労使協定には何が書かれているか|読みどころ

労使協定は、就業規則とは別に、働く時間や休みの運用について会社と働く人の代表が結ぶ取り決めです。対象となる人の範囲や期間、届け出の有無などが書かれますが、書かれ方は事業所によって幅があります。ここでは、労使協定に何が書かれているか、就業規則とはどこが違うのかという読みどころに絞って見ていきます。分からない点が残った場合は、勤務先の窓口に確かめる方法があります。
労使協定には、働く時間や休みの運用に関する取り決めが書かれます。就業規則とは別の書面です。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 労使協定には、働く時間や休みの運用について会社と働く人の代表が結んだ取り決めが書かれます
- 就業規則とは別の書面で、書かれる範囲や対象の決まり方が異なります
- 分からない点が残った場合は、勤務先の窓口に確かめる方法があります
1. 労使協定には時間や休みの取り決めが書かれます
労使協定には、働く時間や休みの運用について、会社と働く人の代表が結んだ取り決めが書かれます。対象となる人の範囲や期間、届け出の有無などが記載されますが、書かれる内容や書かれ方は事業所によって幅があります。
労使協定という言葉は社内で見聞きしても、そこに何が書かれているかを具体的に知らないまま働き始める人は少なくありません。就業規則と同じもののように感じられますが、書かれている内容も、作られ方も別のものです。
労使協定は、会社が一方的に定める規程ではありません。会社と、働く人を代表する立場の相手との間で結ぶ取り決めという点が、就業規則との大きな違いです。結ぶ相手や結び方は会社によって異なります。
労使協定という名称でひとまとめに呼ばれていても、実際には目的の異なる取り決めがいくつも結ばれている場合があります。どの取り決めについて確認したいかを先に決めておくと、読む範囲を絞りやすくなります。
書かれている内容は、働く時間や休みの運用に関するものが中心です。とはいえ、どの範囲まで細かく書かれているかは事業所ごとに差があり、簡潔にまとめられている場合もあれば、細かい条件まで書き込まれている場合もあります。
読みどころとして押さえておきたいのは、対象となる人の範囲、期間、届け出の有無、そして内容がどのように決められたかという4点です。ここから、この4点を順に見ていきます。
2. 読む順番は4つの段階に分けられます
4つの段階は、取り決めの対象を見る、対象となる人の範囲を見る、期間を見る、窓口に聞くという順に並んでいます。順番に見ていくと、読み落としを減らせます。
最初の段階では、何についての取り決めかを確かめます。時間に関するものか、休みに関するものかによって、その後に見るべき項目も変わってきます。
次に、対象となる人の範囲を見ます。全員が対象になっている場合もあれば、一部の部署や働き方に限られている場合もあります。範囲を確かめておくと、自分に関わる内容かどうかが分かります。
続いて、期間を見ます。取り決めには有効な期間が定められていることが多く、期間が過ぎていれば更新されているかどうかも確認のポイントになります。
順番を変えて確認すると、対象を確かめる前に期間だけを先に見てしまい、範囲を誤って解釈することがあります。順番を保ったまま確認したほうが、読み間違いを防ぎやすくなります。
取り決めが実際にどこに置かれているかは、書面の種類によって異なります。時間に関する取り決めの一つについては、置かれている場所を別の記事で整理しています。
4つの段階を順に確かめても、書かれている内容だけでは判断がつかない点が残ることがあります。そのときは、最後の段階として勤務先の窓口に聞くという進め方になります。
あわせて読みたい | 36協定はどこにあるか|読める範囲
3. 読みどころとして4つの項目を確認します
読みどころを、4つの項目に分けて整理します。表を見る前に、自分が確認したい項目がどれに当たるかを考えておくと、当てはまる行が分かりやすくなります。
読みどころとそこから分かることの対応
| 読みどころ | そこから分かること |
|---|---|
| 対象の範囲 | 誰に適用される取り決めかが分かります |
| 期間 | いつまで有効な取り決めかが分かります |
| 届け出の有無 | 会社が届け出をしているかどうかが分かります |
| 運用の決め方 | 内容がどのように決められたかが分かります |
表の4行は、対象の範囲、期間、届け出の有無、運用の決め方という順に並んでいます。どれも、書かれている文言をそのまま確認すれば読み取れる項目です。
対象の範囲を確認すると、その取り決めが自分に関わるものかどうかが分かります。部署や働き方によって対象が分かれている場合は、自分の立場がどちらに当たるかを見ておくと誤解を防げます。
期間を確認すると、いつまで有効な取り決めかが分かります。期間が過ぎている場合は、更新されているかどうかを別に確かめる必要があります。
届け出の有無を確認すると、会社が手続きを済ませているかどうかが分かります。記載があっても、直近の届け出かどうかまでは書面だけでは分からない場合があります。
運用の決め方を確認すると、その内容がどのように決められたかが分かります。会社が一方的に定めたものではなく、働く人の代表との間でどのように話し合われたかという経緯も、読みどころの一つです。
表の4項目は、いずれも書面の記載を確認すれば分かる範囲です。読み終えたら、就業規則との違いを確認すると、書かれている範囲の全体像がつかみやすくなります。
4. 書かれ方には事業所ごとに幅があります
同じ名称の取り決めでも、書かれ方は事業所によって幅があります。簡潔にまとめられている場合もあれば、対象や期間が細かく書き分けられている場合もあります。
書かれ方に幅がある理由の一つは、会社と働く人の代表との話し合いの結果を反映しているためです。話し合いの内容が違えば、書面に残る内容も変わります。
働く期間は年代を通じて長く続き、働き方の取り決めを読む場面はこの先も何度か訪れます。厚生労働省の調査では、一般労働者の賃金は55〜59歳で月396.2千円*1、60〜64歳で329.3千円*1です。この数字は年代ごとの賃金の水準を示すもので、取り決めの内容を決めるものではありません。
書かれ方に幅があることを踏まえると、1つの事業所の書面だけを基準にして「こういうものだ」と決めつけないほうが安全です。転職などで環境が変わるたびに、その事業所の書面を確認し直す姿勢が必要になります。
転職先を選ぶ際は、前の勤務先の書面をそのまま当てはめて理解しようとしないことも大切です。同じ業界であっても、書かれ方や運用の細かさは会社ごとに変わります。
5. 就業規則と労使協定では書かれる範囲が異なります
就業規則に書かれることと、ここで扱う取り決めに書かれることを並べておくと、読み間違いを防ぎやすくなります。どちらが上ということではなく、書かれる範囲が違うと考えると整理しやすくなります。
就業規則には、働き方全般に関わる共通のルールが書かれます。会社が定めて全社員に周知する規程という位置づけです。
こちらには、時間や休みの運用に関する取り決めが書かれます。会社と、働く人を代表する立場の相手との間で結ぶ書面という点が、就業規則とは異なります。
対象となる範囲についても、両者では考え方が違います。就業規則は原則として社員全体に及びますが、こちらは取り決めごとに対象が決まっており、全社員に及ぶとは限りません。
就業規則を確認したいときの頼み方や時期については、別の記事で整理しています。読みどころを押さえたうえで、必要があれば確認の進め方も合わせて見ておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。
転職を考えるときは、就業規則と労使協定のどちらも確認しておくと、働き方の全体像を把握しやすくなります。片方だけを見て判断すると、実際の働き方とのずれに気づきにくくなる場合があります。
あわせて読みたい | 就業規則を見せてもらう|頼む時期と順番
6. そこから分かることを項目ごとに整理します
ここまでの読みどころから分かることを、項目ごとに整理します。どの項目が自分にとって重要かは、働き方や立場によって変わります。
労使協定から分かること
- 適用される範囲:取り決めが及ぶ対象を確認できます
- 有効な期間:いつまでの取り決めかを確認できます
- 届け出の状況:会社が届け出をしているかを確認できます
- 運用の決め方:内容がどのように決められたかを確認できます
適用される範囲が分かると、その取り決めが自分の働き方に関わるかどうかを判断しやすくなります。部署や雇用形態によって対象が分かれている場合は、範囲の確認が特に大切になります。
有効な期間が分かると、書面がいま有効なものかどうかを確認できます。期間が切れている場合は、更新の有無を別に確かめる必要があります。
届け出の状況が分かると、会社が手続きを済ませているかどうかの目安になります。届け出があっても、実際の運用がどうなっているかまでは、書面だけでは分かりません。時間の使われ方の実際については、別の記事で運用の様子を整理しています。
運用の決め方が分かると、内容が会社の一方的な判断ではなく、働く人の代表との話し合いを経て決まったものだと確認できます。決め方を知っておくと、書面への理解も深まります。
あわせて読みたい | 残業の申請の運用|時間の使い方が見える
7. よくある質問|取り決めの読み方
Q1. 労使協定には、どのような内容が書かれていますか。
A. 働く時間や休みの運用について、会社と働く人の代表が結んだ取り決めが書かれています。対象となる人の範囲や期間、届け出の有無などが記載されますが、書かれる内容の細かさは事業所によって異なります。
Q2. 労使協定と就業規則は同じ書面ですか。
A. 別の書面です。就業規則は働き方全般の共通ルールを会社が定めて周知するもので、こちらは会社と働く人の代表が結ぶ、時間や休みの運用に関する取り決めです。書かれる範囲も対象も異なります。
Q3. 読んでも分からない点がある場合、どうすればよいですか。
A. 分からない点が残った場合は、勤務先の人事や労務の窓口に確かめる方法があります。読みどころを整理したうえで聞くと、確認したい点を伝えやすくなります。
Q4. 取り決めの内容は、会社によって違いますか。
A. はい、書かれる内容や書かれ方には事業所によって幅があります。同じ名称の取り決めでも、対象の範囲や期間の定め方は会社ごとに異なるため、都度確認することが読みどころになります。
8. まとめ:読みどころと窓口の使い方を確かめます
この記事の要点
- 労使協定には、働く時間や休みの運用について会社と働く人の代表が結んだ取り決めが書かれます
- 読みどころは、対象の範囲、期間、届け出の有無、運用の決め方の4点です
- 就業規則とは別の書面で、書かれる範囲や対象の決まり方が異なります
- 書かれ方は事業所によって幅があり、1つの書面を基準に決めつけないことが大切です
- 分からない点が残った場合は、勤務先の窓口に確かめる方法があります
労使協定には、働く時間や休みの運用について、会社と働く人の代表が結んだ取り決めが書かれます。読みどころは、対象の範囲、期間、届け出の有無、運用の決め方の4点に整理できます。就業規則とは別の書面であり、書かれる範囲も対象の決まり方も異なります。書かれ方は事業所によって幅があるため、1つの書面だけを基準にせず、そのつど確認することが大切です。分からない点が残った場合は、勤務先の窓口に確かめる方法があります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
持株会を抜けるとき|書面と時期を読む
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援を利用して転職する方に向けて、勤めている会社の持株会を抜けるときに、どこへ申し出て、いつまでに出せばよいのか、控えをどう残すのかを順番に見ていきます […] -
住所変更の届け出|出す先と控え
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援を利用して働く方に向けて、引っ越したあとに会社へ出す住所変更の届け出について、出す先がひとつではないこと、いつまでに出すのか、控えがどこに残るのかを […] -
歓送迎会の参加をどう決めるか|断る順番
歓送迎会の案内を受け取ったら、参加するかどうかを決める前に、案内の文面から確かめておきたいことがあります。会が業務として集まる会なのか、有志に任せられた集まりなのかは、案内の書き方に表れます。返事の期限と宛先、出られない […] -
コンプライアンス研修の記録|残る場所
研修の案内が届くと、内容よりも先に気になるのは、受けなかったときにどうなるか、そして受けた事実がどこに記録されるかという点です。コンプライアンス研修の案内文には、対象範囲・期限・記録の残り方・未受講のときの連絡先が書かれ […]