求人票の賞与の見方|年2回・4ヶ月分の月数と算定基礎

求人票の賞与欄で金額が読み取れるのは、「年2回・計4.5ヶ月分(前年度実績)」のように月数が書かれている場合だけです。「賞与年2回」だけの記載からは、回数しか分かりません。「業績により支給」は、支給しない年がありうるという意味を含みます。
しかも月数が書かれていても、掛ける相手は月給ではなく基本給です。求人票の賞与表記5パターン、実額を出す3ステップ、面接で聞く4項目を順に説明します。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 賞与欄で見る場所は3つです。①回数 ②月数または金額 ③但し書き。②が書かれていなければ、求人票から金額は読み取れません。
- 「4ヶ月分」は基本給に掛けます。月給30万円でも、基本給22万円+固定残業8万円なら賞与は88万円で、120万円にはなりません。
- 厚生労働省のモデル就業規則第48条は、賞与について「業績の著しい低下その他やむを得ない事由があるときは、支給時期を延期し、又は支給しないことがある」と定めています*1。
1. 賞与欄で見る3か所
求人票の賞与欄で見るのは、①回数 ②月数または金額 ③但し書き、の3か所です。このうち金額に直結するのは②だけです。「賞与年2回」としか書かれていなければ、読み取れるのは回数だけで、いくら出るかは分かりません。「年2回・計4.5ヶ月分(前年度実績)」のように月数が付いていれば、基本給から金額を計算できます。③の但し書きは「業績により支給」「会社の業績による」といった表現で、支給しない年がありうることを示します。
①の回数は、支給の時期とほぼ対応します。年2回なら6月と12月、年3回なら決算月が加わる形が一般的でした。回数が多いほど1回あたりの額は小さくなるので、回数だけで有利不利は決まりません。
②の月数は、求人票のなかで最も情報量が多い記載です。「前年度実績」と添えられていれば、その会社が直近で実際に支払った水準です。「規定による」とだけあれば、金額の手がかりはありません。
③の但し書きは読み飛ばされがちですが、賞与の性格を決めています。厚生労働省のモデル就業規則第48条も、賞与を「会社の業績等を勘案して支給する」とし、業績の著しい低下その他やむを得ない事由があるときは支給しないことがある、と定めています*1。
3か所を見たうえで金額が読み取れない場合、それは求人票の書き方の問題であって、賞与が無いという意味ではありません。読み取れないことを確定させてから、面接の質問に回します。
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2. 求人票の賞与表記5パターン
求人票に並ぶ賞与の書き方は、だいたい5つです。金額が読み取れるかどうかで分かれます。
【表1】賞与表記5パターン(金額が読めるか・面接で聞くこと)
| 求人票の書き方 | 金額が読めるか | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 賞与年2回・計4.5ヶ月分(前年度実績) | 読める | 算定基礎が基本給か月給か |
| 賞与年2回 | 読めない(回数のみ) | 前年度の支給月数 |
| 賞与年2回(規定による) | 読めない | 規定の内容と前年度実績 |
| 業績により支給 | 読めない(0の年もある) | 直近3年の支給実績 |
| 決算賞与あり | 読めない(通常賞与とは別枠) | 通常賞与の有無と月数 |
金額が読めるのは1行目だけです。残る4つは、面接か労働条件通知書で埋めることになります。
2行目と3行目は、書き方が違うだけで中身は同じです。どちらも聞くのは「前年度は何ヶ月分でしたか」の1問で足ります。
4行目の「業績により支給」は、他と性格が違います。支給しない年がありうるので、月数ではなく直近3年の実績を聞いてください。3年のうち1年でも0であれば、年収の計算から賞与を外して考えることになります。
5行目の決算賞与は、通常の賞与とは別枠です。「決算賞与あり」とだけ書かれている求人票では、通常賞与そのものが無い場合もありました。
賞与の記載が求人票に1行も無い場合は、支給が無いと決まったわけではありません。ただし、記載しない会社は月給に含めている場合が多く、想定年収の内訳を聞くところから始まります。
5パターンのどれに当たるかは、求人票を開いて30秒で判断できます。月数の数字を探し、無ければ但し書きを探す。この順で見れば、面接に持ち込む質問がその場で決まります。
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3. 「4ヶ月分」が思ったより少なくなる理由
賞与の月数を掛ける相手は、月給ではなく基本給です。ここを取り違えると、実額が3割ほどずれます。
たとえば月給30万円の求人で、内訳が基本給22万円、固定残業手当8万円だったとします。賞与4ヶ月分は22万円×4で88万円です。月給30万円に掛けた120万円とは、32万円の差が出ます。
住宅手当や通勤手当も、算定基礎から外れるのが通例でした。手当の比率が高い給与ほど、同じ「4ヶ月分」でも実額は小さくなります。
したがって、求人票では賞与欄の前に給与欄の内訳を見てください。「月給25万円〜(固定残業45時間分・7万円を含む)」のような表記があれば、賞与の計算に使うのは18万円のほうです。
内訳が書かれていない求人票もあります。その場合は「賞与の算定基礎は基本給ですか、月給ですか」と面接で聞けば、1問で判明しました。
想定年収の表記にも注意が必要です。「年収400万〜600万円」に賞与が含まれているのか、月給の12ヶ月分なのかで、実際の手取りは大きく変わります。
固定残業手当が入っている求人票では、時間数も見てください。「45時間分・7万円を含む」とあれば、基本給18万円に対して45時間分の残業代が前払いされている形になります。賞与4ヶ月分は72万円で、月給25万円から想像する100万円とは28万円違いました。
求人票によっては、基本給が「18万〜25万円」のように幅で書かれています。この場合、賞与の概算も幅で出すことになります。下限で計算しておくと、内定時の提示額が下振れしても計画が崩れません。
4. 賞与の実額を出す3ステップ
求人票の数字から賞与の実額を出す手順です。3ステップで、面接前に概算まで出せます。
ステップ1では、給与欄の内訳から基本給を取り出します。「月給30万円(固定残業8万円を含む)」なら基本給は22万円です。内訳が無ければ、面接で聞くまで保留にしてください。
ステップ2では、前年度実績の月数を掛けます。求人票に「4.5ヶ月分(前年度実績)」とあれば、22万円×4.5で99万円になりました。「規定による」としか書かれていないときは、この計算はできません。
ステップ3では、支給条件を引き算します。支給日在籍要件を置く会社があり、支給日より前に退職すると受け取れません。入社初年度は査定期間が短く、按分になる会社もあります。
初年度の按分は見落とされがちです。4月入社で6月賞与の査定期間が前年10月〜3月なら、初回はほぼ支給されません。年収の見込みを立てるときは、初年度と2年目を分けて計算してください。
3ステップを踏むと、求人票の「賞与年2回」がいくらになるのかが数字で出ます。数字が出れば、他社の求人と同じものさしで比べられます。
概算が出たら、月給×12との合計で年収を組み立ててください。月給30万円・基本給22万円・4.5ヶ月分なら、360万円+99万円で459万円です。求人票の「想定年収450万〜550万円」と近ければ、その表記に賞与が含まれていると分かります。
5. 面接で聞く4項目
求人票だけでは埋まらない部分を、面接の4項目にまとめます。どれも1問で答えが返ります。
賞与について面接で聞く4項目
- 前年度の支給月数:「昨年度の賞与は何ヶ月分でしたか」と聞きます。求人票に月数が無い場合の最優先の質問です。
- 算定基礎:「賞与の算定基礎は基本給ですか、月給ですか」と聞きます。答えで実額が3割変わります。
- 支給日在籍要件:「支給日に在籍していることが条件ですか」と聞きます。転職時期の判断に直結します。
- 入社初年度の扱い:「入社1年目の賞与は按分ですか」と聞きます。初年度の年収見込みが変わります。
4項目のうち、1つ目と2つ目は選考の早い段階でも聞けます。カジュアル面談でも答えが返る質問でした。
3つ目と4つ目は、条件面の話になるので最終面接か内定後が適しています。順番を守ると、賞与の話ばかりしている印象にはなりません。
面接で得た回答は口頭の情報です。内定後に受け取る労働条件通知書に、賞与の記載があるかを必ず突き合わせてください。
口頭の回答と書面が食い違う場合は、書面のほうが優先されます。差が出たときは入社前に人事へ確認してください。
聞き方の順番も決めておくと短く済みます。「昨年度は何ヶ月分でしたか」「算定基礎は基本給ですか」の2問を続けて聞けば、実額の概算はその場で出せました。
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6. よくある質問(Q&A)
Q1. 求人票に「賞与年2回」とあれば必ず支給されますか
A. 保証されるものではありません。厚生労働省のモデル就業規則第48条も、業績の著しい低下その他やむを得ない事由があるときは支給時期を延期し、または支給しないことがある、と定めています*1。前年度の支給実績を面接で聞いてください。
Q2. 「4ヶ月分」とは月給の4ヶ月分ですか
A. 通常は基本給の4ヶ月分です。月給30万円で基本給が22万円なら88万円になり、月給に掛けた120万円とは32万円の差が出ます。給与欄の内訳を先に見てください。
Q3. 「業績により支給」の求人は避けたほうがよいですか
A. 避ける理由にはなりません。ただし支給しない年がありうるので、直近3年の実績を聞き、年収の見込みからは賞与を外して計算しておくと安全です。
Q4. 賞与の記載がない求人票は賞与なしという意味ですか
A. そうとは限りません。月給に含めている会社もあります。想定年収の内訳が月給12ヶ月分なのか、賞与を含むのかを聞いてください。
Q5. 入社1年目から満額もらえますか
A. 按分になる会社があります。査定期間に在籍していた月数で割る方式が多く、4月入社で6月賞与の査定期間が前年10月〜3月なら、初回はほぼ出ません。初年度と2年目を分けて計算してください。
7. まとめ:賞与欄は月数と算定基礎で読む
この記事のまとめ
- 賞与欄で見るのは、回数・月数または金額・但し書きの3か所です。金額に直結するのは月数だけでした。
- 求人票の書き方は5パターンあり、金額が読めるのは「計4.5ヶ月分(前年度実績)」のように月数が付いている場合だけです。
- 月数を掛ける相手は月給ではなく基本給です。月給30万円でも基本給22万円なら、4ヶ月分は88万円になります。
- 厚生労働省のモデル就業規則第48条は、業績の著しい低下その他やむを得ない事由があるときは支給しないことがある、と定めています*1。
- 面接では、前年度の支給月数・算定基礎・支給日在籍要件・初年度の扱いの4項目を聞いてください。
求人票の賞与欄は、月数が書かれているかどうかで情報量がまったく違います。月数があれば基本給に掛けて概算を出し、無ければ面接で前年度実績を聞く。この2択に整理しておけば、複数の求人を同じものさしで比べられます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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