契約社員と正社員の違い|転職で確かめる5つの条件

契約社員と正社員は、雇用契約の結び方が違います。「契約社員は不安定」「正社員は昇給が約束されている」といった思い込みだけで判断すると、実際の求人票に書かれている条件を見落とすことがあります。違いは、用語の説明よりも、求人票と面談で確かめられる条件に落とすと見えてきます。
この記事の中心にあるのは、契約期間の定めがあるかどうかを、求人票と面談で確かめるという視点です。
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この記事のポイント
- 契約社員と正社員の違いは、契約期間の定めがあるかどうかです。更新の有無や上限は、この定めから生まれます
- 転職で賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%です。ただしこの数字は雇用形態の変更による差を示すものではありません*1
- 有期契約には無期労働契約へ転換を申し込める仕組みがありますが、正社員になることとは別の話です*2
1. 契約社員と正社員の違いは、契約期間の定めの有無です
契約社員は、雇用契約に契約期間の定めがある働き方です。正社員は、契約期間の定めがない雇用契約を結びます。更新の有無や賞与・退職金の扱いは会社によって異なりますが、制度の土台にあるのはこの契約期間の定めの違いです。
「契約社員」「正社員」という呼び方は、法律上の区分ではなく、会社ごとの呼称です。契約期間の定めがある雇用契約かどうかで区別するのが、制度としての見方になります。呼び方が同じでも、契約の中身は会社によって違うことがあります。
契約期間の定めがあるということは、更新のタイミングが決まっているということでもあります。更新の有無や、更新の上限があるかどうかは、契約期間の定めから派生する条件です。賞与や退職金の扱いも、契約期間の定めと合わせて決められている場合があります。
「契約社員だから昇給がない」「正社員だから安定している」という理解は、会社によって当てはまらないことがあります。呼び方から中身を推測するのではなく、契約期間の定めを起点に、そこから派生する条件を一つずつ確かめる進め方のほうが確実です。
契約期間の定めがある雇用形態には、契約社員のほかに嘱託社員やパートタイマーなども含まれます。ここでは、正社員としばしば並べて示される契約社員に絞って見ていきます。
2. 求人票で見比べる5つの条件
契約期間の定めから派生する条件を、求人票の書き方として並べます。同じ言葉でも、契約社員向けと正社員向けでは書かれ方が変わります。
契約社員の求人と正社員の求人でよくある書き方の違い
| 確かめる条件 | 契約社員の求人でよくある書き方 | 正社員の求人でよくある書き方 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 「契約期間:1年」のように、期間が数字で明記されます | 契約期間の記載はなく、期間の定めなしと明記されます |
| 更新の扱い | 「更新の可能性あり」「更新の上限は〇回」のように、更新に関する記載があります | 更新という項目自体が求人票にありません |
| 賞与・退職金の記載 | 賞与・退職金の欄が「なし」または空欄になっていることがあります | 賞与・退職金の欄に、支給の有無や実績が書かれていることがあります |
| 担当する業務の範囲 | 担当する業務があらかじめ限定して書かれていることがあります | 「関連業務を含む」のように、業務の範囲を広めに書くことがあります |
| リモートワークの扱い | 在宅勤務の対象になるかどうかが、契約内容によって分かれることがあります | 在宅勤務を含む制度が、正社員向けとして案内されることがあります |
5つの条件は、求人票のなかで別々の欄に書かれています。1か所だけを見て判断せず、欄を突き合わせて読むと、契約社員向けか正社員向けかが具体的に見えてきます。
空欄になっている項目や、「応相談」とだけ書かれている項目は、求人票だけでは判断がつきません。そうした項目こそ、面談で聞く候補として残しておきます。
5つを一度に覚える必要はありません。気になる求人票を開いたときに、この表と突き合わせて欄を埋めていく使い方で十分です。
同じ職種で契約社員向けと正社員向けの求人が並んでいる会社であれば、2枚の求人票を横に並べて5つの欄を見比べると、違いがより具体的に見えてきます。
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3. 転職で賃金がどう動いたかは、3つに分かれます
厚生労働省の雇用動向調査によると、転職入職者のうち賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%、変わらない人は28.4%です*1。この数字は転職入職者全体の集計であり、契約社員から正社員になるといった雇用形態の変更による差を示すものではありません。
増加が40.5%で最も多く、減少の29.4%を11.1ポイント上回っています。転職によって賃金が下がるとは限らないことを示す資料になります*1。
ただしこの調査は、転職した人全体を対象にした集計です。契約社員から正社員へ、あるいは正社員から契約社員へと雇用形態を変えた人だけを取り出した数字ではありません。契約社員から正社員になれば賃金が上がる、という読み方はできません。
求人票に書かれている条件のほうが、個別の判断材料としては具体的です。全体の傾向として賃金が増加した人が多いという事実と、自分の転職でどうなるかは別の話として扱います。
4. 期間の定めがあることの意味を、制度から見る
有期契約には、契約期間の定めがあります。同じ有期契約を反復して更新し続けると、労働者側が無期労働契約への転換を申し込める仕組みが公的に案内されています*2。この仕組みは、契約期間の定めそのものをなくす制度です。
ここで注意したいのは、無期労働契約への転換と、正社員への転換は別の制度だという点です。無期転換は契約期間の定めをなくす仕組みであり、待遇や職務内容がそのまま正社員と同じになることを保証するものではありません。転換後も、契約社員という呼び方や労働条件が続く場合があります。
何年働けば無期転換を申し込めるか、どのような手続きが必要かは、契約の内容や会社の規定によって変わります。具体的な年数や手続きは、契約書または就業規則で確認する事項であり、一律に決まっているわけではありません*2。
契約期間の定めをなくすことと、正社員の求人に応募して採用されることは、進み方が異なる2つの道です。どちらを目指すかによって、確かめる相手も窓口も変わります。
無期転換の申し込みは、労働者側から行う点も押さえておきます。契約期間の上限を迎えたからといって、会社側から自動的に無期契約へ切り替わるものではありません*2。
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5. 正社員の求人に応募する前に踏む4つの段
求人票を読む段階では、5つの条件をひとつずつ照らし合わせます。空欄になっている項目や「応相談」とだけ書かれている項目があれば、そこが面談で確認する候補になります。
聞くことを書き出す段階を省くと、面談の場で思い出せず、聞き漏らしたまま選考が進むことがあります。契約期間・更新・賞与・業務範囲・リモートワークの5点のうち、求人票で分からなかった項目を先に絞っておきます。書き出した質問はメモに残しておくと、複数の求人を並行して見るときにも使えます。
面談で確かめる段階では、担当者に直接尋ねます。答えが曖昧な場合は、曖昧なままにせず、いつまでに確定するかを聞いておくと、次の判断がしやすくなります。
書面で照らす段階は、内定後に必ず行います。面談での説明と労働条件通知書の記載が違う場合は、その時点で確認します。段階を最後まで踏むことで、入社後に条件の食い違いに気づく機会を作れます。
6. 面談で聞いておける3つのこと
求人票だけでは分からない条件は、面談で聞くことができます。3つに絞ると、限られた時間でも聞き終えられます。
面談で聞いておける3つのこと
- 更新の実績:これまでに契約が更新されなかった例があるか、理由とあわせて聞きます
- 正社員登用の実績:契約社員から正社員に登用された実績があるか、直近の人数を聞きます
- 業務範囲の変更:契約更新のタイミングで、担当する業務の範囲が変わることがあるかを聞きます
3つとも、契約の中身を確かめる質問であり、待遇の交渉ではありません。聞いたうえで応募を決めれば、契約期間中に何が起きるかを見通しやすくなります。
更新の実績を聞くと、更新されなかった例があるかどうかが分かります。理由まで聞いておくと、自分の状況と照らし合わせやすくなり、応募を続けるかどうかの判断材料になります。
正社員登用の実績は、制度があることと、実際に登用されているかどうかが別だという前提で聞きます。制度の有無だけでなく、直近の人数まで聞いておくと、実態に近い情報になります。
聞いた内容は、面談ごとに書き残しておきます。複数の求人を並行して進めると、どの求人がどの条件だったかが混ざります。
正社員への登用を希望する場合は、その意向を面談の時点で伝えておきます。伝えておくことで、選考のなかで判断材料のひとつとして扱ってもらいやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 契約社員と正社員は、給与の決まり方が違いますか。
A. 決まり方は会社の規定によります。契約社員と正社員で賃金テーブルを分けている会社もあれば、同一の基準を使う会社もあります。求人票の賃金項目と、賞与・昇給の記載を合わせて確認します。
Q2. 契約社員として働くと、いずれ自動的に正社員になりますか。
A. 自動的にはなりません。契約期間の定めをなくす無期転換の仕組みと、正社員への転換は別の制度です*2。正社員を目指す場合は、登用制度の有無や実績を別に確認します。
Q3. 契約社員の求人と正社員の求人で、応募の書類や選考は違いますか。
A. 会社によって異なります。同じ選考フローで契約形態だけを分けている会社もあれば、別の選考として扱う会社もあります。募集要項に選考フローの記載があれば、そこで確認できます。
Q4. 求人票に契約期間の記載がない場合、どちらの働き方だと判断できますか。
A. 記載がないだけでは判断できません。契約期間の定めがない働き方であれば、通常はその旨が明記されます。記載がなく分かりにくい場合は、契約期間・更新・賞与の3点を面談で確認します。
8. まとめ:違いは条件で確かめられます
この記事の要点
- 契約社員と正社員の違いは、契約期間の定めがあるかどうかです。更新・賞与・業務範囲・リモートワークの扱いは、この定めから派生します
- 求人票では、契約期間・更新の扱い・賞与や退職金の記載・業務範囲・リモートワークの扱いという5つの条件を見比べられます
- 転職で賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%です。ただしこの数字は雇用形態の変更による差を示すものではありません*1
- 有期契約には無期労働契約へ転換できる仕組みがありますが、正社員への転換とは別の制度です*2
- 求人票を読む・聞くことを書き出す・面談で確かめる・書面で照らすという段を踏むと、条件のずれに気づけます
条件は、契約期間の定めという1点から派生しています。求人票と面談の両方で確かめれば、思い込みではなく実際の条件で判断できます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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