プリセールスエンジニアへの転職|説明の相手が変わる

プリセールスエンジニアへの転職を考えるとき、営業のスキルを気にする人は多いですが、実際に大きく変わるのは説明する相手です。開発の現場では同僚やチームに向けて技術を説明してきましたが、プリセールスでは購入を決める人に向けて説明する立場に移ります。この変化を軸に、開発の経験がどう活きるかを整理します。
変わるのは、説明する相手が同僚から決める人に変わるという1点です。営業の手法や年収の相場は、検証済みの数値がないため扱いません。
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この記事のポイント
- プリセールスで変わるのは技術力ではなく、説明する相手です。開発では同僚に向けて話しますが、プリセールスでは決める人に向けて話します
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業では1.26倍です*1
- 職務経歴書には、説明の相手・伝え方の変化・信頼の作り方という3つの要素を足せます
1. プリセールスで変わるのは、説明する相手です
開発からプリセールスへ移ると、変わるのは技術力ではなく説明する相手です。開発の現場では同僚やチームに向けて話しますが、プリセールスでは購入を決める人に向けて話します。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業では1.26倍です*1。
開発者が担ってきた説明の多くは、同じ技術知識を持つ相手に向けたものです。仕様の背景や実装の理由を話せば、相手はそのまま理解します。
プリセールスで向き合う相手は、技術の詳細を必ずしも持たない人です。相手が知りたいのは実装の仕組みではなく、その技術が自社の課題をどう解決するかという結論です。
同僚に向けた説明と、決める人に向けた説明では、話す順番も変わります。開発の現場では経緯から結論へと話すことが多いですが、決める人に対しては結論から話す組み立てが必要になります。
この違いは、身につけている技術力の量とは関係ありません。技術力が高くても、相手に合わせて説明を組み立て直さなければ、伝わらないままになります。
求人票に書かれた「プリセールス」という職種名だけでは、実際にどこまで開発の知識が活きるかは分かりません。募集要項に書かれた製品や担当領域を確認したうえで、自分の経験と照らし合わせる作業が必要になります。
担当してきたプロダクトが専門的であるほど、この言い換えの負荷は大きくなります。開発の現場で当たり前に使っていた略語や前提を、決める人にも伝わる言葉に置き換える作業から始める必要があります。
面談で聞かれるのは、担当した技術の範囲だけではありません。決める人が過去にどのような説明を受けて、どこで迷ったのかという背景まで確認しておくと、当日の説明の組み立てがしやすくなります。
2. 提案の場は4つの段で進みます
提案の場でも、話す相手は一貫して決める人です。ここでは、開発の現場とは異なる4つの段を確認します。
この4つの段は、開発の現場での要件定義や仕様の説明と役割が近い部分もあります。異なるのは、相手が同じ技術知識を持たない決める人であるという点です。
現状の確認を省いて技術の説明から始めると、決める人が抱える課題とかみ合わない説明になりやすくなります。開発の現場で仕様を確認してから実装に入る順番と、考え方は同じです。
懸念への回答は、開発者としての経験がそのまま活きる段です。実装の限界や制約を理解しているからこそ、決める人の疑問に具体的な言葉で答えられます。
合意の確認まで進めるかどうかは、それまでの3つの段をどう積み上げたかによって変わります。1つの段でかみ合わなければ、次の段には進めません。
4つの段は、必ずしも1回の面談で完結するとは限りません。決める人の役職や関わる部署が複数にわたる場合は、段ごとに相手が入れ替わることもあります。
提案の場に同席する人数が増えるほど、決める人以外の視点も交わることになります。技術の説明を担当する立場としては、最終的に判断するのは誰かを見失わないことが重要です。
3. 開発での経験は、提案の場でこう読み替えられます
同じ開発の経験でも、職務経歴書や面談でどう説明するかによって、伝わる内容が変わります。
開発の経験と提案の場での意味
| 開発で担っていたこと | 提案の場での意味 | 面談で添えること |
|---|---|---|
| 仕様の背景をチームに説明してきたこと | 決める人にも伝わる言葉に置き換える経験 | 技術用語をどう言い換えたかという例 |
| 障害対応で原因を説明してきたこと | 実装の限界を先に伝える経験 | できないことをどう伝えたかという場面 |
| 設計レビューで意見を交わしてきたこと | 異なる前提を持つ相手と話を合わせる経験 | 相手の理解に合わせて説明を変えた経験 |
| 仕様変更の理由を説明してきたこと | 決める人が納得する順番で話す経験 | 結論から話す組み立てに変えた工夫 |
表の左列は、開発を担当していれば経験している内容です。右に進むほど、決める人に向けた説明としての意味が明確になります。
中央の列までで説明が止まる職務経歴書は少なくありません。担ってきた作業の内容までは書かれていても、それが決める人に向けた説明としてどう活きるかまでは書かれていないことが多いためです。
4行はいずれも、開発の経験から書ける内容です。担当してきた業務のなかから、実際に説明を組み立て直した場面を思い出しながら、当てはまる行を選べます。
面談でこの内容を聞かれた場合は、表の行を順番に説明するよりも、自分が実際に経験した行から話し始めると、経験の実感が伝わりやすくなります。
複数のプロジェクトを担当してきた場合は、それぞれで説明の相手がどう変わったかを比べておくと、担当してきた領域の幅も合わせて伝えられます。
表に書いた4行以外にも、担当してきた業務のなかには読み替えられる場面が残っていることがあります。振り返る際は、決める人に何を伝えたかという視点で業務を見直すと、新たな行を見つけやすくなります。
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4. できないことを言えるかどうかが信頼を分けます
プリセールスの場で決める人が知りたいのは、できることだけではありません。どこまでが実現できて、どこから先はできないのかという境界です。境界を先に伝えることで、決める人は判断の材料を過不足なく受け取れます。
開発の現場では、実装の限界を認識していても、チーム内でそれを言葉にする機会は多くありません。同じ前提を共有している相手には、限界をあらためて説明する必要がないためです。
プリセールスでは、この限界を最初に言葉にする役割が求められます。できないことを先に伝えたうえで、実現できる範囲のなかで何が可能かを説明する順番のほうが、決める人には伝わりやすくなります。
限界を伝えることは、技術力の低さを示すものではありません。実装の境界を正確に把握しているからこそ、その境界を先に言葉にできます。境界を曖昧にしたまま説明を進めると、あとで決める人との認識のずれが表面化します。
面談では、実現できないと答えた場面を具体的に聞かれることがあります。あらかじめ、境界を伝えた場面を1つ思い出しておくと、その場で言葉に詰まらずに答えられます。
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5. 提案の説明は3段で組み立てます
提案の場での説明は、思いついた順に話すよりも、3段の積み上げとして組み立てるほうが決める人に伝わります。
3段は積み上げの関係にあります。土台となる相手の前提を外したまま、実現できる範囲や決める材料だけを説明しても、決める人には届きません。
相手の前提を把握する段では、決める人がどのような制約のもとで判断しているかを確認します。この段を飛ばすと、次の段で説明する内容がかみ合わなくなります。
実現できる範囲を示す段では、できることとできないことの境界を明確にします。ここで示す範囲は、土台で把握した前提に沿ったものである必要があります。
決める材料を示す段は、それまでの2段を踏まえたうえで、決める人が判断に使う情報を整理する段です。前提と範囲を飛ばして、この段だけを厚く説明しても伝わりません。
3段の順番を入れ替えて、決める材料から先に示すと、土台にある前提とかみ合わないまま話が進んでしまうことがあります。積み上げの順番自体に意味があります。
3段の名称を職務経歴書にそのまま書く必要はありません。段の考え方に沿って、担当した提案の場でどの段を厚く説明したかを振り返ると、経験の棚卸しがしやすくなります。
6. 職務経歴書に足せる3つの要素
開発からプリセールスへの経験を職務経歴書に足すとき、書き加えられる要素を3つに整理します。
職務経歴書に足せる3つの要素
- 説明の相手:同僚ではなく決める人に向けて話してきた経験を書きます
- 伝え方の変化:結論から話す組み立てに変えた工夫を書きます
- 信頼の作り方:できないことを先に伝えた場面を書きます
3つはいずれも、担当した機能の一覧に一行を足すだけでは書けません。説明の相手に応じて、話し方をどう変えてきたかを思い出す作業が必要です。
3つを全ての場面について書く必要はありません。説明の相手が特に大きく変わった場面を選び、そこに絞って書くほうが読み手には伝わりやすくなります。
書き終えたら、3つの要素が別々の場面を指しているかを確認します。同じ場面から3つとも書いてしまうと、経験の幅が狭く見えることがあるため、担当してきた業務のなかから異なる場面を選ぶようにします。
3つの要素は、面談でそのまま質問の切り口としても使われます。職務経歴書に書いた内容と、面談で話す内容をそろえておくと、説明に一貫性が生まれます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. プリセールスエンジニアへの転職に、開発の経験は活かせますか。
A. 開発で担ってきた仕様の説明や障害対応の経験は、相手を決める人に置き換えることで、提案の場でも活かせる経験になります。
Q2. プリセールスエンジニアは、開発の実務から離れますか。
A. 提案の場での役割は、決める人に向けた説明が中心になり、実装そのものを担当する時間は少なくなります。担当する範囲は求人ごとに異なります。
Q3. 説明の相手が変わることに、どう慣れていけますか。
A. 決める人に向けた説明を重ねるほど、結論から話す組み立てが身についていきます。担当する製品への理解を先に深めておくと、説明の準備がしやすくなります。
Q4. プリセールスエンジニアの求人は、リモートワーク対応の求人にも含まれますか。
A. 含まれます。出社の頻度や担当する製品の範囲は求人ごとに異なるため、募集要項の記載を確認することが必要です。
8. まとめ:説明の相手が変わると、価値の示し方も変わります
この記事の要点
- プリセールスで変わるのは技術力ではなく、説明する相手です。開発では同僚に向けて話しますが、プリセールスでは決める人に向けて話します
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.65倍、全職業では1.26倍です*1
- 提案の場は、現状の確認から合意の確認まで4つの段で進み、どの段でも相手は決める人です
- 提案の説明は、相手の前提・実現できる範囲・決める材料という3段で組み立てられます
- 職務経歴書には、説明の相手・伝え方の変化・信頼の作り方という3つの要素を足せます
技術を語り直すのではなく、話す相手を決める人に置き換えることが、プリセールスへ移る最初の一歩になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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