地方移住支援金とは?対象自治体と働き方の条件

「地方に移住したいけれど、いまの働き方を手放したくない」と考えたとき、地方移住支援金という制度が目に入ります。ただしこの制度は国が一律に金額を決めているわけではなく、対象になる自治体も移住元と移住先の組み合わせで変わります。求人を選ぶ前に、制度の仕組みと確かめ方を整理しておく必要があります。
雇用型で働く人のうち、テレワークを実施しているのは16.8%です*1。地方移住支援金は、移住したあとの働き方が「移住先の求人に就くか」「テレワークで元の勤務先に残るか」によって対象になるかどうかが変わる制度です。リモートワーク対応の正社員求人を探しながら移住を考えるなら、この分かれ目を先に押さえておくことが役立ちます。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- この制度は、国が枠組みを設計し、実際の要件や運営は移住先の都道府県・市区町村が担います。対象になるかどうかは自治体ごとに確認する必要があります。
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は16.8%です*1。移住後もいまの勤務先で働き続ける場合、テレワークが認められる働き方かどうかが対象要件の分かれ目になります。
- 求人を選ぶときは、支援金の対象になるかどうかと、求人そのものの勤務地・給与の条件を分けて確認します。支援金の有無だけで応募先を絞らないことが要になります。
1. 地方移住支援金は国と自治体が役割を分けて運営します
地方移住支援金は、国が制度の枠組みを設計し、実際の要件や運営を移住先の都道府県・市区町村が担う仕組みです。対象になる自治体は移住先ごとに異なり、移住元の地域や働き方の条件によっても対象かどうかが変わります。雇用型就業者のテレワーク実施率は16.8%です*1。移住したあとにいまの勤務先でテレワークを続けるのか、移住先の求人に就くのかによっても、この対象になるかどうかの扱いが分かれます。額は自治体ごとに違うため、ここでは仕組みと確かめ方を中心に整理します。
地方移住支援金は、国が全国共通の目的を示し、実施の細部を都道府県と市区町村が決める設計になっています。移住先の自治体が制度に参加しているかどうかは、自治体ごとに公開している募集要項で確認できます。
移住元の条件も対象かどうかに関わります。どの地域から移住してきたかによって対象になる場合とならない場合があるため、移住先の自治体の窓口で移住元の条件を照らし合わせる必要があります。
求人を選ぶ前にこの対象かどうかを確認しておくと、応募する求人の勤務地や働き方の条件を絞り込みやすくなります。
2. 対象になるかは自治体と働き方の組み合わせで決まります
地方移住支援金は、移住先の自治体が制度に参加しているかと、いまの働き方が要件に合うかという2つの軸で対象かどうかが決まります。どちらか一方だけでは判断できません。
移住先の自治体がこの対象地域に入っているかどうかは、自治体の公式ページや移住相談窓口で確認できます。参加していない自治体を移住先に選んだ場合、働き方の条件を満たしていても対象になりません。
働き方の要件は、移住先の求人に就くのか、移住前の勤務先に籍を置いたままテレワークで働き続けるのかによって扱いが分かれます。テレワークで働き続ける場合は、勤務先が移住先の都道府県の外にあることなど、追加の条件が付く場合があります。
2つの軸をどちらも満たして初めて対象になります。求人を選ぶ前に、移住先の自治体が対象かどうかと、応募先の働き方が要件に合うかどうかを、それぞれ別に確認しておく必要があります。
制度の窓口は都道府県が担う場合と市区町村が担う場合があり、どちらになるかも移住先によって異なります。窓口が分かれば、募集要項や問い合わせ先も一本化して確認できます。
3. 勤務先の要件はテレワークを続けるかどうかで変わります
地方移住支援金の対象としてテレワークを続ける場合、勤務先の所在地や働き方に条件が付くことがあります。要件の中心は、移住前の勤務先に在籍したまま、移住先の都道府県の外にある勤務先で働き続けているかという点です。
求人票に「フルリモート可」と書かれていても、実際の運用は企業によって異なります。出社が必要な頻度や、居住地に関する制限があるかどうかは、面談や求人票の詳細で確認しておく必要があります。
正社員として転職してから移住する場合は、入社時期と移住の時期の前後関係が問われる場合があります。申請の時期は転入届を出した後の一定期間内に区切られている場合があるため、移住前に移住先の自治体の窓口で申請の流れを確認しておく必要があります。
勤務先の要件を確認せずに求人へ応募すると、内定後に対象外だと分かることがあります。求人票の勤務地条件と、移住先の自治体が示す働き方の要件を、応募前に突き合わせておくことが欠かせません。
テレワークで働き続ける場合と、移住先の求人に転職する場合とでは、確認すべき窓口も異なります。前者は移住先の自治体の移住支援窓口、後者は自治体が公開する対象求人の一覧が起点になります。
勤務先に相談する際は、移住後もテレワークを続ける前提であることと、移住の予定時期を先に伝えておくと、在籍証明や勤務実態を示す書類の準備を早く進められます。書類の様式は自治体ごとに異なるため、様式そのものも移住先の窓口で確認しておく必要があります。
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4. 移住支援金と求人選びの視点を並べて確認します
対象になるかどうかを確認する項目は、それぞれ確認先が分かれます。誰が出す制度で、どこを見れば対象かどうかが分かるのかを、項目ごとに表で整理します。
【表1】地方移住支援金を確認する際の項目と確認先
| 確認する項目 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 移住先の自治体が対象か | 制度に参加している都道府県・市区町村かどうか | 移住先の自治体の公式ページ・移住相談窓口 |
| 移住元の条件 | 対象になる移住前の居住地や在勤地の条件 | 内閣官房の移住支援に関する案内ページ |
| 働き方の要件 | 移住先の求人に就くか、テレワークで元の勤務先に残るか | 移住先の自治体の募集要項 |
| 申請の時期 | 転入届の提出時期と申請期限の前後関係 | 移住先の自治体の窓口 |
表のとおり、確認先は項目ごとに分かれます。制度そのものを所管するのは国ですが、対象自治体や要件の詳細は移住先の自治体が公開する募集要項に書かれています。
額についても、自治体と世帯の条件によって変わるため、この表には含めていません。内閣官房の移住支援に関する案内ページと、移住先の自治体の窓口の両方で確かめておくと、思い違いを防げます。
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5. 支援金の対象確認は3段階の順番で進めます
地方移住支援金の対象になるかどうかは、3つの確認を土台から順番に積み上げていくと整理しやすくなります。
最初に確認するのは、移住先の自治体が対象になっているかどうかです。対象外の自治体を選んでいると、後段の要件をいくら満たしても支援金の対象にはなりません。
次に、働き方の要件を確認します。移住先の求人に就く場合と、移住前の勤務先に在籍したままテレワークで働き続ける場合とでは、確認する条件が異なります。
最後に、申請の時期と必要書類を確認します。転入届を出す時期や、勤務先が発行する証明書類が必要になる場合があるため、余裕をもって自治体の窓口に相談しておくと安心です。
6. 求人を選ぶ前に確かめておきたい項目をまとめます
地方移住支援金を軸に求人を探すときに、応募前に確認しておきたい項目を整理します。
求人を選ぶ前に確認する項目
- 自治体の対象可否:移住先の自治体がこの制度に参加しているかを、自治体の公式ページで確認します。
- 働き方の要件:移住先の求人に就くのか、テレワークで元の勤務先に残るのかによって、要件が変わることを確認します。
- 求人の給与水準:一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*3。支援金の有無だけで求人を選ばず、給与水準そのものを確認します。
- 申請の時期:転入届の提出時期と申請期限の前後関係を、移住先の自治体の窓口で確認します。
転職者数は330万人という規模の転職市場のなかで*2、この制度の対象になる求人だけに範囲を絞ると、選択肢が狭くなる場合があります。制度の対象かどうかと、求人そのものの条件は分けて確認する必要があります。
求人票に書かれた勤務地の条件と、支援金が求める働き方の要件は、同じ内容を指すとは限りません。求人票では出社の頻度を、支援金の要件では勤務先の所在地を確認するというように、見る先が異なります。
4つの項目はどれも単独では判断材料として足りません。自治体の対象可否・働き方の要件・求人の給与水準・申請の時期をあわせて確認することで、支援金を軸にした求人選びの見通しが立ちます。
確認する順番に迷ったときは、まず移住先の自治体が対象かどうかを見極め、次に働き方の要件、最後に求人票の条件へと絞り込んでいくと、後戻りが少なくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1 地方移住支援金は誰が支給する制度か
A. 国が制度の枠組みを設計し、実際の要件や運営は移住先の都道府県・市区町村が担います。支給元は移住先の自治体です。
Q2 移住先ならどの自治体でも対象になるか
A. すべての自治体が対象になるとは限りません。自治体ごとに制度への参加状況が異なるため、移住先の自治体がこの制度に参加しているかを、自治体の公式ページで確認する必要があります。
Q3 テレワークで元の勤務先に残る場合も対象になるか
A. 対象になる場合があります。ただし移住前の勤務先に在籍したまま働き続けることに加えて、勤務先の所在地など追加の条件が付くことがあるため、移住先の自治体の窓口で要件を確認してください。
Q4 支援金の額はどこで確認できるか
A. 額は自治体や世帯の条件によって変わるため、ここでは金額を示していません。内閣官房の移住支援に関する案内ページと、移住先の自治体の窓口で確認してください。
Q5 申請はいつまでに行う必要があるか
A. 申請の期限は自治体ごとに定められています。転入届を提出した後の一定期間内に区切られている場合があるため、移住前に移住先の自治体の窓口で申請の流れを確認しておく必要があります。
8. まとめ:地方移住支援金は確認の積み重ねで見えてきます
この記事の要点
- 地方移住支援金は、国が制度の枠組みを設計し、実際の要件や運営は移住先の都道府県・市区町村が担う仕組みです。
- 対象になるかどうかは、移住先の自治体が制度に参加しているかと、働き方の要件を満たすかという2つの軸で決まります。
- 移住先の求人に就くのか、テレワークで元の勤務先に残るのかによって、確認すべき窓口と条件が異なります。
- 額は自治体と世帯の条件で変わるため、内閣官房の移住支援に関する案内ページと、移住先の自治体の窓口で確かめる必要があります。
地方移住支援金は、制度の仕組みと確かめ方さえ押さえておけば、求人選びの前提として扱いやすくなります。次の一歩は、移住先の自治体が制度に参加しているかどうかを確認したうえで、リモートワーク対応の正社員求人のなかから、働き方の要件に合う求人を探していくことです。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2026年公表)
*2 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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