労働条件通知書はいつもらう?転職で届かないときの確認先

転職の内定が出たあと、労働条件通知書がいつ届くのか分からないまま入社日が近づくことがあります。求人票に書かれていた条件と実際の契約内容が一致しているかを確かめる手段は、この書面のほかにありません。渡されるタイミングを先に知っておくことが、入社前の最後の確認作業を落ち着いて進める土台になります。
厚生労働省の一般職業紹介状況では、有効求人倍率が1.26倍でした*1。応募先を1社に絞らず複数の内定を比較する転職者が増えるほど、届いた書面の内容を確認する必要も高まります。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 有効求人倍率は1.26倍です。求人が求職者を上回る状況では、複数の内定を同時に検討する人が増え、届いた書面を見比べる場面も増えます*1。
- 一般労働者の平均年齢は44.4歳です。年齢や経験年数にかかわらず、書面の内容を自分で確認する必要は変わりません*2。
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です。在宅勤務を前提にできる人はまだ少数のため、就業場所の記載内容を書面で確かめておく必要があります*3。
1. 労働条件通知書は契約締結時に交付されます
労働条件通知書は、労働契約を結ぶときに使用者から書面で交付することが法律で義務づけられており、遅くとも入社日までに渡される必要があります。厚生労働省の一般職業紹介状況では、有効求人倍率が1.26倍でした*1。求人が求職者の数を上回る状況では、複数の内定を同時に検討する時間が生まれやすくなり、その間に届く書面の内容を確認する必要も高まります。
厚生労働省の案内では、この書面での明示は労働契約を締結する際に義務づけられています*4。実務での渡し方は企業ごとに異なり、内定通知と同時に渡す企業もあれば、入社手続きの書類一式に含めて渡す企業もあります。
渡し方が企業ごとに異なっていても、渡す時期そのものが労働契約の締結より後になってよいわけではありません。入社日までに届いていない場合は、契約の内容が固まっていない状態のまま入社日を迎えることになります。複数の内定を比較している場合は、条件を並べて確認できる状態にしておくことが、判断の助けになります。
一般労働者の平均年齢は44.4歳です*2。転職する人の年齢や経験年数はさまざまですが、その内容を自分の目で確認する作業は、年齢や経験年数にかかわらず必要になります。
あわせて読みたい | オファー面談で年収交渉はできる?確認すべき条件と進め方
2. 内定から入社までの流れをたどります
内定から入社までのどの段階で労働条件通知書が渡されるかは、法律で一律に決まっているわけではありません。内定の連絡と同時に渡す企業もあれば、雇用契約書などの入社書類一式に含めて渡す企業、初出社の日にまとめて渡す企業もあります。
渡す時期が企業によって異なる理由は、内定から入社までの手続きの進め方が企業ごとに違うためです。ただし、労働契約を結ぶ時点までに書面の内容が固まっている必要がある点は、どの企業でも変わりません。
内定から入社までの間に書面が届かないまま日数が経過している場合は、次に届く書類がどれなのかを人事担当者に確認しておくと、入社日までに内容を把握できないまま出社日を迎える事態を避けられます。
あわせて読みたい | 試用期間が不安なエンジニアへ|見られている点
3. 記載事項は2024年4月に追加されました
労働条件通知書に書面で明示しなければならない項目は、労働契約の期間、就業の場所や従事する業務の内容、始業・終業の時刻、賃金の決定方法、退職に関する事項など、労働基準法で定められています*4。
2024年4月からは、これらに加えて新しい明示事項が追加されました。厚生労働省の案内によると、就業場所や業務の内容について「雇い入れ直後」の内容に加え、将来の配置転換などで変わり得る範囲まで明示することが、すべての労働者を対象に必要になりました*4。
有期労働契約を結ぶ場合は、さらに3つの項目が追加されています。契約の更新上限の有無と内容、無期転換を申し込める権利が発生する更新のタイミングでその旨を明示すること、無期転換後の労働条件です*4。
追加された4項目のうち、就業場所と業務内容の変更範囲は、契約期間の定めがあるかどうかにかかわらず、すべての労働者が対象になります。更新上限や無期転換に関する3項目は、有期労働契約を結ぶ人だけが対象です*4。
追加された項目のうち、就業場所の変更範囲は、リモートワークでの勤務を希望する人にとって見落とせない項目です。雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%にとどまります*3。在宅勤務を続けられる保証は少数派であるからこそ、就業場所の記載内容を書面で確かめておく必要があります。
2024年4月より前のひな形をそのまま使っている企業では、新しい項目が抜けている場合があります。抜けている項目に気づいたら、追加の明示を求めることができます。
4. 明示事項を項目ごとに並べます
労働条件通知書に明示される主な項目を、以前からの項目と2024年4月に追加された項目に分けて確認します。
【表1】明示される主な項目の一覧
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 労働契約の期間の定めの有無と内容 | 有期契約は更新基準も明示*4 |
| 就業場所・業務内容 | 雇い入れ直後の勤務地と業務、および将来の変更範囲 | 2024年4月から変更範囲が追加*4 |
| 労働時間 | 始業・終業の時刻、休憩、休日、シフトの決め方 | |
| 賃金 | 賃金の決定方法、計算方法、支払方法、締め日と支払日 | |
| 退職 | 退職の事由や手続き、解雇の事由を含む退職に関する事項 |
表にある項目のうち、契約期間や就業場所、労働時間、賃金、退職に関する事項は、以前から書面での明示が義務づけられていた項目です*4。
2024年4月に追加されたのは、就業場所と業務内容について、雇い入れ直後の内容だけでなく、将来の配置転換などで変わり得る範囲まで明示する項目です*4。求人票に書かれた勤務地の説明だけでは、この変更範囲までは分かりません。
表にある項目は、書面で示すことが義務づけられた絶対的明示事項です。これとは別に、退職手当や賞与、安全衛生に関する事項などは、該当する制度がある企業だけが示す相対的明示事項に分類されます*4。制度自体が無い企業では、この部分の記載がなくても違反にはなりません。
求人票に記載されていた条件と、実際に交付された書面の内容が異なっている場合は、まず人事担当者に確認します。求人票の記載自体を確認する視点は、休日の内訳を扱った別記事でも取り上げています。
あわせて読みたい | 年間休日120日は多い?内訳の見方と求人票の確認点
5. 書面の有無で次の対応が分かれます
労働条件通知書が届いているかどうかと、入社日までの日数が残っているかどうかを組み合わせると、次にとるべき対応が見えてきます。
入社日までに時間がある場合は、書面が届いていても届いていなくても、落ち着いて確認や催促を進められます。反対に入社日が近づいている場合は、確認や催促を先延ばしにする余裕がありません。
この書面が入社日までに届かない場合、口頭で伝えられた条件だけをもとに入社を決めることになりかねません。届いていないと気づいた時点で、早めに動くことが必要です。
6. 届かないときの手順を整理します
労働条件通知書が届かないまま入社日が近づいたときに、確認しておきたい手順を整理します。
書面が届かないときに確認する手順
- まず人事担当者に確認する:内定の連絡をした部署や担当者に、労働条件通知書がいつ届くかを確認します。
- 届け方を確認する:交付は書面のほか、電子メールなど本人が希望した方法も認められています*4。希望する届け方を伝えます。
- 求人票との違いを控えておく:求人票に書かれていた条件と異なる点があれば、その箇所を控えておき、届いた時点で照らし合わせます。
- それでも届かない場合の相談先:会社に確認しても交付されない場合は、労働基準監督署に相談する方法があります。
労働条件通知書が届かないまま入社日が近づいている場合、まず確認するのは、内定の連絡をした部署や担当者です。渡し忘れなのか、まだ準備中なのかによって、次にすることが変わります。
交付は書面のほか、労働者が希望すればファックスや電子メールなど、本人が確認できる方法も認められています*4。希望する届け方を先に伝えておくと、渡し忘れを防ぎやすくなります。
求人票に書かれていた条件と、口頭で聞いていた条件に違いがある場合は、その箇所をメモに残しておきます。書面が届いた時点で、メモと照らし合わせて確認します。
会社に確認しても交付されない場合や、内容に納得できない場合は、労働基準監督署に相談する方法があります。入社後にまとめて確認しようとすると、契約の内容が分からないまま働き始めることになります。
手順の4つは、どれも入社を決める前に済ませておきたい内容です。届くのを待つだけでなく、届いていない事実を早めに伝えることが、入社後の行き違いを防ぐ準備になります。連絡した日付や担当者の名前を控えておくと、後から確認する際にも役立ちます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 労働条件通知書は内定通知と同じタイミングでもらえますか?
A. 企業によって異なります。内定通知と同時に渡す企業もあれば、入社手続きの書類一式に含めて渡す企業もあります。渡し方に決まった形式はありません。
Q2. 労働条件通知書がメールで届いても問題ありませんか?
A. 問題ありません。労働者が希望すれば、電子メールなど本人が確認できる方法での明示も認められています*4。
Q3. 労働条件通知書と雇用契約書は同じものですか?
A. 目的が異なります。こちらは会社から労働者への一方的な明示、雇用契約書は双方の合意を示す書面です。両方を交付する企業と、どちらか一方だけの企業があります。
Q4. 求人票の内容と労働条件通知書の内容が違う場合はどうすればよいですか?
A. まず人事担当者に確認します。求人票とこの書面のどちらが優先されるかを含め、担当者に直接確かめる必要があります。
Q5. 労働条件通知書が交付されないまま入社してしまいましたどうすればよいですか?
A. 入社後でも、交付を求めることができます。会社に確認しても応じない場合は、労働基準監督署に相談する方法があります。
8. まとめ:労働条件通知書は届いた時点で内容を確認します
この記事のまとめ
- 労働条件通知書は、労働契約を結ぶ際に書面で交付することが義務づけられており、遅くとも入社日までに渡される必要があります*4。
- 2024年4月からは、就業場所や業務内容について、雇い入れ直後の内容に加えて将来の変更範囲までの明示が必要になりました*4。
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です。在宅勤務を前提にできる人は少数のため、就業場所の記載内容を確認しておく必要があります*3。
- 書面が届かない場合は、人事担当者への確認と、必要に応じた労働基準監督署への相談という手順があります。
労働条件通知書は、内定から入社までのどこかで交付されるべき書面です。届いたタイミングで内容を確認し、求人票との違いに気づいたときは早めに問い合わせておくことが、入社後の行き違いを防ぐ準備につながります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2025年公表)
*4 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
転職支援金は課税される?一時所得と申告の目安
転職にあわせて、勤務先や移住先の地方公共団体から支援金を受け取ることがあります。入社時の支度金、転職活動の費用を補助する助成金、地方への移住を後押しする支援金まで、名称も支払う主体もさまざまです。同じ「支援金」という言葉 […] -
転職エージェントと話す時の服装|対面とオンラインの違い
転職エージェントとの面談は選考そのものではないからと、服装を後回しにしがちです。ただし対面かオンラインかで見られる範囲が変わり、私服可と言われたときに指す範囲も、初回の面談か選考本番かで違います。形式ごとの目安を先に持っ […] -
履歴書の書き方|退職理由と本人希望欄に書くリモート勤務
転職活動で履歴書を書き始めると、学歴と職歴をどこで区切るか、退職理由をどこまで具体的に書くか、志望動機をどう組み立てるかで手が止まることがあります。本人希望記入欄にリモート勤務の希望を書いてよいのか、写真は必要か、手書き […] -
内定承諾後の辞退|伝える手順と転職の例文
内定を承諾したあとに事情が変わり、入社を辞退したいと考える場面があります。選考の途中で断る場合と違い、承諾後はすでに入社日や引き継ぎの調整が始まっていることもあり、誰にどの順番で伝えるかによって、そのあとのやり取りのしや […]