テレワークの勤務時間は誰が決める?求人で見る3つの制度

「フレックスタイム制だから、何時に働いても自由」と思って入社すると、想定と違う運用に戸惑うことがあります。始業・終業の時刻を誰が決めるのか、勤務の途中で私用の外出(中抜け)が認められるのかは、制度の名前だけでは分かりません。
テレワークを導入している企業の割合は47.3%です*1。導入しているかどうかと、始業・終業の時刻を誰が決めるかは、別の話です。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- テレワークを導入している企業の割合は47.3%です。導入の有無は、始業・終業の時刻を誰が決めるかとは別の指標です*1。
- 一般労働者の賃金は50〜54歳の層で月388.8千円です。年齢を重ねてからの転職でも、賃金の水準を保つ余地はあります*2。
- 転職者数は330万人です。勤務時間の決め方を変える目的での転職も、珍しいことではありません*3。
1. テレワークの勤務時間は、固定か裁量かで分かれます。
テレワークの勤務時間は、会社が始業・終業の時刻を固定するか、本人の裁量に委ねるかで、実際の自由度が大きく変わります。総務省の調査では、テレワークを導入している企業の割合は47.3%でした*1。導入しているという事実だけでは、始業・終業の時刻を誰が決めるのか、勤務の途中で私用の外出(中抜け)が認められるのかまでは分かりません。求人票に書かれた「フレックスタイム制」「時差出勤」という表記も、その内側にある決定権の所在までは示していません。
「リモートワーク対応」「フレックスタイム制」という表記は、勤務時間の枠組みを示すだけで、実際の運用までは説明しません。同じフレックスタイム制でも、コアタイムを設ける会社と設けない会社とでは、始業時刻の自由度がまったく異なります。
勤務時間を誰が決めるかは、大きく分けて3つの形があります。会社が始業・終業の時刻を固定する固定時間制、いくつかの始業パターンから選ぶ時差出勤制、そして本人が清算期間のなかで始業・終業を決めるフレックスタイム制です。
中抜けが認められるかどうかも、この3つの制度とは別の軸で決まります。フレックスタイム制であっても、就業規則に中抜けの規定がなければ、勤務時間中の私用の外出は原則として認められません。
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2. 1日の勤務時間には、変わる地点が4つあります。
勤務時間の決め方は、1日の流れのなかでどこが固定でどこが本人の裁量かを見ると分かりやすくなります。始業から終業までの4つの地点で、決まり方がどう変わるかを確認します。
始業の時刻は、固定時間制であれば会社が一律に決めますが、時差出勤制であれば数パターンのなかから選べる場合があります。フレックスタイム制ではさらに幅が広がり、清算期間内の総労働時間さえ満たせば、日々の始業時刻を本人が決められます。
コアタイムを設けるフレックスタイム制では、その時間帯だけは出社や在宅勤務にかかわらず必ず就業している必要があります。コアタイムを設けない、いわゆるフルフレックスの制度では、1日のなかで必ず就業すべき時間帯そのものがありません。
中抜けは、始業や終業の柔軟さとは別の軸にあります。フレックスタイム制で始業時刻を自由に選べても、就業規則に中抜けの規定がなければ、勤務時間中に私用で離席することは想定されていません。
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3. 固定時間制・時差出勤・フレックスは決定権が違います。
固定時間制は、始業・終業の時刻を会社が一律に決める制度です。テレワークであっても勤務時間帯そのものは出社勤務と変わらず、本人が時刻を動かす余地はありません。生活の予定に合わせて働く時間を調整したい場合には、最も自由度の低い制度になります。
時差出勤制は、会社があらかじめ用意した複数の始業パターンから、本人が選ぶ制度です。たとえば8時始業・9時始業・10時始業のように区切られたパターンのなかで選択する運用が一般的で、始業時刻を毎日変えることは想定されていません。
フレックスタイム制は、あらかじめ定めた清算期間のなかで、始業・終業の時刻を本人が決める制度です。コアタイムを設ける場合は、その時間帯だけ全員が就業している必要がありますが、それ以外の時間帯は本人の裁量で調整できます。
コアタイムを設けない、いわゆるフルフレックスの制度では、就業が義務づけられる時間帯そのものがありません。清算期間内の総労働時間を満たせば、始業・終業の時刻を日ごとに変える運用になります。3つの制度のなかで、最も決定権が本人側に寄っています。
どの制度を採用していても、中抜けの扱いは制度の名前からは分かりません。就業規則に中抜けの規定があるかどうかを、求人票とは別に確認しておく必要があります。
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4. 導入率と賃金と転職者数を、表にまとめます。
勤務時間の決め方を考える背景として、テレワークの導入状況と、転職に関わる数字を確認しておきます。総務省と厚生労働省の調査から、導入率・賃金・転職者数を表にまとめました。
【表1】テレワークの導入率と賃金・転職者数
| 指標 | 数値 | 出典・備考 |
|---|---|---|
| テレワークを導入している企業の割合 | 47.3% | 総務省 通信利用動向調査(2024年)*1 |
| 一般労働者の賃金・50〜54歳(月額) | 388.8千円 | 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2025年調査)*2 |
| 転職者数 | 330万人 | 総務省 労働力調査 詳細集計(2025年平均)*3 |
表のとおり、テレワークを導入している企業の割合は47.3%です*1。導入率が半数近くに達していても、それは始業・終業の時刻を誰が決めるかという運用までは示していません。
賃金については、50〜54歳の層で月388.8千円でした*2。転職者数は330万人です*3。年齢を重ねてからの転職でも賃金の水準を保つ余地があり、働き方を変える目的での転職も一定数あることが、この2つの数字から見えてきます。
5. 始業の柔軟さと中抜けの可否は、軸が異なります。
始業時刻の柔軟さと、中抜けが認められるかどうかは、別の軸で決まります。2つの軸を掛け合わせると、求人票を見るときに確認すべき組み合わせが整理できます。
始業は選べても中抜けは認めない運用と、始業は固定でも中抜けは認める運用が、どちらも実在します。「フレックスタイム制」という言葉だけで、この2つを区別することはできません。
求人票に「フレックスタイム制」と書かれていても、中抜けの可否までは記載されないことが少なくありません。始業の柔軟さと中抜けの可否は別の軸にあることを踏まえ、面談の段階で両方を確認しておく必要があります。
生活の予定に合わせて働きたい場合、始業を選べて中抜けも認められる組み合わせが、最も調整の幅が広い運用になります。この組み合わせを求人票だけで見分けることは難しく、確認の手間を惜しまないことが判断のずれを防ぎます。
6. 勤務時間の決め方は、4点を確認しておきます。
テレワーク対応の求人に応募する前に、勤務時間の決め方について確認しておきたい点を整理します。
勤務時間の決め方を確認するためのチェックポイント
- 始業・終業を決める人:会社が固定するのか、いくつかのパターンから選ぶのか、本人が清算期間内で決めるのかを確認します。
- コアタイムの有無:フレックスタイム制の場合、コアタイムがあるか、あるとすれば何時から何時までかを確認します。
- 中抜けの可否と申請方法:勤務時間中の私用の外出が認められるか、認められる場合の申請の手順を確認します。
- 清算期間の帳尻合わせ:フレックスタイム制の清算期間中に労働時間が不足・超過した場合、どう調整するのかを確認します。
始業・終業を決める人が誰かは、求人票の「フレックスタイム制」「時差出勤」という表記だけでは分かりません。面談の場で、誰がどの範囲まで時刻を決められるのかを具体的に尋ねておくと、入社後の想定違いを防げます。
コアタイムの有無は、1日の自由度を大きく左右します。コアタイムがある場合は何時から何時までかを、ない場合は本当に必ず就業すべき時間帯が存在しないのかを、あわせて確認しておきます。
中抜けの可否と申請方法は、就業規則に規定があるかどうかで決まります。規定がない会社では、勤務時間中の私用の外出そのものが想定されていない場合があるため、面談で直接尋ねる価値があります。
清算期間の帳尻合わせは、フレックスタイム制を選ぶ場合に見落としやすい点です。ある月に労働時間が不足した場合、翌月に繰り越すのか、その月のうちに調整するのかは、会社によって運用が異なります。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. コアタイムがないフレックスタイム制なら、何時に働いても自由か。
A. 清算期間内の総労働時間を満たすことが前提になります。深夜や早朝の勤務を制限する社内規定を設けている会社もあるため、始業・終業の範囲そのものに制約がないかを確認しておく必要があります。
Q2. 時差出勤とフレックスタイム制は、何が違うのか。
A. 時差出勤は会社が用意した複数の始業パターンから選ぶ制度で、パターン自体は固定です。フレックスタイム制は、清算期間内であれば始業・終業の時刻を日ごとに変えられる点が異なります。
Q3. 中抜けした時間は、結局どこかで働くことになるのか。
A. 会社によります。中抜けした時間分を勤務時間の外に置き、終業時刻を後ろにずらして調整する運用が一般的ですが、規定は会社ごとに異なるため、申請方法とあわせて確認しておきます。
Q4. 求人票に「フレックスタイム制」とだけ書かれている場合、何を追加で聞けばよいか。
A. コアタイムの有無と時間帯、中抜けの可否、清算期間の長さの3点を尋ねると、実際の自由度が見えてきます。求人票の表記だけでは、この3点までは分かりません。
Q5. テレワークであることと、勤務時間の柔軟さは関係があるか。
A. 直接は関係しません。テレワークを導入していても勤務時間は固定時間制のままの会社もあれば、出社中心でもフレックスタイム制を採用している会社もあります。2つは別々に確認する必要があります。
8. まとめ:テレワークの勤務時間は制度の形で決まります。
この記事の要点
- テレワークを導入している企業の割合は47.3%です。導入の有無は、始業・終業の時刻を誰が決めるかとは別の指標です*1。
- 勤務時間の決め方は、固定時間制・時差出勤制・フレックスタイム制の3つに大きく分かれ、決定権の所在が異なります。
- 始業の柔軟さと中抜けの可否は別の軸にあり、「フレックスタイム制」という言葉だけでは両方を判断できません。
- 一般労働者の賃金は50〜54歳の層で月388.8千円、転職者数は330万人です。年齢を重ねてからの転職でも、勤務時間の決め方を変える選択は珍しくありません*2*3。
勤務時間の決め方は、求人票の一文だけでは判断できません。始業・終業を決める人、コアタイムの有無、中抜けの可否という3点を面談で確認したうえで、暮らしに合う働き方を選んでいきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査」(令和6年)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 総務省「労働力調査(詳細集計)2025年平均結果」(2026年公表)
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