固定時間制の働き方|時差出勤の申請と中抜けの扱い

固定時間制と書かれた求人を見て、始業と終業の時刻はまったく動かせないと思い込んでいませんか。実際には、時差出勤の申請や休憩の取り方まで会社ごとに幅があり、求人票の同じ表記でも中身は一様ではありません。応募前にどこを確認すればよいかを整理します。
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。選べる求人の数が多い分野だからこそ、同じ表記の求人でも、始業・終業や休憩の扱いを1件ずつ確かめる必要があります。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です。比較できる求人が多いため、固定時間制という表記だけで応募先を決めずに、始業・終業の幅を1件ずつ確かめる余地があります*1。
- テレワークを導入している企業は47.3%です。働く場所を選べる会社でも、始業と終業の時刻は固定時間制のまま運用している例があります*2。
- 一般労働者の賃金は55〜59歳が396.2千円でピークになります。時間の融通だけでなく、賃金の水準もあわせて確認しておく必要があります*3。
1. 固定時間制の求人は始業と終業の時刻を変えません
固定時間制の求人は、始業と終業の時刻を就業規則であらかじめ1つに定めており、フレックスタイム制のように働く人が時刻を選べる清算期間を持ちません。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。比較できる求人の数が多いからこそ、同じ表記でも、時差出勤や休憩の扱いは会社ごとに幅があることを、応募前に見分ける必要があります。
固定時間制とは、始業と終業の時刻を会社が一律に定める働き方です。労働基準法34条では、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を、労働時間の途中に与えることが定められています*4。この求人でも、休憩の長さの原則は変わりません。
始業と終業の時刻そのものは、求人票に書かれた時刻から動かないのが原則です。ただし、通院や保育園の送り迎えなど個別の事情に応じて、始業と終業をまとめて前後にずらす時差出勤を、会社の制度として認めている例があります。フレックスタイム制の清算期間とは異なり、時差出勤は日ごとの申請で運用されるのが一般的です。
この表記だけでは、時差出勤の制度があるかどうかまでは分かりません。求人票の勤務時間欄や備考欄を確かめたうえで、記載がなければ面談で聞く、という手順が必要になります。
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2. 固定時間制とフレックスタイム制は時刻の決め方が違います
両者はどちらも働く時間を決める仕組みですが、時刻の決め方が根本的に違います。
固定時間制は、始業と終業の時刻を会社が1つに定める仕組みです。フレックスタイム制は、一定の範囲で労働者が時刻を選べる仕組みで、月単位などの清算期間で労働時間の合計を管理します。どちらも労働基準法の労働時間や休憩の原則を満たす必要がある点は共通です*4。
求人票に「固定時間制」と書かれていても、時差出勤の制度を併用している会社があります。フレックスタイム制のようにコアタイムを設けるわけではなく、始業と終業をまとめて前後にずらす点が違います。
総務省の調査では、テレワークを導入している企業は47.3%です*2。働く場所を選べる会社であっても、始業と終業の時刻を変えない運用のまま求人を出す例は珍しくありません。
求人票の文言だけを見比べても、この違いは伝わりにくいものです。表記の先に、時差出勤の制度や中抜けの扱いまで書かれているかを、あわせて確かめる必要があります。
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3. 時差出勤の申請は会社ごとに条件が異なります
時差出勤は、始業と終業の時刻をまとめて前後にずらす制度です。固定時間制の求人であっても、通院や保育園の送り迎えなど、個別の事情を条件に認める会社があります。
申請の単位は会社によって異なります。1日単位で当日の朝に申請する会社もあれば、1か月単位でまとめて届け出る会社もあります。求人票だけでは、この単位までは分からないことがほとんどです。
中抜けの扱いも、時差出勤とは別に確認しておく必要があります。中抜けとは、勤務時間の途中で私用のために席を外すことです。始業・終業が動かない会社では、中抜けの時間分を早退や欠勤として扱い、賃金から差し引く例があります。
時差出勤も中抜けも、労働基準法に定めがある制度ではなく、会社ごとの就業規則で決まります。求人票に記載がないからといって、制度が存在しないとは限りません。応募の前に、担当者や転職エージェント経由で確認しておくと、入社後の見通しの違いを防げます。
面接で聞くときは、「制度があるか」だけでなく「実際に使っている人はいるか」まで聞くと、運用の実態が分かりやすくなります。制度が就業規則に書かれていても、実際には使われていない会社もあるためです。他の社員の利用例を尋ねることで、書面上の制度と日々の運用の差を、入社前に埋めておけます。
4. 求人票は勤務時間欄と備考欄で確かめます
この働き方の求人票では、始業・終業や休憩に関する情報がどの欄に書かれるかを確認します。
【表1】求人票で固定時間制の情報が書かれる欄
| 確認する欄 | 書かれている内容 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 勤務時間欄 | 始業と終業の時刻(例:9時00分から18時00分) | 固定時間制と明記されているか、時刻に幅がないかを見ます |
| 休憩に関する欄 | 休憩時間の長さと取得のタイミング | 労働基準法の下限(45分・60分)と一致しているだけかを見ます |
| 備考欄・特記事項 | 時差出勤の制度や中抜けの扱い | 記載がなければ、面談で個別に確認します |
| 労働条件通知書 | 始業・終業・休憩の正式な条件 | 求人票の記載と食い違っていないかを入社前に確かめます |
勤務時間欄には、始業と終業の時刻がそのまま書かれます。そう明記されていても、時刻の横に「時差出勤可」といった注記が添えられている求人もあります。
休憩や中抜けの扱いは、備考欄や特記事項にまとめて書かれる会社が多くあります。欄が用意されていない求人票では、面談の場で確認する必要があります。
内定後に渡される労働条件通知書には、始業・終業・休憩の正式な条件が改めて書かれます。求人票の段階で聞いていた内容と食い違っていないかを、入社前に見比べておくと安心です。転職エージェント経由で応募する場合は、労働条件通知書の内容を担当者に確認してもらう方法もあります。
5. 時差出勤と中抜けの組み合わせで4つに分かれます
固定時間制の求人は、時差出勤の可否と中抜けの可否の組み合わせで、実際の働きやすさが変わります。同じ表記でも、4つのどこに当てはまるかは会社ごとに異なります。
求人票だけで判断できない場合は、面談で「時差出勤の制度はあるか」「中抜けは認められるか」の2点を分けて聞くことで、組み合わせを確かめられます。
どちらも認められない会社だからといって、働きにくいとは限りません。始業と終業の時刻が変わらないぶん、日々の予定が立てやすいという面もあります。組み合わせの違いは、良し悪しではなく、暮らし方に合うかどうかで判断します。
6. 応募前に休憩と中抜けの扱いを整理します
この働き方の求人に応募する前に、確認しておきたい点を整理します。
応募前に確認しておきたい点
- 始業・終業の幅:時差出勤の制度があるか、何分単位で動かせるかを確認します。
- 休憩の取り方:休憩を分割できるか、時間帯が固定かを確認します。
- 中抜けの扱い:私用による中抜けを認めるか、認める場合に賃金から差し引かれるかを確認します。
- 賃金の水準:時間の融通だけでなく、賃金の水準もあわせて確認します。一般労働者の賃金は55〜59歳が396.2千円でピークになります*3。
- 労働条件通知書との一致:内定後に渡される書面の始業・終業・休憩が、求人票や面談で聞いた内容と一致しているかを確認します。
求人票に書かれた勤務時間だけでなく、休憩の取り方や中抜けの扱いまで確認しておくと、入社後の働き方の見通しが変わります。
5つの確認点はどれも単独では判断材料として十分ではありません。始業・終業の幅、休憩の取り方、中抜けの扱い、賃金の水準、労働条件通知書との一致をあわせて確認することで、固定時間制の求人を選ぶ判断材料がそろいます。
面談で一度に全部を聞こうとすると、質問が多くなりすぎて印象を悪くする心配もあります。始業・終業の幅と中抜けの扱いの2点にしぼって先に聞き、残りは内定後の労働条件通知書で見比べる、という進め方もあります。優先順位を決めておけば、限られた面談時間でも必要な情報が抜けません。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 固定時間制とフレックスタイム制の違いは何か
A. 固定時間制は始業と終業の時刻を会社が1つに定める働き方です。フレックスタイム制は、一定の範囲で労働者が時刻を選べ、清算期間で労働時間の合計を管理する働き方です。
Q2. 固定時間制の求人で中抜けはできるか
A. 会社の規定によります。私用の中抜けを認める会社もありますが、その時間分を早退や欠勤として扱い、賃金から差し引く例があります。求人票に記載がなければ、面談で確認します。
Q3. 休憩時間を分割して取ることはできるか
A. 会社の就業規則によります。労働基準法は休憩の合計時間の下限を定めていますが、分割できるかどうかは会社ごとに異なるため、求人票や面談で確認が必要です。
Q4. 求人票に時差出勤の記載がない場合はどうするか
A. 記載がないことは、時差出勤の制度がないことを必ずしも意味しません。応募前の問い合わせや面談で、申請できる制度があるかを確認します。
Q5. 時差出勤や中抜けの扱いを応募前に確認する方法はあるか
A. 求人票に書かれていない社内の運用は、応募先への問い合わせや転職エージェント経由での確認が有効です。気になる点をまとめて伝えておくと、面談前に回答が得られる場合があります。
8. まとめ:始業と終業は確認すれば動かせます
この記事のまとめ
- 固定時間制の求人は、始業と終業の時刻を会社が1つに定めており、フレックスタイム制のような清算期間はありません。
- 時差出勤の制度や中抜けの扱いは会社ごとに異なるため、求人票に記載がなければ確認が必要です。
- 休憩時間は労働基準法34条により、6時間超8時間以下で45分以上、8時間超で60分以上と定められています*4。
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。比較できる求人の数は多いため、条件を1件ずつ確かめる余地があります。
固定時間制という同じ表記でも、時差出勤や中抜けの扱いは会社ごとに違います。求人票を確かめたうえで、分からない点は面談やエージェントへの問い合わせで埋めていきましょう。始業と終業の時刻は、応募先を絞る条件のひとつであって、応募をあきらめる理由にはなりません。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)」(2026年公表)
*2 総務省「通信利用動向調査」(令和6年)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*4 厚生労働省「労働時間、休憩、休日について」
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