在宅勤務手当の対象費用|支給形態による違い

在宅勤務手当は、金額だけを見ても中身までは分かりません。通信費や光熱費、机や椅子といった什器、文房具などの消耗品まで、何をまかなう名目の手当なのかは会社によって違います。月額の定額か実費の精算か、出社した日には減るのかも、あわせて確認しておきたい点です。求人票の「諸手当」欄を見るときは、金額の大小より先に、その対象範囲を確かめておく必要があります。
テレワークを導入している企業の割合は47.3%です*1。導入が広がるほど、手当がまかなう範囲や支給の形にも幅が出てきます。金額だけを比較すると、実際に受け取れる内容を見誤ることになります。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- テレワークを導入している企業の割合は47.3%です。導入が広がる一方で、在宅勤務手当がまかなう範囲は会社ごとに異なります*1。
- 一般労働者の賃金は25〜29歳で279.4千円、40〜44歳で364.3千円です。年代によって賃金の水準が変わるため、手当が基本の給与に含まれるか別枠かで受け取り方も変わります*2。
- 在宅勤務手当は、通信費や光熱費、机や椅子、消耗品のどこまでを対象にするかが会社によって違います。求人票の「諸手当」欄と面談で、対象範囲と支給の形を確認しておくことが欠かせません。
1. 在宅勤務手当は、何をまかなうかが会社で違います。
在宅勤務手当は、通信費や光熱費、什器や消耗品のどこまでを対象にするかが会社によって異なります。総務省の通信利用動向調査では、テレワークを導入している企業の割合は47.3%でした*1。導入企業が広がる一方で、手当の名目や範囲は統一されておらず、求人票の「諸手当」欄に金額だけが書かれていても、まかなう範囲までは読み取れません。何を対象にした手当なのかを、金額を見る前に確認しておく必要があります。
この手当という名称は同じでも、対象にする費用は会社によって異なります。通信回線の費用だけを対象にする会社もあれば、電気代やガス代といった光熱費まで含める会社、机や椅子といった什器や、文房具などの消耗品まで対象にする会社もあります。
求人票の「諸手当」欄には、手当の名称と金額が並びますが、対象となる費目までは書かれていない場合があります。金額だけを比較すると、実際にまかなえる費用の範囲を見誤ることになります。
テレワークを導入している企業の割合は47.3%まで広がっています*1。導入が進むほど、手当の設計にも幅が出てくるため、求人票の記載だけで判断せず、対象範囲を確認する姿勢が欠かせません。
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2. 賃金の水準は、年代によって開きがあります。
在宅勤務手当が基本の給与に含まれるのか、別枠で支給されるのかを考えるうえで、賃金そのものの水準がどう変わるかを先に確認します。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金は25〜29歳で279.4千円、40〜44歳で364.3千円でした*2。年代が上がるほど、賃金全体の水準も上がっています。
この手当が給与に含めて計算されている求人では、この賃金の中に手当の分がどれだけ含まれているかが見えにくくなります。年代によって賃金の水準そのものが変わるため、含まれているかどうかを確認しないまま比較すると、手当の有無を見落とすことになります。
一方、手当が給与とは別枠で明記されている求人であれば、年代や基本の給与の水準に関わらず、支給される金額を独立して確認できます。給与に含めるか別枠にするかは、求人票の書き方だけでは判断しづらいため、面談で確認しておく項目になります。
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3. 対象になる費用も、出社日数との関係も分かれます。
インターネット回線の費用を対象にする会社もあれば、電気代やガス代といった光熱費まで含める会社もあります。通信費だけにとどめる会社との違いは、求人票の記載だけでは分かりにくい点です。
在宅勤務に使う机や椅子といった什器、文房具などの消耗品まで対象にする会社もあります。初回だけ一時金として支給し、その後は継続しない会社と、毎月の手当に含めて支給し続ける会社とでは、同じ名称の手当でも中身が変わります。
出社日数との関係も、会社によって扱いが分かれます。出社の有無にかかわらず月額を定額で支給する会社もあれば、出社した日数に応じて金額を減らす会社、出社が一定の日数を超えると支給の対象から外れる会社もあります。
ハイブリッド勤務の求人では、出社の頻度そのものが求人票だけでは分かりにくいという事情もあります。出社日数と手当の関係を確認するときは、まず出社の頻度がどう定義されているかを面談で確かめておくと、手当の実際の受け取り方も見えやすくなります。
支給が始まる時期も、会社によって扱いが分かれます。入社した月からすぐに支給する会社もあれば、試用期間の間は対象外にする会社もあります。対象になる費用の範囲だけでなく、支給がいつから始まるのかも、あわせて確認しておきたい点です。
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4. 支給の形と位置づけを、表で並べます。
在宅勤務手当は、金額だけでなく支給の形や給与上の位置づけによっても中身が変わります。定額か実費精算か、出社日数によって変わるか、給与に含めるか別枠にするか、社会保険料の算定に含まれるかを、確認する項目として整理します。
【表1】在宅勤務手当の支給の形と確認項目
| 確認する項目 | パターンA | パターンB | 確認の仕方 |
|---|---|---|---|
| 支給の方法 | 月額を定額で支給 | 実費を精算して支給 | 求人票の「諸手当」欄・面談 |
| 出社日数との関係 | 出社日数に関わらず一定額 | 出社日数に応じて減額・対象外になる場合がある | 面談で運用を確認 |
| 給与上の位置づけ | 基本の給与に含めて計算 | 基本の給与とは別枠で明記 | 求人票の給与欄の書き方 |
| 社会保険料の算定 | 算定の対象になる場合がある | 算定の対象にならない場合がある | 会社の担当部署・面談 |
支給の方法が定額か実費精算かによって、月ごとに受け取る金額の変動が変わります。定額であれば毎月同じ金額が入りますが、実費精算では利用状況によって金額が上下します。どちらであっても、対象になる費目の範囲は別に確認しておく必要があります。
給与に含めて計算するか、別枠で明記するかによって、手当の存在そのものが見えにくくなる場合があります。社会保険料の算定に含まれるかどうかも、含め方によって変わることがあるため、金額だけでなく位置づけまで確認しておくことが欠かせません。
表の4つの項目は、どれか1つを確認しただけでは全体像がつかめません。支給の方法と出社日数との関係は受け取る金額の変動に関わり、給与上の位置づけと社会保険料の算定は手続きの面に関わります。性質の違う項目であることを踏まえて、それぞれ別に確認しておく必要があります。
5. 確認する優先順位は、3段で整理できます。
3つの段に分けて、確認する項目の優先順位を整理します。
求人票に最初に載るのは、手当の名称と月額または上限額です。金額の大小だけを比較すると、対象になる費用の範囲まで確認しないまま判断することになります。
中段にあたるのが、通信費や光熱費、机や椅子といった什器、消耗品のどこまでを対象にするかという範囲です。金額が同じでも、対象になる費目が違えば実際の負担感は変わります。
土台になるのが、支給の形と給与上の位置づけです。定額か実費精算か、出社日数によって変わるか、給与に含めるか別枠にするか、社会保険料の算定に含まれるかは、求人票だけでは読み取れないため、面談で確認しておく必要があります。
6. 在宅勤務手当を確認する項目を、まとめました。
この手当について、求人票と面談で確認しておきたい項目を整理します。
在宅勤務手当で確認しておきたい項目
- 対象の範囲:通信費、光熱費、机や椅子などの什器、消耗品のどこまでを対象にするかを確認します。
- 支給の方法:月額の定額か、利用実績に応じた実費精算かを確認します。
- 出社日数との関係:出社日数に関わらず一定額か、出社日数に応じて金額が変わるかを確認します。
- 給与上の位置づけ:基本の給与に含めて計算されるのか、別枠で明記されるのかを確認します。
- 社会保険料の算定:手当が社会保険料の算定に含まれるかどうかを確認します。
- 支給が始まる時期:入社直後からか、試用期間を終えてからかを確認します。
- 確認先:求人票の「諸手当」欄に記載がない場合は、面談で担当者に確認します。
7つの項目はどれも、金額だけを見ていては気づきにくい点です。求人票の「諸手当」欄に手当の名称と金額が書かれていても、対象の範囲や支給の方法、支給が始まる時期まで書かれているとは限りません。
同じ名称の手当でも、対象の範囲と位置づけの組み合わせによって、実際に受け取る内容は大きく変わります。転職先を比較するときは、金額を並べる前に、この7つの項目をひとつずつ確認しておくことが判断のずれを防ぐことにつながります。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 在宅勤務手当は、どの求人にも用意されているか。
A. 求人ごとに異なります。手当の有無や名称は会社によって違うため、求人票の「諸手当」欄で確認する必要があります。
Q2. 出社した日がある月は、手当が減るか。
A. 会社によって扱いが分かれます。出社日数に関わらず定額を支給する会社もあれば、出社した日数に応じて金額を調整する会社もあるため、面談で運用を確認しておく必要があります。
Q3. 在宅勤務手当は、基本の給与に含めて計算されるか。
A. 求人によって異なります。基本の給与に含めて計算する会社と、別枠で明記する会社があるため、給与欄の書き方や面談で確認する必要があります。
Q4. 手当は社会保険料の算定に含まれるか。
A. 会社の扱いによって異なります。算定に含める場合と含めない場合があるため、詳しい扱いは会社の担当部署に確認する必要があります。
Q5. 在宅勤務手当と通勤手当は、あわせて受け取れるか。
A. 会社によって異なります。出社日数に応じて通勤手当を精算し、在宅勤務手当は別に定額で支給する会社もあれば、出社が少ない月は通勤手当を支給しない会社もあるため、両方の手当の関係を確認しておく必要があります。
8. まとめ:手当の範囲は、金額より先に確かめます。
この記事の要点
- 在宅勤務手当がまかなう範囲は、通信費、光熱費、机や椅子などの什器、消耗品のどこまでかで会社ごとに違います。
- テレワークを導入している企業の割合は47.3%です。導入が広がるほど、手当の設計にも幅が出てきます*1。
- 一般労働者の賃金は25〜29歳で279.4千円、40〜44歳で364.3千円です。年代で賃金の水準が変わるため、手当が給与に含まれるか別枠かの確認がより重要になります*2。
- 支給の方法、出社日数との関係、給与上の位置づけ、社会保険料の算定は、求人票だけでなく面談で確認しておく必要があります。
在宅勤務手当は、金額の大小だけでは比較できません。まかなう範囲と支給の形、給与上の位置づけまで確かめたうえで、転職先を選ぶ判断材料にしていきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査」(令和6年調査・2025年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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