える順番を勘で決めることではなく、順番の元になる材料がどこにあるかを先に知ることです。材料の在りかと、順番の組み立て方に絞って見ていきます。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 覚える順番は勘で決めるものではなく、担当の範囲を示す書面や仕掛かりの一覧など、すでに置かれている材料から組み立てられます
- 材料が職場のどこに置かれているかは、書面・一覧・聞く相手の3か所に分けて探すと、抜け漏れが減ります
- 順番を組み立てたあとも、置いた順番のまま進めてよいかを一度見直す機会を持つと、思い込みで進めずに済みます
1. 異動直後は、覚える順番より先に材料を集めます
異動直後に覚える順番を決める前に集めるべきは、担当の範囲を示す書面、仕掛かりの一覧、聞く相手、求められる時期という4つの材料です。この4つがどこに置かれているかを先に知っておくと、覚える順番は自分の感覚ではなく、材料そのものから組み立てられます。
異動直後は、新しい持ち場の全体が見えないまま、覚えることの多さだけが先に伝わってきます。範囲が広く見えるほど、何から手をつければよいか迷いが生じます。
ここで先に決めたいのは、覚える順番そのものではありません。順番を組み立てるための材料が、職場のどこに置かれているかという点です。
材料は大きく4つに分かれます。担当の範囲を示す書面、進行中の仕掛かりの一覧、分からないときに聞く相手、そしてそれぞれをいつまでにできていればよいかという求められる時期です。
4つの材料がすべて1つの資料にまとまっている職場は多くありません。書面は人事や配属先の部署が管理し、仕掛かりの一覧は前任者や上長が持っているなど、置かれている場所が分かれている場合があります。
材料の在りかを先に押さえておけば、覚える順番は探しながら決めるのではなく、見つけた材料をもとに組み立てる作業になります。ここから、材料を集める段階、材料と置き場所の一覧、聞く相手の比重、順番を見直す流れという順に見ていきます。
2. 覚える順番を組み立てるまでの4つの段階
覚える順番を組み立てるまでの動きを、4つの段階に分けて整理します。特定の分野を先に決めるのではなく、まず材料を探すところから始めます。
最初の段階は、担当の範囲を示す書面を探すことです。配属先の部署が用意している場合もあれば、これまでの部署に残っている場合もあります。異動直後の時点でこの書面が見当たらない場合は、次の段階に進みながら並行して探します。
次の段階は、進行中の仕掛かりの一覧を受け取ることです。前任者がすでに他部署へ移っていたり、退職していたりする場合は、上長やチームの他のメンバーが一覧を持っていることがあります。
続く段階は、聞く相手を洗い出すことです。担当の範囲や仕掛かりの一覧だけでは分からないことが、実際に手を動かし始めると必ず出てきます。聞く相手をあらかじめ決めておくと、その都度迷わずに進められます。
最後の段階で、集まった材料をもとに覚える順番を組み立てます。4つの材料がすべて揃っていなくても、集まった分から仮の順番を置いて、残りの分は動きながら埋めていく形でも進められます。
一覧を渡す側がどのような順番をつけて渡しているかについては、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 新人の教育を任されたとき|渡す順番
3. 覚える材料を、置かれている場所で並べます
ここまでの4つの材料について、どこで確かめられるかを一覧にします。
【表1】集める材料と、どこで確かめられるか
| 集める材料 | どこで確かめられるか |
|---|---|
| 担当の範囲を示す書面 | 配属先の部署が管理する資料、または人事から渡される配属通知に添えられた文書 |
| 仕掛かりの一覧 | 前任者が作成した引き継ぎ資料、または上長やチームが管理する進行管理表 |
| 聞く相手 | 上長、チームの担当者、または配属先で窓口と決められている人 |
| 求められる時期 | 担当の範囲を示す書面に添えられた注記、または上長からの案内 |
4つの材料は、必ずしも1つの資料にまとまっているわけではありません。書面と一覧が別々の部署で管理されている職場もあります。
担当の範囲を示す書面は、配属先の部署が用意している場合と、人事からの配属通知に添えられている場合があります。見当たらないときは、両方を確認しておくと取りこぼしが減ります。
仕掛かりの一覧は、前任者が作成した引き継ぎ資料としてまとまっている場合と、チームで共有される進行管理表の一部として残っている場合があります。
求められる時期は、書面の中に注記として添えられている場合と、上長から個別に案内される場合とに分かれます。注記がない資料であれば、上長に聞くところから始めます。
表の4項目を先に押さえておくと、置かれている場所を探すときに、どこから確認すればよいかで迷う時間が減ります。
聞く相手が決まったあと、いつ何を聞くかという組み立て方は、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 入社してからの30日|聞ける時期に聞くこと
4. 人の動きがある職場ほど、聞く相手の比重が上がります
担当の範囲を示す書面や仕掛かりの一覧が、すべての情報を書き切っているとは限りません。書き切れていない分は、聞く相手が担う比重が上がります。
厚生労働省の調査によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍で、全職業の1.26倍を上回ります*1。人の動きがある職場では、前任者がすでに異動や退職で職場を離れていることもあります。この数字は有効求人倍率であって、覚える順番を決めるものではありません。
前任者が近くにいない場合、仕掛かりの一覧に書かれていない細かい経緯までは、資料だけでは分からないことがあります。聞く相手を複数人に分けておくと、1人が答えられない分を別の人に聞き直せます。
聞く相手は、上長1人に絞らなくてもよい場合があります。仕掛かりの一覧の内容についてはチームの担当者、求められる時期については上長というように、材料ごとに聞く相手を分ける方法もあります。
聞く相手が決まっていない状態のまま日々の仕事を進めると、小さな疑問が積み重なり、あとから確認する量が増えます。異動直後の早い時点で、材料ごとの聞く相手を洗い出しておくと、疑問をその都度解消しながら進められます。
5. 置いた順番を見直すまでの4つの流れ
覚える順番は、一度置いたら固定するものではありません。置いた順番を実際に進めながら見直すまでを、4つの流れに分けて整理します。
1つ目は、集まった材料をもとに順番をいったん置くことです。4つの材料がすべて揃っていなくても、集まった分から仮の順番を置いて構いません。
2つ目は、置いた順番のまま実際に仕事を進めてみることです。進めてみることで、書面や一覧だけでは見えなかった部分が見えてきます。
3つ目は、進めながら、置いた順番と実際の忙しさとのずれがないかを見ることです。仕掛かりの一覧に書かれていた優先度と、実際に急がれている仕事の優先度が違う場合があります。
4つ目は、ずれが見えたときに、材料をもとに順番を組み直すことです。この先の数か月にかけて、日々の進め方をどう積み上げていくかについては、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい | 入社後3か月の立ち上がり|リモートで信頼を作る
6. 材料が揃わないときの3つの支え
4つの材料が、異動直後にすべて揃っているとは限りません。揃わないときの支えを3つに整理します。
材料が揃わないときの3つの支え
- 書面が見当たらないとき:人事や配属先の部署に、担当の範囲を示す資料があるかを聞く方法があります
- 一覧が引き継がれていないとき:チームの進行管理表や、関係する資料から仕掛かりを拾い出す方法があります
- 聞く相手が決まっていないとき:上長に、まず誰に聞けばよいかを聞くところから始める方法があります
材料が一部しか揃っていない状態でも、覚える順番を組み立てる作業自体は止めなくて構いません。揃わないときの支えを3つに分けて見ていきます。
書面が見当たらないときは、探すのをそこで止めず、人事や配属先の部署に資料があるかを聞く方法があります。書面自体が存在しない職場では、口頭での説明が書面の代わりになっている場合もあります。
仕掛かりの一覧が引き継がれていないときは、チームの進行管理表や、関係する資料の更新履歴から、進行中の仕事を拾い出す方法があります。前任者が残したメモが、別の場所に保管されている場合もあります。
聞く相手が決まっていないときは、上長に、まず誰に聞けばよいかを聞くところから始めます。聞く相手を1人に絞れなくても、最初の窓口が分かれば、そこから先に広げていけます。
3つの支えのどれも見当たらない場合でも、置いた順番を進めながら見直す流れに戻ることで、少しずつ材料を補っていけます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 担当の範囲を示す書面が、異動直後に見当たらない場合はどうすればよいですか。
A. 人事や配属先の部署に、資料があるかを聞く方法があります。書面自体が用意されていない職場では、上長が口頭で担当の範囲を説明する形になっている場合もあります。
Q2. 仕掛かりの一覧は、誰から受け取るのが基本ですか。
A. 前任者から受け取るのが基本です。前任者がすでに他部署へ移っていたり、退職していたりする場合は、上長やチームの担当者が一覧を管理していることがあります。
Q3. 覚える順番は、材料が全部揃うまで置かないほうがよいですか。
A. 全部揃うまで待つ必要はありません。集まった材料から仮の順番を置き、進めながら見直す方法があります。
Q4. 聞く相手は、上長1人に絞ったほうがよいですか。
A. 絞らなくても構いません。材料ごとに聞く相手を分ける方法もあり、仕掛かりの一覧はチームの担当者、求められる時期は上長というように分けている職場もあります。
8. まとめ:異動直後は材料の在りかから順番が決まります
この記事の要点
- 異動直後に覚える順番を決める前に、担当の範囲を示す書面・仕掛かりの一覧・聞く相手・求められる時期という4つの材料を集めます
- 4つの材料は、必ずしも1つの資料にまとまっておらず、置かれている場所を一覧で押さえておくと探す時間が減ります
- 人の動きがある職場では前任者が近くにいないこともあり、聞く相手を複数人に分けておくと疑問をその都度解消できます
- 覚える順番は集まった材料から仮に置き、進めながらずれを見て組み直す流れで整えられます
- 材料が揃わないときは、人事・チームの資料・上長という3つの支えを使って補っていけます
異動直後に覚える順番を組み立てる作業は、材料をすべて集め切ってから始めるものではありません。集まった分から仮に置き、進めながら整えていく形でも十分に進められます。
異動直後は、覚える順番を勘で決めるのではなく、担当の範囲を示す書面、仕掛かりの一覧、聞く相手、求められる時期という4つの材料がどこにあるかを先に押さえ、集まった分から順番を置いて、進めながら見直していくと、思い込みで動かずに済みます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
来客を受けるときの決まり|見る場所
来客を迎えるとき、氏名や会社名、訪問予定の時間をあらかじめ伝えているかどうかで、当日の受付での取り次ぎのしやすさが変わります。受付に人がいる時間か、画面や電話で取り次ぐ時間かも、会社ごとの案内によって異なります。事前に出 […] -
座席が移るとき|そろえるものと届け先
社内でチームの編成替えやフロアの配置替えがあると、座席移動が起こることがあります。移った先の机は前の席とは別の場所にあるため、そのときに持って動くものと置いていくものの線引き、直す登録の在りか、鍵やロッカーの受け渡しに絞 […] -
失敗を持ち寄る場はあるか|在りかを見る
エンジニアの職場で、うまくいかなかったことを持ち寄る場が用意されているかどうかは、定例の議題や書いて残す場所の有無によって見えてきます。障害報告書の書き方や手戻りが起きる場所、通知の基準は別の記事で扱っているため、ここで […] -
持ち込みが制限される現場|線引き
現場によっては、私物の端末や記録媒体を持ち込めない場面があります。入館の案内やセキュリティに関する案内には、持ち込みの制限だけでなく、私物の置き場所や、例外の申請ができるかどうか、預けたものの受け取り方まで書かれているこ […]