リモート手当の金額|実費精算と定額で変わる課税

在宅勤務が前提の求人票を見ていると、「在宅勤務手当」「テレワーク手当」という欄はあっても、金額が書かれていないことがあります。書かれていても、その手当が通信費や電気代の実費を埋め合わせるものなのか、毎月決まった額を渡すものなのかで、税金の引かれ方まで変わります。求人票のどこを見れば、その違いが分かるのかを確認します。
常用雇用者100人以上の企業のうち47.3%がテレワークを導入しており、情報通信業では実施率が56.3%と業種別で最も高くなっています*1*3。在宅勤務そのものは珍しくなくなった一方で、手当の金額や課税の扱いは企業ごとに差があり、求人票の記載を自分で確認する必要があります。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 在宅勤務の手当は、通信費や電気代を実費で精算する方式と、毎月定額を渡し切る方式に分かれ、課税されるかどうかが変わります*4。
- 常用雇用者100人以上の企業のうち47.3%がテレワークを導入しており、情報通信業では実施率が56.3%と業種別で最も高い水準です*1*3。
- 一般労働者の賃金(40〜44歳)は月364.3千円です。手当はこの賃金に上乗せする形で支給されることがあり、金額よりも精算方式の違いが手取りに影響します*2。
1. リモート手当の金額は精算方式で決まります
在宅勤務の手当は、金額そのものよりも「実費精算か、定額の渡し切りか」で税金の扱いが変わります。総務省の通信利用動向調査では、常用雇用者100人以上の企業のうち47.3%がテレワークを導入しています*1。求人票に「在宅勤務手当」「テレワーク手当」と書かれていても、通信費や電気代を実費で計算して支給する場合と、毎月一律の金額を渡し切りで支給する場合とでは、受け取った側の税負担が変わります。求人票を見るときは、金額の大小だけでなく、どちらの方式かを確認する必要があります。
リモート手当という名称は法律で定められたものではなく、企業が独自に付けている呼び方です。通信費・電気代・机や椅子などの備品費用のいずれか、または複数をまとめて手当としている企業もあれば、実費精算のみで手当という名目を使わない企業もあります。
求人票では「諸手当」の欄や「福利厚生」の欄に、在宅勤務手当・テレワーク手当という表記で書かれることが一般的です。金額まで明記されている求人もあれば、「規定による」とだけ書かれ、詳細が面談でしか分からない求人もあります。
情報通信業ではテレワーク実施率が56.3%と業種別で最も高く*3、ITエンジニアの求人では在宅勤務手当そのものを目にする機会も相対的に多くなります。だからこそ、金額の有無だけでなく、精算方式まで求人票や面談で確認しておくことが欠かせません。
あわせて読みたい | みなし残業のある求人|エンジニアが確かめる3点
2. 在宅勤務の費用負担は2つの方式に分かれます
在宅勤務にかかる費用の負担方法は、大きく分けて実費精算と定額支給の2つがあります。リモート手当という名前で呼ばれていても、中身がどちらの方式かによって、受け取る側の手取りが変わります。
国税庁は「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で、通信費や電気代を業務使用分に応じて按分し、実費として精算した場合には、給与としての課税をしない考え方を示しています*4。
一方で、毎月一律の金額を渡し切りで支給し、使わなかった分の返還を求めない場合は、実費精算とは認められず、給与として所得税の対象になります*4。求人票に金額だけが書かれていても、この違いまでは読み取れません。
3. 手当の金額は賃金と比べると大きくありません
在宅勤務の手当の金額は、企業ごとの規定によって決まり、全国共通の統一基準があるわけではありません。公的な統計として金額そのものの相場が公表されているわけではないため、実際の金額は個別の求人票や面談で確認する必要があります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、40〜44歳の一般労働者の賃金は月364.3千円でした*2。手当は多くの場合、この賃金に上乗せする形で支給されるため、月々の手取りに占める割合としては大きくありません。
手当の金額そのものよりも重みを持つのは、実費精算か定額支給かという方式の違いです。同じ金額でも、実費精算で非課税になる場合と、定額支給で課税される場合とでは、手取りに差が生まれます。
求人票に金額だけが書かれ、方式が書かれていない場合は、面談で確認しておくとよいでしょう。実費精算であれば、通信費や電気代の明細を求められることもあります。定額支給であれば、給与明細のどこに含まれるかを確認しておくと、課税後の手取りを把握しやすくなります。
在宅勤務中心の求人ほど、手当の有無や精算方式が採用条件として明記されやすい傾向があります。逆に出社を前提とした求人では、手当の項目自体が用意されていないことも珍しくありません。求人の働き方の前提を確認してから手当の欄を見ると、条件の比較がしやすくなります。
4. 求人票の費目ごとに課税の扱いが変わります
在宅勤務でかかる費用を、費目ごとに整理します。国税庁が公表した「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」をもとに、実費精算と定額支給それぞれの課税の扱いをまとめました*4。
【表1】在宅勤務でかかる費用と課税の扱い
| 費目 | 一般的な精算方法 | 課税されるか |
|---|---|---|
| 通信費(インターネット料金など) | 業務使用分を按分して実費精算 | 按分どおりなら非課税*4 |
| 電気代(在宅勤務時間分) | 国税庁が示す算式で按分して実費精算 | 算式どおりなら非課税*4 |
| 机・椅子などの備品 | 会社が貸与し、所有権は会社のまま | 貸与なら非課税、譲渡は課税*4 |
| 毎月一律の手当(渡し切り) | 定額を毎月支給し、返還を求めない | 給与として課税*4 |
表のとおり、通信費や電気代は、業務で使った分だけを計算して支給する実費精算であれば、原則として課税されません*4。国税庁は電気代について、在宅勤務日数などをもとにした按分の算式を示しており、その算式どおりに計算していることが前提になります。
一方で、毎月一律の金額を渡し切りで支給し、使わなかった分の返還を求めない場合は、実費精算とは認められず、給与として所得税の課税対象になります*4。求人票に「在宅勤務手当あり」とだけ書かれている場合、このどちらに当たるかまでは読み取れません。
5. 情報通信業ではテレワーク実施率が最も高くなっています
パーソル総合研究所の調査では、情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で、業種別で最も高い水準でした*3。ITエンジニアの求人では、在宅勤務が前提の条件が珍しくないため、リモート手当のような費用負担の項目も求人票に明記されやすくなります。
実施率が高いことは、手当が必ず用意されていることを意味しません。在宅勤務そのものが一般的になっている業種だからこそ、費用負担の有無や方式を、求人ごとに確認する必要があります。
求人票に「リモート手当あり」と書かれていても、実費精算か定額支給かまでは分からないことがあります。気になる場合は、選考の過程で担当者に確認しておくと、入社後の認識のずれを防げます。
あわせて読みたい | 保育園の送りと勤務時間|時差出勤と在宅勤務の相談先
6. リモート手当を求人票で確認するときの点を整理します
在宅勤務を考えている人が、リモート手当について求人票で確認しておきたい点を整理します。
リモート手当を確認するときのチェックリスト
- 手当の名称:「在宅勤務手当」「テレワーク手当」など、諸手当の欄にどう書かれているかを確認します。
- 精算方式:通信費や電気代を実費で精算するのか、毎月定額で支給するのかを確認します。
- 課税の扱い:定額支給であれば給与として課税されるため、額面と手取りの差を確認します*4。
- 上限や条件:出社日数や在宅勤務日数によって、手当の対象になる条件が変わるかどうかを確認します。
求人票に「リモート手当あり」とだけ書かれている場合、精算方式までは分からないことがあります。面談で「実費精算か、定額支給か」を尋ねると、税金の扱いまで含めて確認できます。
実費精算の場合、通信費や電気代の明細を提出する運用になっている企業もあります。手続きの手間と、非課税になるという利点を、あわせて確認しておくとよいでしょう。
定額支給の場合、給与明細のどの項目に含まれているかを確認すると、額面と手取りの差を把握しやすくなります*4。同じ金額の手当でも、課税される分だけ手取りは少なくなります。
4つの確認点はどれも単独では判断材料として不十分です。手当の名称・精算方式・課税の扱い・上限や条件をあわせて確認することで、リモート手当の実態が見えてきます。
あわせて読みたい | ハイブリッド勤務の求人|「リモート可」では分からない出社頻度
7. よくある質問(Q&A)
Q1. リモート手当は必ず支給されるか
A. 必ず支給されるわけではありません。在宅勤務手当という名称の有無や金額は企業ごとの規定によって決まり、法律で義務づけられたものではありません。求人票や面談で確認する必要があります。
Q2. 通信費を実費精算する場合非課税になるか
A. 業務使用分を適切に按分して実費精算していれば、原則として非課税です。国税庁のFAQでは、通信費や電気代の按分方法が示されています*4。
Q3. 毎月定額で支給される手当は必ず課税されるか
A. 使い切らなくても返還を求めない渡し切りの定額支給は、実費精算とは認められず、給与として課税されます*4。
Q4. 求人票に金額が書かれていない場合どう確認すればよいか
A. 選考の過程で、精算方式と目安の金額をあわせて尋ねるとよいでしょう。金額だけを聞くよりも、実費精算か定額支給かを確認するほうが、手取りへの影響が分かります。
Q5. 在宅勤務の実施率が高い業種ほど手当も手厚いか
A. 必ずしもそうとは限りません。情報通信業はテレワーク実施率が業種別で最も高い水準ですが*3、手当の有無や金額は実施率とは別の基準で企業ごとに決まります。
8. まとめ:手当は金額より精算方式を確認します
この記事のまとめ
- 在宅勤務の手当は、通信費や電気代を実費精算する方式と、毎月定額を渡し切る方式に分かれ、課税されるかどうかが変わります*4。
- 実費精算であれば、業務使用分を按分して計算していれば原則として非課税です。渡し切りの定額支給は、給与として課税されます*4。
- 常用雇用者100人以上の企業のうち47.3%がテレワークを導入しており、情報通信業では実施率が56.3%と業種別で最も高い水準です*1*3。
- 求人票に「リモート手当あり」と書かれていても、精算方式までは分からないことがあります。金額だけでなく、実費精算か定額支給かを確認しておくことが欠かせません。
リモート手当は、金額の大小だけで判断すると、実際の手取りとのずれに気づかないことがあります。次の一歩は、気になる求人票の手当欄を、精算方式まで含めて確認してみることです。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査」(2025年公表・令和6年8月末時点、常用雇用者100人以上の企業が対象)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年公表)
*4 国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
転職支援金は課税される?一時所得と申告の目安
転職にあわせて、勤務先や移住先の地方公共団体から支援金を受け取ることがあります。入社時の支度金、転職活動の費用を補助する助成金、地方への移住を後押しする支援金まで、名称も支払う主体もさまざまです。同じ「支援金」という言葉 […] -
転職エージェントと話す時の服装|対面とオンラインの違い
転職エージェントとの面談は選考そのものではないからと、服装を後回しにしがちです。ただし対面かオンラインかで見られる範囲が変わり、私服可と言われたときに指す範囲も、初回の面談か選考本番かで違います。形式ごとの目安を先に持っ […] -
履歴書の書き方|退職理由と本人希望欄に書くリモート勤務
転職活動で履歴書を書き始めると、学歴と職歴をどこで区切るか、退職理由をどこまで具体的に書くか、志望動機をどう組み立てるかで手が止まることがあります。本人希望記入欄にリモート勤務の希望を書いてよいのか、写真は必要か、手書き […] -
内定承諾後の辞退|伝える手順と転職の例文
内定を承諾したあとに事情が変わり、入社を辞退したいと考える場面があります。選考の途中で断る場合と違い、承諾後はすでに入社日や引き継ぎの調整が始まっていることもあり、誰にどの順番で伝えるかによって、そのあとのやり取りのしや […]