「産休手当」は申請するだけで65万円変わる|出産手当金・出産育児一時金・出生後休業支援給付を徹底解説【2026年最新】

妊娠がわかった日、喜びと同時に、頭のどこかで計算が始まりませんでしたか。「産休に入ったら、収入はどうなるの?」——その問いに、まずお答えします。
産休(産前産後休業)の期間中、会社からの給与が出ないケースがほとんどです。しかし健康保険から「出産手当金」として休業前の約3分の2が支給され、さらに出産1件につき原則50万円の「出産育児一時金」も受け取れます。どちらも申請しなければ一円も入りません。この記事では、産休手当の仕組みから計算方法・申請手順・よくある落とし穴まで、2026年最新情報でまとめます。
この記事のポイント
- 産休中に受け取れる「出産手当金」と「出産育児一時金」、2つの給付金の違いと対象条件がわかります。
- 月収別の出産手当金シミュレーション、2025年4月新設の「出生後休業支援給付」の条件も整理します。
- 申請期限・落とし穴・有給休暇との関係など、受け取り漏れを防ぐ情報をお届けします。
産休手当とは何か——出産手当金と出産育児一時金の全体像

産休手当(正式名称:出産手当金)は、健康保険(会社の社会保険)に加入している女性が、産前42日(多胎妊娠は98日)から産後56日の産休期間を対象に受け取れる給付金です。1日あたり標準報酬日額の3分の2が支給され、月収30万円の場合は産休期間中の合計で約65万円が目安になります(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」より計算)。申請しないと一切支給されないため、産休に入る前に会社の担当者への確認と申請書の準備を進めることが重要です。
産休中に受け取れる主な給付金は2種類あります。制度の性質が異なるため、まず全体像を把握しましょう。
【表1】産休中に受け取れる2つの主要給付金の比較
| 比較項目 | 出産手当金 | 出産育児一時金 |
| 目的 | 産休中の収入減を補う | 出産にかかる費用を補助する |
| 対象者 | 会社の健康保険(社会保険)に加入している女性被保険者 | 公的医療保険に加入しているすべての方(国保も対象) |
| 支給額 | 標準報酬日額の2/3 × 支給日数 | 1児につき原則50万円(2023年4月引き上げ) |
| 支給期間 | 産前42日(多胎98日)〜産後56日 | 一時金(産後申請) |
| 課税 | 非課税・社会保険料も免除 | 非課税 |
| 申請先 | 会社経由で健康保険組合・協会けんぽへ | 健康保険組合・協会けんぽ(直接支払制度は病院経由) |
| 併用 | 条件を満たせば両方受け取れます | |
2023年4月に出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられています。出産育児一時金の制度詳細については、ご加入の健康保険組合・協会けんぽに最新情報をご確認ください(厚生労働省「出産育児一時金等について」2023年改定)。
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出産手当金の計算方法と月収別シミュレーション
3つの受給条件
- 勤務先の健康保険(会社の社会保険)に加入していること
- 妊娠4か月(85日)以降の出産であること
- 産休中に給与の支払いがないか、給与の日額が出産手当金の日額を下回ること
国民健康保険の加入者(自営業・フリーランスなど)は対象外です。退職前に1年以上継続して社会保険に加入していた方は、退職後6か月以内の出産でも受給できます(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」)。
計算式
1日あたり支給額 = 支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
健康保険加入12か月未満の場合の特例
支給開始日以前の被保険者期間が12か月に満たない場合、「支給開始日以前の各月の標準報酬月額の平均額」と「全被保険者の標準報酬月額の平均額(令和7年4月1日以降の支給開始者は32万円)」のうち低い方を用いて計算します(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき よくあるご質問」)。転職直後や短期勤務の方は、この特例計算が適用される可能性があります。
公務員の場合
公務員の産休は有給休暇として扱われるため、産休中も給与が通常どおり支給されます。給与が支給される期間は出産手当金の対象外になりますが、各共済組合の規定により出産費や付加給付が別途支給されます。詳細はご所属の共済組合にご確認ください。
【表2】月収別・出産手当金シミュレーション(産前42日+産後56日=98日、産休中無給の場合)
| 月収(標準報酬月額) | 1日あたり支給額(目安) | 98日分の合計(目安) | 手取りベース換算※ |
| 20万円 | 約4,444円 | 約43.6万円 | 月収の約80%相当 |
| 25万円 | 約5,556円 | 約54.4万円 | 月収の約80%相当 |
| 30万円 | 約6,667円 | 約65.3万円 | 月収の約80%相当 |
| 35万円 | 約7,778円 | 約76.2万円 | 月収の約80%相当 |
| 40万円 | 約8,889円 | 約87.1万円 | 月収の約80%相当 |
※産休中は健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の従業員負担分がすべて免除されます。そのため支給割合(2/3)よりも手取りベースの実質的な補填率は高く、月収の約80%相当になります。正確な金額は標準報酬月額の等級区分により異なりますので、ご加入の健康保険組合・協会けんぽにご確認ください(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」より参考計算)。
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出産手当金の申請方法・期限・落とし穴
申請の流れ
- 会社(人事・総務)から「出産手当金支給申請書」を受け取る
- 申請書の被保険者記入欄を自分で記入する
- 出産後、医師または助産師に出産証明欄を記載してもらう
- 会社経由で健康保険組合・協会けんぽに提出する(会社が代行するケースが多い)
- 申請から支給まで概ね1〜2か月かかる
申請期限は産休開始日の翌日から2年以内です(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」)。産後は育児で手続きが後回しになりがちなため、産休に入る前から準備を進めることをおすすめします。
有給休暇と出産手当金の関係
産休期間中に有給休暇を取得した場合、その日は「給与が支払われた日」として扱われます。給与の日額が出産手当金の日額を上回る場合は出産手当金が支給されず、下回る場合は差額のみ支給されます。産休前に有給休暇を消化したい場合は、産休開始前にまとめて使い切るか、復職前後に活用するケースが一般的です(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき よくあるご質問」)。
よくある落とし穴3つ
①退職後の受給可否に注意してください
退職前に1年以上継続して社会保険に加入しており、退職日に出勤しなければ、退職後6か月以内の出産でも受給が続きます。退職日に出勤すると継続給付の要件を失うため、退職を検討している方は退職日の設定にご注意ください(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき よくあるご質問」)。
②多胎妊娠は産前期間が42日→98日に延長されます
双子以上の多胎妊娠の場合、産前の支給対象期間が98日になります。支給総額も大きく変わります。
③出産が予定日より遅れても支給対象になります
予定日より遅れて出産した場合、遅延した期間も出産手当金の対象です(全国健康保険協会・協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」)。
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2025年4月新設「出生後休業支援給付」と育休との連続活用
2025年4月から「出生後休業支援給付」が育休給付金に加算されました。この給付を受け取れると、育休開始から最大28日間の手取りが育休前の約10割相当になります(厚生労働省「育児休業給付の内容」2025年4月施行)。ただし受給には条件があります。
【表3】出生後休業支援給付の受給条件(2025年4月〜)
| 条件 | 内容 |
| 対象期間 | 産後休業終了後8週間以内、最大28日間 |
| 夫の条件 | 出生後8週間以内に14日以上の育休を取得 |
| 妻の条件 | 産後休業後8週間以内に14日以上の育休を取得 |
| 受給対象 | 夫婦ともに雇用保険加入(育休給付金と合算) |
| 支給率(加算後) | 手取りベースで育休前の約10割相当(最大28日間) |
「夫婦ともに14日以上」という条件は、令和7年4月1日以降に育休が開始した方に適用されます。詳細の条件はハローワークまたは勤務先にご確認ください(厚生労働省「育児休業給付について」2025年4月施行)。
【表4】産休手当・育休給付金の受取期間と支給率フロー
| フェーズ | 期間 | 支給元 | 支給率(手取り目安) |
| 産前産後休業(産休) | 産前42日〜産後56日 | 健康保険(出産手当金) | 約80%相当(社会保険料免除含む) |
| 育児休業 開始〜180日 | 産後57日〜育休180日目 | 雇用保険(育児休業給付金) | 月収の67% |
| 出生後休業支援給付(加算・最大28日) | 産後休業後8週以内 | 雇用保険(育休給付金+加算) | 育休前の約10割相当 |
| 育児休業 181日〜 | 育休181日〜1歳前々日 | 雇用保険(育児休業給付金) | 月収の50% |
復職先の選択がキャリア継続の鍵になります
産休・育休からの復職後に「仕事と育児の両立」で悩む方は少なくありません。通勤時間がゼロになるリモートワーク対応の職場への転職は、育休明けのキャリア継続において有効な選択肢です。転職活動は育休中に行うことも可能ですが、実際の入社は育休終了後になります。就職活動と育休給付金の受給への影響については、ハローワークにご確認ください。
育休明けにリモートワークで働ける職場への転職を検討している方は、転職エージェントへのご相談もご活用ください。
あわせて読みたい|フルリモートの正社員求人の探し方とリモートワーク可能なおすすめの職種まで解説
まとめ:産休手当は申請しないともらえません
- 出産手当金は社会保険加入の会社員が産前42日〜産後56日を対象に標準報酬日額の2/3を受け取れる制度で、産休中は社会保険料も免除されます。
- 出産育児一時金は公的医療保険加入者全員が対象で、1児につき原則50万円が支給されます(2023年4月引き上げ)。
- 加入期間12か月未満の場合は全被保険者平均額(令和7年4月1日以降は32万円)と比較して低い方を基準に計算します。
- 有給休暇取得日は給与が支払われた日として扱われ、出産手当金の支給が調整されます。
- 2025年4月から「出生後休業支援給付」が新設され、夫婦ともに14日以上育休取得で最大28日間、手取りが育休前の約10割相当になります。
- 産休・育休明けの復職先にリモートワーク対応の職場を選ぶことで、仕事と育児の両立がより現実的になります。
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出典・参考情報
*1 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」
*2 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産で会社を休んだとき よくあるご質問」
*3 厚生労働省「出産育児一時金等について」(2023年4月改定)
*4 厚生労働省「育児休業給付について(出生後休業支援給付含む)」(2025年4月施行)
*5 労働基準法第65条(産前産後の休業)
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