退職証明書に角印と丸印のどちらが押される?印が無い証明書

退職証明書を受け取って、押された印が角印なのか丸印なのかで迷うことがあります。退職証明書とは、退職した人の請求に応じて、勤めていた期間や仕事の種類を会社が書いて渡す書面です*1。印の種類を定めた規定は見当たりません。
そのため、受け取った書面は、印の形よりも書かれている事項から見ます。請求できるのは、使用期間・業務の種類・その事業での地位・賃金・退職の事由の5つです*1。印が押されていない書面でも、会社へ交付を請求し直せます*1。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 退職証明書に角印と丸印のどちらを押すかは、法律で決まっていません。決まっているのは書かれる事項のほうで、退職した人が請求した5つです*1。
- 角印でも丸印でも、請求した5つの事項がそろっていれば、証明書として求められる中身は満たしています。会社名と代表者名が書かれているかも、あわせて見てください。
- 印が押されていないときや、かすれて読み取れないときは、会社へもう一度交付を請求できます*1。請求していない事項は書かれないため、何を書いてほしいかを先に伝えます*1。
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1. 決まっているのは印の種類ではなく書かれる事項
退職証明書にどの印を押すかは、法律で決まっていません。法律が決めているのは書く中身のほうで、退職した人が請求した5つの事項です*1。角印でも丸印でも、その5つがそろっていれば証明書として使えます。印そのものが無いときは、もう一度交付を請求できます*1。
まず、手元の書面を広げて、印よりも文章のほうを先に読んでください。角印と丸印のどちらが押されていても、書かれている事項は変わりません。労働基準法第22条が求めているのは、請求のあった事項を書いて交付することです*1。印は最後に見れば間に合います。
そのため、印の種類を会社へ聞き直す前に、5つの事項が書かれているかを数えてください。欠けている事項があれば、そこを書き足してもらう話になります*1。印だけを押し直してもらっても、欠けている事項はそのままです。数えるのは5つだけです。
実際、会社は請求されていない事項を書いてはいけないとされています*1。必要な事項を挙げずに頼むと、その分は書面に載りません。提出先が見たい事項が抜けていれば、もう一度頼む手間が生まれます。伝えるのは、請求のときです。
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2. 印が押されているかどうかで会社へ連絡するかが分かれる
印が押されているかどうかで、次にやることが2つに分かれます。押されていれば、記載がそろっているかどうかで提出できるかが決まります。押されていない場合も、先に数えるのは同じ5つの事項です。分かれ道はここだけです。
ただし、印の有無で変わるのは会社へ連絡するかどうかに限られます。印があって5つの事項もそろっていれば、こちらから会社へ言うことはありません。印が無ければ、交付を頼み直す連絡を入れます*1。会社へ連絡するのはこのときです。
実際、印が押されていても、請求した事項が欠けていれば書面としては足りません。印は書面を出した側を示すしるしで、記載の中身とは別の話です。欠けに気づくのが提出先の窓口だと、会社へ頼み直す往復が生まれます。手元にあるうちに数えてください。
一方、印が無い書面を受け取ったときは、会社へ出し直しを頼めます*1。前に受け取った書面を見せながら、印を押した形で出してほしいと伝えてください。このとき、5つの事項に抜けがないかも一緒に見ておきます。頼む用件は1度で済みます。
3. 角印と丸印の呼び方と押印について国が出した案内
まず、角印と丸印という言い方そのものに、法令の定義は見当たりません。四角い形の社印を角印、丸い形の代表者印を丸印と呼ぶ会社があります。どちらも呼び名であって、法令の裏づけがある区別ではありません。呼び方から書面の効力は決まりません。
そのため、角印か丸印かで、提出できるかどうかが変わることはありません。印の種類ごとに扱いを分けた案内が見当たらないからです。書面として通るかどうかは、請求した事項が書かれているかで決まります*1。形の話はここで終わります。
ただし、押印そのものについては、国が契約書の場面で整理を示しています。内閣府と法務省と経済産業省は、令和2年6月19日に押印についてのQ&Aを出しています*2。契約は当事者の意思が合えば成立し、書面への押印は特段の定めがある場合を除いて必要な要件ではないとされています*2。ここで書かれているのは契約書の話で、退職証明書について書かれたものではありません*2。退職証明書に印が要るかどうかは、この整理では決まっていません。
実際、民事訴訟法第228条第4項では、本人の署名または押印がある私文書は真正に成立したものと推定すると定められています*2。真正に成立したとは、その書面を本人が作ったと認められることです。印があると、誰が作った書面かを示す手間が減るという話になります*2。印が無いから無効だという意味ではありません。
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4. 下から見るのは5つの事項と社名と代表者名
次に、書面のどこを見るかを3段に分けます。土台は、請求した事項が書面に記されているかどうかです*1。その上が、会社名と代表者名の記載です。いちばん上に印が来ます。
そのため、印だけを見て提出先へ持ち込むと、下の2段が抜けたまま窓口に出すことになります。会社名が入っていなければ、どこが出した書面かが読み取れません。代表者名が抜けていれば、誰の名前で出したのかが分かりません。下から見ていけば、抜けに先に気づけます。
ただし、3段のうち土台が欠けていると、上の2段がそろっていても書面は使えません。頼んだ事項が書面に無ければ、何を証明した書面なのかが定まらないからです*1。社名と代表者名は、どこが出した書面かを示す部分です。まず土台から数えてください。
そのため、上の段から見ていくと、抜けに気づくのが遅くなります。印だけを先に見て、あとから事項の抜けが出れば、会社への連絡はやり直しです。下から見ていけば、頼み直しは1回で済みます。見る向きは下からです。
実際、社名や代表者名が抜けている書面は、どこが出したものかを読み取れません。この2つは印とは別に、文字として書かれている部分です。印がかすれていても、社名と代表者名が読めれば、出どころは分かります。文字のほうを先に見てください。
5. 使用期間から退職の事由まで請求できる5つの事項
退職した人が請求できる事項は、労働基準法第22条で5項目と決められています*1。使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金、退職の事由です*1。解雇された場合は、その理由も含まれます*1。5つのうちどれを書いてほしいかは、請求する側が選びます*1。
そのため、提出先から求められた事項を先に聞いてから請求します。下の表は、5つの事項それぞれが書面のどこに現れるかを並べたものです。書いてほしい事項を伝えないまま頼むと、抜けたまま交付されます*1。頼む前に、必要な事項を書き出してください。
請求できる5つの事項と書面での現れ方
| 請求できる事項 | 書面に書かれること | 見るときの目印 |
|---|---|---|
| 使用期間 | いつからいつまで勤めたか | 入社日と退職日が読み取れるか |
| 業務の種類 | どんな仕事をしていたか | 職種や担当した仕事が書かれているか |
| その事業での地位 | どの役職にいたか | 役職名が書かれているか |
| 賃金 | 受け取っていた賃金 | 金額が読み取れるか |
| 退職の事由 | 辞めた理由 | 解雇ならその理由まで書かれているか |
ただし、5つすべてを頼む必要はありません。提出先から求められたものだけを挙げれば、書面はその分だけ短くなります。逆に、あとから別の事項が要ると分かれば、もう一度請求する手間がかかります*1。求められる事項が読めないときは、5つとも頼んでおくほうが早いです。
実際、請求しなかった事項は書面に現れません*1。賃金の額を書いてほしくないときは、その事項を請求から外せます*1。ただし、提出先が賃金の記載を求めていれば、出し直しになります。どの事項が要るかを先に聞いてください。
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6. 印が無いときやかすれているときに会社へ頼むこと
印が押されていない書面や、押されていても読み取れない書面が手元に来ることがあります。退職した人から請求があったときは、会社は遅滞なく交付しなければならないとされています*1。同じ事項について、もう一度交付を頼めます*1。頼むときに進めることは4つです。
印が読み取れない書面を受け取ったときに進めること
- 手元の書面で、請求した5つの事項が書かれているかを数える
- 社名と代表者名が読める形で書かれているかを見る
- 印を押した書面として出し直してほしいと、書面を作った部署へ伝える
- 出し直してもらった書面を、前の書面と並べて記載が変わっていないかを見る
そのため、連絡するときは、印のことだけを伝えないでください。印を押し直してもらっている間に事項の抜けが見つかると、もう一度頼むことになります*1。数えた結果を先に伝えれば、書き直しは1回で終わります。伝える用件は、印と記載の2つです。
ただし、会社が出し直しに応じないまま日が過ぎることもあります。請求した日付と、会社から返ってきた言葉を書き出しておいてください。やり取りが日付で並ぶと、事情を説明するときにそのまま使えます。書き出すのは、責めるためではありません。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 退職証明書に印が押されていないと使えませんか
A. 印が押されていなくても、請求した事項がそろっていれば書面として成り立ちます*1。法律が定めているのは記載する事項で、印の種類までは決められていません。ただし、印のある書面を求められるかどうかは、出す先に聞かないと分かりません。先に聞いておいてください。
Q2. 角印と丸印のどちらを押してもらうよう頼めますか
A. どちらの印にするかは、書面を出す会社の側で決まります。印の種類を定めた案内は見当たらないため、こちらから形を指定する根拠はありません。提出先が印について求めているものがあれば、その内容をそのまま会社へ伝えてください。口頭ではなく書面で渡すと、頼んだ内容が残ります。
Q3. 押印は要らないという国の説明はそのまま当てはまりますか
A. 押印についてのQ&Aが扱っているのは契約書であって、退職証明書ではありません*2。書面への押印がなくても契約の効力には影響しないという整理が、そこに示されています*2。退職証明書の印について同じ結論を当てはめる根拠は、この資料にはありません。求められている書面の形は、出す先へ聞いてください。
Q4. 退職証明書に書いてほしい事項を後から増やせますか
A. 増やせます。退職証明書は、請求された事項を会社が書いて交付する書面です*1。請求していない事項は書かれないため、書いてほしい事項を挙げて頼み直してください*1。前に受け取った書面と並べて伝えると、話が早く進みます。
8. まとめ:角印でも丸印でも5つの事項がそろえば通る
この記事のまとめ
- 退職証明書にどの印を押すかを定めた規定は見当たりません
- 法律が決めているのは記載する事項で、退職した人が請求できるのは5つです*1
- 角印でも丸印でも、5つの事項がそろっていれば書面として出せます
- 印が無いときやかすれているときは、会社へ交付を頼み直せます*1
受け取った書面は、請求した5つの事項と社名と代表者名から読んでください。印を見るのは、そのあとで間に合います。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省 確かめよう労働条件 Q&A(自己都合の退職の際、退職勤務証明書を請求できますか)(2026年確認)
*2 内閣府・法務省・経済産業省 押印についてのQ&A(令和2年6月19日/2026年確認)
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