正社員登用の志望動機は何を答える?実績の数え方

契約社員や派遣として働きながら正社員登用を目指すとき、面談で「なぜ正社員になりたいのか」と聞かれて、うまく言葉にできないまま終わることがあります。働き方の希望だけを話しても、いまの業務で何を担ってきたかが伝わらなければ、答えとしては伝わりにくいままです。
一般労働者の賃金は25〜29歳で月279.4千円です*1。正社員登用の面談では、この水準を踏まえて、自分の実績をどう言葉にするかが問われます。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 一般労働者の賃金は25〜29歳で月279.4千円です。登用後の年収を尋ねられたとき、比べる基準になります*1。
- 正社員全体でテレワークを実施しているのは22.5%です。働き方の希望だけを理由にすると、他の候補者との違いが伝わりません*2。
- 転職した人のうち賃金が増加した割合は40.5%です。正社員登用が見込めない場合でも、正社員求人を探すという道があります*3。
1. 正社員登用の面談では実績の伝え方が問われます
正社員登用の面談で聞かれる「なぜ正社員になりたいのか」には、働き方の希望だけでなく、いまの業務で出した実績を数字や具体例で示す答えが必要です。一般労働者の賃金は25〜29歳で月279.4千円です*1。登用後の年収を尋ねられたときに、この水準と自分の希望を比べて話せるようにしておくと、答えに具体性が出ます。面談官が知りたいのは、働きたい気持ちの強さではなく、正社員として業務を担当できるという根拠です。契約社員や派遣として担当してきた業務の内容を、件数や期間で言い直しておく準備が、正社員登用の答えを組み立てる土台になります。
「正社員になりたい理由」を聞かれたとき、リモートワークで働きたい、収入を安定させたいといった希望だけを話す人がいます。希望自体は間違っていませんが、それだけでは他の契約社員や派遣社員と何が違うのかが伝わりません。正社員登用の面談で問われているのは、希望の強さではなく、正社員として業務を担当できるという根拠です。
根拠として使えるのは、いまの業務で担当してきた内容です。件数や継続した期間、対応してきた業務の幅を数字で言い直すと、面談官は具体的に判断できます。「頑張ってきました」という言葉だけでは、何を頑張ったのかが残りません。
登用後の給与を聞かれる場面もあります。先に挙げた25〜29歳の賃金の水準を基準にしておけば、自分の希望する年収を数字で答えられます。感覚だけで「上げてほしい」と伝えるより、根拠のある数字を添えたほうが、担当者にも希望が伝わりやすくなります。
面談官は、契約社員や派遣として働いてきた期間そのものを否定的に見ているわけではありません。見ているのは、その期間にどんな業務を担当し、何を積み重ねてきたかです。働き方を変えたい理由と、積み重ねてきた実績をセットで話せると、答えの厚みが増します。
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2. 答えの組み立て方で伝わり方が変わります
面談での答えは、希望を話すか実績を話すかという分かれ目と、数字を添えるかどうかという分かれ目で整理すると分かりやすくなります。同じ「正社員になりたい」という気持ちでも、どちらを選ぶかで、伝わる情報の量が変わります。
希望だけを話す答えは、動機として間違ってはいませんが、担当者から見ると他の候補者の答えと似た内容になりがちです。実績を数字で示す答えのほうが、担当してきた業務の規模や続けた期間が具体的に伝わり、比べる材料になります。
数字を示すといっても、大きな成果である必要はありません。担当した件数や続けた期間など、いま手元にある数字を言葉にするだけで十分です。次の項目では、その数字をどう用意するかを見ていきます。
話す内容を選ぶときは、直近の業務から選ぶと数字を思い出しやすくなります。半年以上前の実績は、件数や期間があいまいになりやすく、面談で聞かれた際に答えに詰まる原因になります。
3. 働き方の希望だけでは説得力を欠きます
正社員全体でテレワークを実施しているのは22.5%です*2。「リモートで働きたいから正社員になりたい」という理由だけでは、正社員になっても希望が叶うとは限らないことになります。面談官もこの数字を把握している場合があり、希望だけの答えでは説得力が十分ではなくなります。
働き方の希望を話すこと自体は問題ではありません。問題は、希望だけで答えを終えてしまうことです。契約社員や派遣として担当してきた業務の中に、正社員として続けたい理由と結びつく実績があるはずです。そこまで言葉にして初めて、希望に根拠が付きます。
実績を挙げるときは、業務の大きさよりも、続けてきた期間や対応した件数のほうが説明しやすくなります。「3年間、同じ担当を続けています」「月に◯件を安定して対応しています」といった数字は、面談官が規模を想像しやすい材料になります。
正社員登用の面談で聞かれる質問は、企業によって細かさが違います。それでも「なぜ正社員になりたいのか」という問いは、共通して聞かれる質問です。この問いへの答えを、希望と実績の両方で用意しておくことが、準備の中心になります。
契約社員や派遣という働き方を経てきたこと自体は、面談で不利になる材料ではありません。不利になるとすれば、その期間に何をしてきたかを言葉にできていないときだけです。実績を数字にする準備は、そのまま面談での説得力につながります。
4. 業務の実績をどう数えるかを確認します
面談で使う実績は、特別な成果でなくてもかまいません。日々担当している業務を、数えられる形に言い直すところから始めます。
【表1】面談で使える実績の言い直し方
| 実績の種類 | 何を数えるか | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 対応した業務の量 | 担当した件数や依頼の数 | 月◯件を◯か月継続して対応しました |
| 業務を続けた期間 | 同じ担当を続けた年数や月数 | 入社から◯年、同じ業務を担当しています |
| 改善した内容 | 変更前と変更後の違い | 対応にかかる時間を◯割減らしました |
表にある3つの実績は、どれも特別な成果である必要はなく、日々の業務を数える形に直しただけのものです。「頑張ってきました」ではなく、件数・期間・変化の3つに分けて言葉にすると、担当者は実績の大きさを具体的に比べられます。
3つとも埋める必要はありません。いまの業務のなかで数えやすいものを1つか2つ選び、正社員登用の面談で話す実績として先に言葉にしておくと、当日にあわてず答えられます。
改善した内容を挙げるときは、変える前の状態も併せて話すと、変化の大きさが伝わりやすくなります。件数や時間を、変更前後の両方で示すと、担当者によりはっきり伝わります。
5. 面談までの準備は逆算して進めます
正社員登用の面談は、直前に希望を考えるだけでは間に合いません。担当してきた業務を数字にする作業に、ある程度の時間がかかるためです。3か月前から準備を始めると、書き出す時間と、内容を選ぶ時間の両方を確保できます。
1か月前の時点では、書き出した実績の中から、面談で話す内容を絞り込みます。すべてを話そうとすると、かえって印象に残りにくくなります。数字がはっきりしている実績を2〜3件に絞ると、担当者にも伝わりやすくなります。
面談前日には、選んだ実績を声に出して練習しておきます。頭の中で分かっているつもりでも、声に出すと時間が足りなかったり、説明の順番が分かりにくかったりすることに気づきます。正社員として働き始めたあとの立ち上がり方も、あわせて考えておくと、面談での受け答えに落ち着きが出ます。
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6. 答えを作る前に整理しておく項目があります
正社員登用の面談で話す答えを作る前に、整理しておきたい項目をまとめます。
答えを準備する前に確認すること
- 実績の棚卸し:直近半年から1年で担当した業務を、件数や期間で書き出します。
- 制度の条件:勤務年数や評価など、正社員登用の対象になる条件を上司や人事に確認します。
- 希望と実績の組み合わせ:働き方の希望だけでなく、実績を1つ以上入れて答えを組み立てます。
- 登用が見込めない場合の準備:転職した人のうち賃金が増加した割合は40.5%です*3。登用を待つだけでなく、正社員求人を探す準備を並行して進めることもできます。
4つの項目のうち、最初に取り組むのは実績の棚卸しです。ここで書き出した内容が、面談で話す答えの材料になります。
制度の条件は、企業によって細かさが違います。勤務年数の目安や評価の基準を、面談の前に上司や人事に確認しておくと、答えを作る方向性がずれません。
希望と実績の組み合わせは、これまでの項目で見てきた内容です。希望だけで終わらせず、担当してきた業務の実績を添えることが、答えに具体性を持たせます。
正社員登用の対象にならない、あるいは時期が見えない場合もあります。そのときは、登用を待つだけでなく、正社員求人を探すという道もあります。先の項目で見た転職後の賃金の変化を踏まえると、待つこと以外の準備をしておいても損はありません。
4つの項目は、面談の直前にまとめて用意するものではありません。実績の棚卸しから始めて、順番に整理しておくと、直前になって慌てずに答えを組み立てられます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 契約社員から正社員登用された場合給与はどう変わりますか?
A. 企業ごとの規定によります。求人票や社内規定で、登用後の給与の決まり方を確認しておくと、面談で希望を伝えやすくなります。
Q2. 正社員登用の面談ではいつから準備を始めればよいですか?
A. 目安は面談の3か月前です。担当してきた業務を数字で書き出す作業に時間がかかるため、直前だけの準備では実績が具体的になりません。
Q3. 面談で働き方の希望を話してはいけませんか?
A. 話してかまいません。ただし希望だけで答えを終えると、他の候補者との違いが伝わりにくくなります。実績と組み合わせて答えます。
Q4. 登用の対象にならなかった場合はどうすればよいですか?
A. 正社員求人に応募するという選択肢があります。登用の条件を満たすのを待つ以外にも、道はあります。
Q5. 実績が少ないと感じる場合はどうすればよいですか?
A. 件数や期間が小さくても、数字にできれば実績として話せます。大きさよりも、具体的な数字を添えられるかどうかが重要です。
8. まとめ:正社員登用の面談は実績の言語化で決まります
この記事のまとめ
- 正社員登用の面談で聞かれる「なぜ正社員になりたいのか」には、働き方の希望だけでなく、実績を数字で示す答えが必要です。
- 一般労働者の賃金は25〜29歳で月279.4千円です。登用後の年収を尋ねられたときの基準になります*1。
- 正社員全体でテレワークを実施しているのは22.5%です。希望だけを理由にすると、他の候補者との違いが伝わりません*2。
- 転職した人のうち賃金が増加した割合は40.5%です。登用が見込めない場合でも、正社員求人を探すという道があります*3。
正社員登用の面談は、身構えるほど特別な場ではありません。担当してきた業務を数字で言い直し、希望と組み合わせて話す準備をしておけば、当日は落ち着いて答えられます。登用の時期が見えない場合も、正社員求人という選択肢を並行して持っておくことができます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
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